こんなはずじゃなかった

B介

文字の大きさ
上 下
102 / 137

嫉妬男はおっかない。

しおりを挟む
ギシギシと揺れるベッドの中。

何度も組み敷かれ、既に抗う力もなく、ただ貪られていた。

正常位で、睡蓮に覆い被さり、鎖骨に噛みつきながら、奥へと腰を打ち付ける豪。

睡蓮は激しい突きに耐える様に、豪へと縋りつき、首に腕を回している。


「あっあっ!も、ゆるし、て!!イクッ!!」

何度目かの放出で、既に薄く液状の精が放たれると、豪も睡蓮の奥深くへ放つ。

ハアハアハアハアハア


互いの荒い呼吸が重なる。


「睡蓮…」

豪は甘く囁くと、睡蓮の唇に重ねた。


柔らかく啄むキスに、睡蓮も身を任す。


「ハア…豪…もう無理だ…許してくれ…。」

ソファで2回、ベッドで3回、昨日からの圭介との行為と合わせると、ひどい数となる。

「…わかった…。」


豪は呟くと、睡蓮を抱き抱え、風呂場へと向かった。

男2人では狭いが、立ち上がる気力も無いから入れてくれるのは助かる。

しかし、そんな甘くは無かった。

シャワーを出して、豪は睡蓮を壁に手をつかせ、立たせると、腰を抱き、支えた。


「これで今日はおしまいにしてやる。」


これで?

今日は?


不安に駆られて振り向くと、復活したナニをまた穴に押し当てている。


「ギャーーー!!ムリー!!」


力が入らず、抵抗も出来ない睡蓮は豪を迎え入れるしかない。
何度出しても巨大なままの豪のモノが体内を圧迫しながら、奥へと突き進む。

「くっ!ああ!」


「睡蓮!!身体は力入らねーくせに…ここは締め付けるな…」

ハアハア…と、荒い息と共に嬉しいそうに声を上げる豪に、睡蓮は後で絶対殴ると心に誓った。








風呂場での行為後、ぐったりとした睡蓮の身体を洗い、ベッドのシーツを変えて、寝かせる。


既に夢の中の睡蓮の隣に潜り込み、頬にキスを落とすが、反応は無い。


豪は罪悪感に駆られつつも睡蓮を抱きしめた。


こんなにも自分が嫉妬深いとは思わなかった。


相手は大体想像つく。

チッ!と舌打ちが自然と出てしまう。


くそっ…俺のだ…。

俺を見た目で判断せず、いつも笑顔を向けてくれた睡蓮…。

優しく、綺麗で…かっこいい奴。

自慢の友人であり、それ以上の存在。


川嶋グループはそれほどデカくは無い。飲食店を運営しているが、一時経営難で倒産仕掛けた時、仲良かった友人らは手のひらを返した様に、俺の側から消えていった。

1番不安だった時に側にいてくれる奴はいなかった。

やはり、コネや家柄が大事なのかと、信じていた気持ちを裏切られた気がした。

両親は何とか巻き返し、店舗展開も増やして波に乗ると、また、集まってくる友人達…いや、友人では無い。

俺は1人を選んだ。

どうせ、信じて裏切られるなら、1人がいい。

傷つきたく無い。

そう、俺は弱いんだ。

1人でいればいる程、勝手な噂が回る。

人を貶める噂ほどよく回る。

1人でいても、屈辱を感じ、誰かが側にいても不安でしかない。


徐々に周りに馴染めず、表情も無くなり、従兄弟の優希は心配そうに見つめてくる。

そんな時に現れた睡蓮。

ボサボサ髪で眼鏡の変な奴だが、声がとても心地よくて、雰囲気が暖かくて…何故か気になり、側にいたいと感じた。

アイツが俺の名前を呼ぶと、それだけで特別みたいな高揚感。

気付いたら、俺の周りには沢山の人がいた。

睡蓮は俺を見て笑う。

噂など気にせず、俺を見てくれる。

アイツに魅せられた仲間達との時間も悪くなかった。


何も知らなかった昔に戻ったみたいに、日々が楽しい。


全て睡蓮がくれた物。

奴らもいい奴だ。


だが、睡蓮だけはダメだ。渡せない。


あんなに欲しかった環境だが、睡蓮の為なら1人でもいい。


そう思えるほど大事なんだ。どっかに隠したいほどに。


でも、そんな俺は睡蓮に嫌われるだろう。

嫌われたく無い…失いたく無い…。

捨てないでくれ。


捨てられるぐらいなら、俺はアイツらと共有してもいい…。


嫌だけど…。



こんなに自分が不安定だと思わなかった。


睡蓮が俺を大型犬だと言う。

確かに…。

睡蓮さえ入ればいい。

ただ睡蓮に嫌われたく無いから、物分かりがいいフリをする。

そのくせ、ギラギラと欲望を溜めている。



睡蓮…俺のモノ…。

大事にするから、側にいてくれ。


今はまだ、皆の睡蓮でいい…。


いつか、俺だけのになってくれ。


眠る睡蓮を抱きしめる。


俺のたった一つの宝物。
しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

ヤンデレBL作品集

みるきぃ
BL
主にヤンデレ攻めを中心としたBL作品集となっています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

ヤンデレだらけの短編集

BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。 全8話。1日1話更新(20時)。 □ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡 □ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生 □アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫 □ラベンダー:希死念慮不良とおバカ □デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。 かなり昔に書いたもので芸風(?)が違うのですが、楽しんでいただければ嬉しいです!

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

嫌われ者の僕

みるきぃ
BL
学園イチの嫌われ者で、イジメにあっている佐藤あおい。気が弱くてネガティブな性格な上、容姿は瓶底眼鏡で地味。しかし本当の素顔は、幼なじみで人気者の新條ゆうが知っていて誰にも見せつけないようにしていた。学園生活で、あおいの健気な優しさに皆、惹かれていき…⁈学園イチの嫌われ者が総愛される話。嫌われからの愛されです。ヤンデレ注意。 ※他サイトで書いていたものを修正してこちらで書いてます。改行多めで読みにくいかもです。

俺の義兄弟が凄いんだが

kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・ 初投稿です。感想などお待ちしています。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

処理中です...