こんなはずじゃなかった

B介

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ラブとライク7

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かなりの量を作ったが、さすが高校男子。あっという間に全て完食してくれた。

「睡蓮ちゃん!とっても美味しかったから、また作ってね!」

マリマリ先輩の言葉が嬉しくて頷く。

安田と洋一郎が重箱洗うのを手伝ってくれた。

他は何やら、悪巧みメンバーと、飲み物を飲みながら談笑するメンバー。

悪巧みメンバーは、双子と圭介、小倉です。

俺達が重箱を洗っている横で水鉄砲に水を詰めています。しかも結構威力ありそうなヤツ。

にひひひひっ!

悪い顔して笑う男らに、呆れ顔の俺ら。

「程々にしとけよ?」

俺の声が聞こえているのかいないのか…。

4人は走って行ってしまった。

放っておいて、洗うのに集中していると、すぐさま、悲鳴が聞こえた。

「てめー!!双子!ふざけんな!」
兵藤の声だ。

「圭介…殺す。」
「さっき、睡蓮にあーんしてもらった罰だ!」

圭介、まだ言ってんのかよ。多分豪を濡らしたな。

「や、め、!!」
櫟原先輩までやられたか。

ギャーギャー騒ぐ男らを背にして、黙々と洗う俺ら。

するといきなり、安田がびしょ濡れになった。

「うわっ!なんだ!?」

振り向くと林が水鉄砲を持ち、安田に攻撃していた。

ピキッと青筋立てる安田。

「てめぇ、何すんだよ!」

「何ちゃっかり、1人美味しいことしてんだよ!!」

ブシューッと大量の水が安田の顔にヒットして、安田が林を追いかけて行った。


「元気だな…。」

「ふふっ。たのしそうだね。」

洗い終わった重箱を拭きながら、洋一郎とびしょびしょになっていく集団を遠目で見ていた。


すると、西園寺が双子に集中攻撃を受けているのが目に入る。

「お前らしつこいぞ!!帰ったら覚えとけよ!!」

西園寺はびしょびしょになったシャツを気持ち悪そうに脱ぎ出す。

「あっ!かいちょー!背中ケガしてるよ?」
「本当だ!ハルハルどっかで引っ掻いた?」

「あ?」
双子の声に背中を振り向くが、うまく見えないようで、西園寺は手で背中に触れて、ピタリと固まった。
すると顔を赤らめ、睡蓮を見る。
睡蓮はその視線が何を言いたいかが伝わり、真っ赤になりながら口をパクパクして固まった。

「睡蓮?」

洋一郎の声に、バッと西園寺に背を向け、洗った重箱を車に積みに走った。

西園寺も脱ごうとしていた服をまた着て、バケツ一杯の水を双子にぶっかける。

「わぁー!ぶはっ!何すんだよ!」
「ひどい!心配したのに!」
双子は髪もぺったんこになり、キーキー怒鳴る。

「うるさい!海で引っ掛けただけだ!ホラッもう一杯かけるぞ!」

双子を追いかける西園寺の様子に冷たい視線を送る白樺。

フーッと大きく息を吐き、眼鏡の水滴を取ると、後ろからザバァと水が掛けられた。

いきなりの事に驚き、振り返ると、ニヤニヤ笑いの洋一郎と睡蓮。

「何1人でカッコつけているんですか?」

にっこり笑う睡蓮に、驚いていた白樺も自然と笑みが浮かぶ。

「カッコつけていないんですが、かっこよかったですか?」

濡れた髪を掻き上げる白樺に、洋一郎と睡蓮は瞳を細める。

「イケメンって自覚しているから言えるセリフだよね。」
「嫌味だな。」
ヒソヒソ話す2人に、白樺もペットボトルを手に取り、2人に浴びせる。

「ぎゃっ!副会長!すいません!」
「失礼しました!!」

笑いながら走る睡蓮達を白樺も追う。すると、水鉄砲を持った圭介と小倉も合流して、睡蓮を狙う。

「ぶはっ!やめろよ!」

睡蓮は隙を付き、圭介の手に軽く蹴りを落として、水鉄砲を奪う。 

その行動に驚いた小倉の水鉄砲も奪い、二丁持ちとなった睡蓮は悪い笑みを浮かべる。

「ヒッヒッヒ!逃げるがいい!野郎ども!!二丁拳銃のドン・睡蓮の餌食にしてくれるわー!」

「ぷはっ!ゴホッ!やめて!睡蓮!」

「いつもセクハラしやがって!ドン・睡蓮様と呼べー!」

圭介を二丁拳銃が襲う。

「次は誰だー!!」

何これ!チョー気持ちいい!!

新しい何かに目覚める睡蓮だった。





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