こんなはずじゃなかった

B介

文字の大きさ
上 下
87 / 137

眠れる獅子ども

しおりを挟む
睡蓮は起きて早々に、ベッドに寝転ぶ獣2匹を蹴り、ベッドから落とす。

「いてっ!」
ぶつけた腰をさすりながら裸体の男が起き上がる。

もう1人の裸体は頭をさすりつつ、ボーッとしている。

「お前らのおかげで、腰が痛えし、ベッドが狭くて身体がバキバキだ!!せめて自分とこで寝ろよ!」

首をゴキゴキ鳴らしながら、お怒りの睡蓮さん。

自分の身体を鏡で見て、跡を確認する。

薄ら残っているが、これならバレないだろう。

すると、後ろから頸にキスをしながら抱きつく兵藤。

睡蓮は鏡越しに睨みつけるが、全く効果が無い。身体を撫でながら、元気に朝立ちしたモノをグイグイ押し付けてくる。

「やめろよ!」

肘で鳩尾をつくと、グエッと前のめりに蹲る。

欠伸をしながら床に座り込む西園寺は寝起きが悪いらしい。


身体はベタ付きも無い。多分また綺麗にしてくれたんだろう。

昨日の事を思い出すと死にたくなる程恥ずかしい。

2回目にして、抵抗感が無くなってきている。

ハァァと蹲み込んで大きくため息をつくと後ろから抱き上げられる。

うわっ!なんだ?

西園寺が俺を抱えてベッドに戻り、また眠ろうと俺を抱きしめたまま倒れ込んだ。

確かにまだ早朝だ。

「ってか、寝るなら自分のとこ戻れよ!」

苛つきながら頭を叩くが離れない。

しかも兵藤も隣に寝転んできやがった。

「睡蓮、朝の運動しようぜ!」

「運動?」

諦めて、ベッドに横になると、ニヤニヤしながら兵藤が提案してきた。

「エロい運動するか、サーフィンするかどっちがいい?」

そんなの1択だろ!?

「俺、サーフィンしたことないぞ?」

「じゃあ、エロいことする?」

俺の上で眠りにつこうとする西園寺を足蹴にして、兵藤が覆い被さってきた。

「そういう意味じゃねえ!教えろ!」
ムッ!と眉を寄せるて、おでこにチュッとキス。

「了解。お姫様。」

なんだよ姫って!なんだよこの甘々感!!

「くっ!痛えな…兵藤!」

やっと完全に覚醒した西園寺に、俺は兵藤と笑った。


サーフィンの道具は倉庫にあるらしく、選び、早朝のプライベートビーチへと向かった。

波のことはよくわからないが、いい感じらしい。

まず浜辺でやり方を2人に教わる。

そして、見本とばかりに兵藤のを見せてもらった。

パドリングというボートの上にうつ伏せで手で漕ぎ、波を待つ。

波が来るとタイミングを見て、ボートの上に立つ。これをテイクオフというらしい。

兵藤はバランスを保ちながら上手く波に乗っていて、めちゃくちゃカッコ良かった。

海から上がる姿も前髪を掻き上げ、朝日に照らされる姿はまさにワイルド。

男から惚れられる男とはこんな感じかな?

「後は実戦だ。」


俺はパドリングは完璧だった。

…何とか立つことも出来たが…

絶対生まれたての小鹿だったと思う!!

めっちゃプルプルしたもん!!

それを見て浜辺で笑う2人に中指を立ててやる。


西園寺の波乗りは迫力が半端なかった。それもカッコ良いがムカつくから行ってやらねぇ。

何とか形になったところで、皆が起きる時間だ。

なんとなく、まだやりたい気持ちだったが、背中を押されてシャワーを浴びに向かった。

なんだろうな。


昨日から触れ合い、近くにいたせいか、これでおしまいだと思うと寒い気がした。


まあ、気のせいなんだろうけど。
しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

ヤンデレBL作品集

みるきぃ
BL
主にヤンデレ攻めを中心としたBL作品集となっています。

執着攻めと平凡受けの短編集

松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。 疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。 基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

催眠アプリ(???)

あずき
BL
俺の性癖を詰め込んだバカみたいな小説です() 暖かい目で見てね☆(((殴殴殴

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

35歳からの楽しいホストクラブ

綺沙きさき(きさきさき)
BL
『35歳、職業ホスト。指名はまだ、ありません――』 35歳で会社を辞めさせられた青葉幸助は、学生時代の後輩の紹介でホストクラブで働くことになったが……――。 慣れないホスト業界や若者たちに戸惑いつつも、35歳のおじさんが新米ホストとして奮闘する物語。 ・売れっ子ホスト(22)×リストラされた元リーマン(35) ・のんびり平凡総受け ・攻めは俺様ホストやエリート親友、変人コック、オタク王子、溺愛兄など ※本編では性描写はありません。 (総受けのため、番外編のパラレル設定で性描写ありの小話をのせる予定です)

総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?

寺一(テライチ)
BL
────妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。 ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの高校一年生。 ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。 その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。 そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。 それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。 女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。 BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の主人公への好感度がバグレベルで上がっていくということ。 このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう! 男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートを望んだ代償は大きくて……!?

処理中です...