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初の旅、いざ王都へ!

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「じゃあ、行ってきます!!」

背中から離れないガルをダイナとシスが引き剥がしてくれたので、その隙に俺達はギルドを後にした。

初めての旅にウキウキで自然にスキップしてしまう。

「おいおい、それじゃあ、すぐ疲れるぞ?って体力はお前無敵か。」

そうなんですよ!一応疲れますがね?

「どれくらいで着くの?」

「馬車で3日だ。途中まで馬車に乗り、王都近辺の村や町で人攫いが起きていないか、情報を集める。」
ティーンの言葉にうんうんと頷く。

「俺、馬車も初めてだ。」
ニコニコしながら言うと、アルが笑いながら、俺の肩を叩く。

「初めてが沢山だなヒヨリ。ヒヨリ見ていると俺もワクワクするよ!」

「楽しそうで何よりだよ。だが、馬車はケツがキツいぞ?そんなふにゃふにゃな尻で大丈夫か?」
ウランが尻を揉んできた。

「ひゃあ!?やめろよ!」
キッとウランを睨む。
ニヤニヤ笑いやがってー!!あのシオらしさはどこいった!!

******

「ひょえー!!イテテッ!!」
現在初馬車にチャレンジ中ですが、中は振動が凄く、確かにお尻が痛い!!

「ヒヨ、俺の膝に来るか?」
「兄貴は黙ってて!俺の膝においで?」

うう…確かに、ずっとこれはしんどい。そして膝の上はガルで慣れている。
だが、今更だが、ぷ、プライドが…。

ヒョイッ

へ!?

俺はまさかのティーンさんの膝の上に座らせられた。

「皆が取り合うから、どんなものかと。…ふむ。柔らかくて悪くない。」

お尻鍛えよう…。

「ヒヨリ!こっちに来てよ!」

アル、そう言われてもガッチリ腕でホールドされてます。

「そういえば、ウランさんとティーンさんは何歳なんですか?」

場を誤魔化す為に何気ない事を聞いてみた。

「ウランさんてキモいな。31歳だが。」
「俺は88歳だ。」
やはり、まだここの年齢には慣れない。

「俺の世界だと88歳はおじいちゃんです。」

ティーンさんはガーン!!と傷付いた顔をした。

「ヒヨリの世界は100歳までもなかなか生きられないらしいよ?」
アルがそう言うと、ティーンさんはよりショックを受けた顔をした。

「まあ、俺はもうこっちの体質になったそうだから皆と一緒だけどね。」

それを聞いて少しウランとティーンはホッとしたような顔をした。

ちょっと嬉しい。

「俺はダークエルフとのハーフだから、何歳までかわからん。エルフ族は何千と生きるが、人は平均300だ。まぁ最低300歳だろ。」

な、なるほど…何千…想像つかないな。
300年でも想像つかないし。

「ヒヨリ、お前は何か得意なことはあるか?」
うーむ…。

「ヒヨはスキルからしてエロい事が得意なんじゃねえか?」

「ちげーし!!」

「ヒヨリは技じゃなくて、表情や中が…「わあああああ!!」」

アル!!何ちゅう事を!!

「フム…じゃあ、男娼という役柄で行くか?」
ティーンの発言に目が点になる。

「ギルドとバレない様にしたい。盗賊に接近するしあまり属性もバレたくないからな。ヒヨリなど攻撃魔法が無いとバレた時点でまずい。」

なるほど、何気なく近づく為の設定ね。

「じゃあ、マッサージ屋にする。」

「何だ?マッサージって?」

そうだ、こっちでは、魔法で疲労回復するから無いんだった。

「俺の世界の疲労回復方法。身体の疲労を取る為、健康的にする為に筋肉を揉んだり、骨格の歪みを整えるんだ。俺の家がそういった店を出していたんだ。」

「身体触るって、エロいことか?」
ワクワクしながら聞いてくるウランをジトっと睨む。

「エロくない。後でやってみせるよ。俺結構上手いよ!父親のお墨付き!」

「わかった。後でやって見てくれた。商売になりそうなら、それで行く。ダメなら、個人の男娼でウランが元締めだ。アルは情報収集に動いてくれ。」

なんか男娼の方で話進みそうなんですが!?

絶対納得させてやる!!


そんな事を考えていると、急に馬車が止まった。

どうしたのかと、アルが外に出てみると、大きな木が道に横たわっていた。

「木を退かさなきゃな。」
ウランが手を掲げようとした瞬間、ティーンがウランを制する。

ティーンがアルを見て、口をパクパクする。アルはその指示に気づき、風の囁きを使った。

( 多分、これは罠だ。数人の気配がする。殺気は無いから、どんな属性、スキルがあるかの試しと言える。王都に向かう道中、しかもまだかなりある中で、調べているなら、やはり王都には何かある。)
ティーンは音を乗せて皆に伝える。

(随分用心深いじゃないか。闇獅子かもな。)

(じゃあ、どうする?木は?)

(歩くしか無さそうですね。)

(アルの魔法は発動が分かりにくいから、バレない様に伝えたい場合の為、風の囁きは常にかけておいてくれ。近くの町まで後少しだ。このまま気づかないフリして歩くぞ)

「どうやって動かすんだ。馬でもこの太さでは無理だ。」

 ティーンが演じだした。

「すみません、近くの町までどれくらいですか?」
アルが御者に話掛ける。

「そんな遠くないはずだよ。歩いて行ける距離だ。」

「じゃあ、歩くか。じゃあ、此処までの支払いだ。」
ウランが懐からお金を支払う。

み、みんな上手い!!俺はドキドキして喋れない。

ただ皆にオタオタしながら流れに身を任せる。

あわあわしている俺が面白いのか、アルが必死に笑いを堪えている。口がフルフル震えてますよ!!

俺達は歩き出した。

暫く歩いても気配が消えない様で、風の囁きでのティーンの指示に従いながら、何気ない会話をし続けた。


「もう良いだろう。気配はしない。」
ティーンの発言に、俺は一気に気が抜けた。

「ティーンさん、よくわかるね?気配なんて全然分かんないよ。」

「俺はエルフの耳を持つ。音や気配に過敏に反応するんだ。」

へー耳便利だな。
「それにしても、かなりの時間見られていたな。怪しまれたか?」

ウランは眉を寄せる。

ティーンは少し考える仕草をして、俺を見た。

「1人かなりの強さを持つ男がヒヨリに視線を送っていた。俺の耳でも捕らえられないほどの足音と気配だ。殺気は無かったが、視線が強かったから視線の先を追う事が出来た。」

やばい!俺、やらかした?俺のせいで何か気付かれた!?

俺は一気に蒼ざめた。

「1人だけあわあわしてたもんな。」
ウランが意地の悪い笑みを浮かべる。

いつもなら睨み返しているが、流石に何も言い返せない。

「いや、これは…大物がかかったかもな。」
不敵に笑うティーン。

へ?俺の失敗じゃない?大丈夫?

俺は不安げに瞳を潤ませた。
それに気付いたティーンは、ポンッと肩を叩いてくれた。

「流石は良い生き餌だ。」

俺はミミズかよ!!



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