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49.冒険ギルドによるゴブリン討伐戦
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(冒険者ベンの視点)
俺の名前はベン。
冒険者パーティー『黄金の蜃気楼』を率いるリーダーで、北の帝国にある大迷宮を探索すると言う大冒険も為した。
子供好きの冒険者だ。
我がパーティーはDクラスだ。
大迷宮ではAクラスまで上り詰めたが、嘗ての仲間とは別れ、残ったメンバーで新たに再出発を飾った。
もう大冒険は満足した。
これからは若手を育成して、次なる英雄を育てるつもりだ。
残念ながらこの国での貢献は低かったので、Eクラスからの最出発となった。
戦士2人、僧侶、魔法使い、斥候が各一人、見習い戦士、荷物持ちがメンバーだ。
この内、戦士、魔法使い、見習い戦士、荷物持ちの四人を育てている。
僧侶は他にする事がないと言って手伝ってくれている。
戦士と斥候は冒険しかできない冒険馬鹿だ。
俺も似たようなモノで戦う以外に脳がない。
「ベン。ギルド長の話は何だった?」
「ゴブリンリーダーが現れたらしい。討伐したそうだが、本当に倒されたのか見て来て欲しいそうだ」
「ゴブリンリーダーか。厄介そうだな」
「悪い事に。魔石の回収も死体の処理もしていないそうだ」
「不味いだろう」
「不味いな」
翌日、Cクラスの冒険者パーティーを先頭に、我がパーティーとEクラスのパーティーを加えて3パーティーで調査となった。
連中はゴブリンを舐めきっている様子だった。
「もうすぐ広場です。ここからは三つに分かれて調査し、発見したら火の玉で合図するでいいですか?」
「駄目だ。一ヶ所に集まって調査し、陣形を崩さないように移動するべきだ」
「おやおや、昔の英雄様は慎重ですな。それが英雄になる秘訣ですか?」
「そうだな。生き残る事が“最重要課題”だ」
ちぃ、若い戦士のリーダーが舌を打った。
ロートルは黙っておけ。
そんな口調で意見を蹴った俺を睨んだ。
こいつはゴブリンを舐め過ぎている。
状況が判っていない。
自尊心がある方が冒険者らしいので嫌いではないが、提案に従う訳に行かない。
他の者の命が掛かっている。
大迷宮では、貴重な魔石を育成する錬金術が流行っていた。
下層に行かず、上層でゴブリンジェネラル、オークキング、ウルフロードという貴重な魔石を採取する方法だ。
雑魚の魔物に魔石を食わせて、進化させて狩り取る。
単体なので強敵でも倒し易い。
しかも経験地を得る前の最弱の状態だ。
これが安全に上位の魔石を回収する方法だ。
遭遇した冒険者の話では、ゴブリンリーダーの魔石は回収していないそうだ。
その魔石を食ったゴブリンはゴブリンリーダーに進化している。
新鋭のEクラスとの戦闘を経験し、その経験値を持ったゴブリンリーダーが誕生している。
もっと最悪の事態を考えると、取り残された冒険者の肉を食って、ゴブリンナイトやゴブリンマジシャンに進化している可能性もある。
ゴブリンリーダーには、『強奪』というスキルが発生する。
食った相手のスキルを希に盗むのだ。
戦士を食えば、ナイト。
魔法使いを食えば、マジシャンに進化する。
そして、神官や僧侶を食うと・・・・・・・・・・・・。
「俺が食われるとビショップか」
「食われないでくれよ。回復できるゴブリンなんて相手にしなくない」
「善処しよう」
「もっとも経験値を貯めて勝手に進化する奴もいるから厄介だな」
「ゴブリン狩りは好きになれん」
「まったくだ。進化する前は弱い者苛め。進化すると団体戦の強敵になる」
「俺は倒しても切りが無いのが嫌いだ」
「俺もだ」
きゃあぁ!
広場を向けて先行したCの冒険者パーティーから悲鳴が聞こえた。
殺気だったゴブリンの奇襲に慌てたようだ。
馬鹿な油断していたのか?
仲間を忘れて突っ込みやがった。
ヤバいな、分断されるぞ。
「ここを頼む」
「任せろ」
「慌てるな。落ち着け。たかがゴブリンだ」
俺はゴブリン共を斬り伏せながら進み、先行したCクラスの冒険者達の前に出た
遅れて我がパーティーにもゴブリンが襲い掛かる。
俺は自分の仲間を信じて最前線に陣取った。
俺のバスターソードが唸り上げる。
横殴りに3匹のゴブリンを血祭りに上げて、追撃を蹴り飛ばし、さらにスキル“スラッシュ”で四、五匹を血祭りに上げた。
「凄い」
「見とれている場合じゃないわ」
「そうね」
「叔父さん、もう少しだけ頑張って下さい」
可愛い娘の声に張り切ってしまう。
一度落ち着けば、Cクラスの冒険者パーティーがゴブリンに遅れを取る訳もない。
すぐに陣形を整え直した。
「助けてくれ!」
後方のEの冒険者パーティーがバラバラに戦っていた為に押し込まれていた。
パーティーなら一ヶ所に集まってフォローしろよ。
僧侶が抜けてEの冒険者パーティーの援護に入ったが、我がパーティーが手薄になる。
戦士、僧侶、斥候で作っていた三角形の一角に見習い戦士が組み込まれる。
見習い戦士は気負っていた。
「小僧。抜かるな」
「任せて下さい。ゴブリンに遅れは取りません」
「注意しろ。こいつらは普通でないぞ」
あっという間にヤラれた。
一匹を真っ二つに引き裂いた瞬間、背後のゴブリンに襲い掛かられて対処仕切れなかった。
見事に腹を引き裂かれた。
一匹を犠牲にして、もう一匹が敵を傷付ける。
捨て身の戦法だ。
守られていた魔法使いと荷物持ちが見習い戦士の割かれた腹はポーションを掛けて止血して護衛役となる。
逆だろう。
二人は見習い戦士を守るように互いに背中を合わせて守り合い。
戦士と斥候がその周りを回って戦った。
見習い戦士は復活したが、血を流し過ぎて立てそうもない。
戦力外だ。
俺が戻ったので斥候と僧侶が入れ替わった。
僧侶が見習い戦士の傷の様子を見る。
我がパーティーには僧侶がいるので滅多に死ぬ事はない。
Eの冒険者は皆傷ついているが、深手を負った者はいなかった。
斥候と指示を飛ばす、連携させたので大丈夫だ。
つまり、一匹を倒して油断し過ぎたウチの見習い戦士が一番馬鹿だった訳だ。
しばらく、荷物持ちに戻して教育的指導だ。
Cクラスの冒険者パーティーが体勢を取り戻せば、ゴブリンリーダーに率いられていても所詮はゴブリンだ。
我らの敵ではない。
Eクラスの冒険者パーティーを伴って横に回って挟撃に移る。
冒険者を舐めるなよ。
ウチの魔法使いがゴブリンリーダーを見つけて、炎の柱を放つと勝敗は決した。
後は掃討戦だ。
128匹のゴブリンを倒して、その日は終えた。
魔石の回収と死体の焼却で忙しい。
冒険ギルドに応援も呼んだ。
ゴブリンに餌を残す訳には行かない。
ゴブリンリーダーの討伐成功にギルドが湧いたが俺の心は晴れなかった。
◇◇◇
翌日、翌々日とゴブリン討伐が続いた。
毎日、100匹以上も討伐しても数が減らない。
背筋に寒いモノを感じ始めた。
「ベン。どうだ?」
「不味いな。もっと人を増やして欲しい」
「5パーティーが限界だ。ゴブリン輸送の護衛を割く訳には行かない」
「俺の勘だが、上位種が生まれている」
「証拠は?」
「ない。俺の勘だ。早くしないと手遅れになるぞ」
「判った。何とかしよう」
すでにEクラス以上の10パーティーを投入していた。
ギルド長は緊急クエストを出して、Fクラスのすべて集めると、ゴブリンと戦えように武器の供与などの準備を手配し、G、Hにゴブリン輸送の仕事をさせる。
この町のほぼすべての戦力を投入すると決めた。
決めたからと言って翌日から投入できないのが、この町の冒険者のレベルだ。
統率できない馬鹿が多い。
パーティーの意味さえ判っていない万年Fクラスの冒険者が多いのだ。
それでも次の日は優勢に戦いを進め、ゴブリンを森の奥まで追い詰めたが、日が暮れると同時に撤退した。
拠点もなく、ゴブリンの大軍の中で野営は難しい。
だからといって町から出陣していては押し切れない。
その次の日に懸念した事が起った。
ゴブリンの総数が500匹を越えた。
しかも連携の精度が増した。
体格の大きい5匹のゴブリンリーダーを確認した。
ナイトはマジシャンが居ないだけマシか。
10パーティーがすべて前線に投入されて何とか広場まで押し返した。
2匹のゴブリンリーダーを倒したが、ゴブリンの指揮は落ちない。
大きく迂回されて、ゴブリンの死体を輸送していた冒険者の横っ腹を攻撃された。
迂回ゴブリンを殲滅したが、こちらも5人の死者が出た。
日が暮れた所で死体を残して撤退となった。
次の日、無闇に攻めて来たゴブリンに戦術が見え出した。
投石などで威嚇してから攻め始めた。
不利と見れば撤退し、追撃した冒険者を伏兵で挟撃して3人も殺れた。
初のパーティー崩壊だ。
引いて伏兵とか、もう人の策だろう。
ゴブリンリーダーを指揮する指揮官が生まれたような気がした。
戦いが一進一退となり、追撃も出来なくなった。
ヤバい。
絶対にヤバい。
毎日、100匹以上を狩っているが数が減らない。
目視できる600匹をすべて狩る必要がある。
ヤバい。
ゴブリン共は数が揃うのを待っている。
次は何匹に増える?
1,000匹、2,000匹か、そうなると戦線を維持できない。
このままでは不味い。
「ベンさん。領軍の参加が決まりました」
「ギルド長が動いてくれたか!?」
「はい。明日は偵察に30人が同行します。ベンさんのパーティーが引っ張って下さい」
「俺も暇じゃないんだが・・・・・・・・・・・・」
「現状を説明して欲しいそうです。三日後に300人を出すのが決まったそうですが、300人で足りますか?」
「判った」
ギルド長は軍団長に全軍3,000人を出せと要求しているが首を縦に振らない。
領軍の300人は冒険者の30人くらいだ。
兵力が倍になった程度では押し切れるかどうか?
俺かも偵察部隊の隊長に3,000人が必要な訳を説明しろって事か。
はぁ、面倒だ。
ヤケ酒を飲んで寝た。
次の日は安息日だった。
朝から酒を飲んで英気を養う日なのだが、今日もゴブリン狩りだ。
山が白くなる前に出発する。
「何だと。子供が城外に出ているだと?」
「はい。河で魚を捕っているそうで・・・・・・・・・・・・」
「城外がどれほど危険か。判っておるのか?」
「そう言われましても、出るなという権限はございません」
毎日のように子供らが城壁の外に出ているだと?
どこの馬鹿だ?
門番が必死に言い訳をする。
子供らは一角兎を5羽も捕える実力があるそうだ。
ちょっと出来るので図に乗ってそうだな。
「判った。私の権限で命ずる。今後、街道を利用する者以外の通行を禁止する。これで良いな」
「はい。今後、子供らを通しません」
「職務に励め」
羊皮紙にスラスラと何かを書いて部隊長の権限で門の通行に制限を掛けた。
真面目な部隊長だと判った。
ちょっとしたトラブルがあったが、広場まではいつも通りだ。
ゴブリン共も集めってきた。
森の中で息を潜めて日の出を待っている。
「どうですか? 魔物と思えない統制力です」
「ゴブリンとは、こんな魔物だったのか?」
「いいえ、ゴブリンは無能で弱い魔物です。ですが、上位種が生まれると変わるのです」
「上位種?」
「ハイゴブリン以上のゴブリンです」
生まれているのがゴブリンジェネラルやゴブリンキングでない事を祈りたい。
あのクラスになると軍隊が必要だ。
しかし、軍隊が必要な大軍をSクラスの怪物らは中央突破であっさりと倒した。
圧倒的な力の差を見せつけられて、俺達は冒険を終える事を決めた。
あの域に達する事は出来ないと諦めた。
「この広い東の森の中央広場の向こう側にゴブリン共が息を潜めております」
「数はどれ位だ」
「目視で600匹です」
「600匹もいるのか?」
「あれは前衛です。後衛にはそれ以上のゴブリンがいると考えるべきです」
「さらに600匹以上もいるのか?」
「しかも人並みに戦術を駆使します」
日が出るとゴブリン共が投石から攻撃を始めた。
冒険者パーティーの欠点は飛び道具が少なく、十分な応戦ができない。
投石で死者が出る訳でもないので無視する。
「何故、矢や魔法で対抗しない?」
「冒険者の魔法使いのレベルを舐めないで貰いたい。1日に3発か、5発しか使えない貴重な魔法をこんな場面で使えません。弓士も矢は貴重ですから、闇雲に打つ者はいません」
「冒険者は使えんな。弓隊、打ち返せ」
15人が弓を構えて打ち返した。
常に100本以上を持ち、荷物に替え矢を持っている。
捨て矢を使える奴らは羨ましい。
冒険者の弓士は20本くらいを持ち、使った矢も回収して何度も使う。
100本も矢を捨てると儲けが無くなる。
雨のように降る石に負傷者が出て、我が冒険者の隊列が少し崩れた。
その隙を見逃さず、敵の指揮官が一斉攻撃を命ずる。
ちぃ、俺は舌を打った。
日に日に指揮が的確になってゆく。
「迂回挟撃にも気を付けろ。後ろの奴らにも気を抜くなと伝えろ」
「ゴブリンが迂回挟撃だと?」
「普通にやって来ますよ」
「信じられん」
広場の半分まで攻めて来た所でゴブリンの足が止まった。
そして、反転して逃げて行く。
何だ、何が起った?
「どういう事だ?」
「判りません。しかし、コレは好機です。ゴブリン共から殺気が消えました」
「殺気だと?」
「張り詰めた緊張感が消えたでしょう」
俺は仲間に『追撃するぞ』と声を上げた。
俺が走り出すと脳筋な他の冒険者共も追撃を開始する。
いつもは統制を取るのに苦心するが、こういう場面では機転が利く。
勘が冴えやがる。
俺は部隊長を置き去りにしてゴブリンを追い掛けて狩って行く。
冒険者による大攻勢だ。
引く途中で交通渋滞を起こしているゴブリン共を後ろから斬り付ける簡単な仕事だ。
しかも反転して攻撃を仕掛けて来ない。
ともかく、どこかに集まろうとしているのは判る気がする。
気にするな。
今は狩って、狩って、狩って、狩りまくれ。
森が切れてくると煙が見えた。
棒立ちしているゴブリン共をなぎ倒して森を抜けると断崖の一部が燃えていた。
その一帯に大量のゴブリンが燃えており、洞窟の上から炎が噴き出していた。
洞窟の前に巨大な影が見えた。
炎に揺られてハッキリと見えないが、100匹くらいのゴブリンに囲まれているハイゴブリンを見つけた。
ははは、そう言う事か。
ハイゴブリンは周辺の炎を消す為に仲間を呼び戻した。
砂を炎に掛けるゴブリンの姿が見えたが、消火するゴブリンにも引火した。
燃えるゴブリン共が自滅していた。
ははは、馬鹿め。
それじゃ、薪を投下しているようなモノだ。
ぐおぉぉぉぉぉ、ハイゴブリンが吠えた。
おっと、逃げるだけの棒立ちだったゴブリン共が反撃を開始した。
ハイゴブリンが追って来た冒険者を認識したのだろう。
何が起っているのか知らないが、こいつらを倒せば人間の勝ちだ。
しかも密集しているゴブリンに取れる策もない。
正面からの力押し。
冒険者らがもっとも得意とする戦いだ。
何か起っているのかは判らんが、今は勝機だ。
俺の名前はベン。
冒険者パーティー『黄金の蜃気楼』を率いるリーダーで、北の帝国にある大迷宮を探索すると言う大冒険も為した。
子供好きの冒険者だ。
我がパーティーはDクラスだ。
大迷宮ではAクラスまで上り詰めたが、嘗ての仲間とは別れ、残ったメンバーで新たに再出発を飾った。
もう大冒険は満足した。
これからは若手を育成して、次なる英雄を育てるつもりだ。
残念ながらこの国での貢献は低かったので、Eクラスからの最出発となった。
戦士2人、僧侶、魔法使い、斥候が各一人、見習い戦士、荷物持ちがメンバーだ。
この内、戦士、魔法使い、見習い戦士、荷物持ちの四人を育てている。
僧侶は他にする事がないと言って手伝ってくれている。
戦士と斥候は冒険しかできない冒険馬鹿だ。
俺も似たようなモノで戦う以外に脳がない。
「ベン。ギルド長の話は何だった?」
「ゴブリンリーダーが現れたらしい。討伐したそうだが、本当に倒されたのか見て来て欲しいそうだ」
「ゴブリンリーダーか。厄介そうだな」
「悪い事に。魔石の回収も死体の処理もしていないそうだ」
「不味いだろう」
「不味いな」
翌日、Cクラスの冒険者パーティーを先頭に、我がパーティーとEクラスのパーティーを加えて3パーティーで調査となった。
連中はゴブリンを舐めきっている様子だった。
「もうすぐ広場です。ここからは三つに分かれて調査し、発見したら火の玉で合図するでいいですか?」
「駄目だ。一ヶ所に集まって調査し、陣形を崩さないように移動するべきだ」
「おやおや、昔の英雄様は慎重ですな。それが英雄になる秘訣ですか?」
「そうだな。生き残る事が“最重要課題”だ」
ちぃ、若い戦士のリーダーが舌を打った。
ロートルは黙っておけ。
そんな口調で意見を蹴った俺を睨んだ。
こいつはゴブリンを舐め過ぎている。
状況が判っていない。
自尊心がある方が冒険者らしいので嫌いではないが、提案に従う訳に行かない。
他の者の命が掛かっている。
大迷宮では、貴重な魔石を育成する錬金術が流行っていた。
下層に行かず、上層でゴブリンジェネラル、オークキング、ウルフロードという貴重な魔石を採取する方法だ。
雑魚の魔物に魔石を食わせて、進化させて狩り取る。
単体なので強敵でも倒し易い。
しかも経験地を得る前の最弱の状態だ。
これが安全に上位の魔石を回収する方法だ。
遭遇した冒険者の話では、ゴブリンリーダーの魔石は回収していないそうだ。
その魔石を食ったゴブリンはゴブリンリーダーに進化している。
新鋭のEクラスとの戦闘を経験し、その経験値を持ったゴブリンリーダーが誕生している。
もっと最悪の事態を考えると、取り残された冒険者の肉を食って、ゴブリンナイトやゴブリンマジシャンに進化している可能性もある。
ゴブリンリーダーには、『強奪』というスキルが発生する。
食った相手のスキルを希に盗むのだ。
戦士を食えば、ナイト。
魔法使いを食えば、マジシャンに進化する。
そして、神官や僧侶を食うと・・・・・・・・・・・・。
「俺が食われるとビショップか」
「食われないでくれよ。回復できるゴブリンなんて相手にしなくない」
「善処しよう」
「もっとも経験値を貯めて勝手に進化する奴もいるから厄介だな」
「ゴブリン狩りは好きになれん」
「まったくだ。進化する前は弱い者苛め。進化すると団体戦の強敵になる」
「俺は倒しても切りが無いのが嫌いだ」
「俺もだ」
きゃあぁ!
広場を向けて先行したCの冒険者パーティーから悲鳴が聞こえた。
殺気だったゴブリンの奇襲に慌てたようだ。
馬鹿な油断していたのか?
仲間を忘れて突っ込みやがった。
ヤバいな、分断されるぞ。
「ここを頼む」
「任せろ」
「慌てるな。落ち着け。たかがゴブリンだ」
俺はゴブリン共を斬り伏せながら進み、先行したCクラスの冒険者達の前に出た
遅れて我がパーティーにもゴブリンが襲い掛かる。
俺は自分の仲間を信じて最前線に陣取った。
俺のバスターソードが唸り上げる。
横殴りに3匹のゴブリンを血祭りに上げて、追撃を蹴り飛ばし、さらにスキル“スラッシュ”で四、五匹を血祭りに上げた。
「凄い」
「見とれている場合じゃないわ」
「そうね」
「叔父さん、もう少しだけ頑張って下さい」
可愛い娘の声に張り切ってしまう。
一度落ち着けば、Cクラスの冒険者パーティーがゴブリンに遅れを取る訳もない。
すぐに陣形を整え直した。
「助けてくれ!」
後方のEの冒険者パーティーがバラバラに戦っていた為に押し込まれていた。
パーティーなら一ヶ所に集まってフォローしろよ。
僧侶が抜けてEの冒険者パーティーの援護に入ったが、我がパーティーが手薄になる。
戦士、僧侶、斥候で作っていた三角形の一角に見習い戦士が組み込まれる。
見習い戦士は気負っていた。
「小僧。抜かるな」
「任せて下さい。ゴブリンに遅れは取りません」
「注意しろ。こいつらは普通でないぞ」
あっという間にヤラれた。
一匹を真っ二つに引き裂いた瞬間、背後のゴブリンに襲い掛かられて対処仕切れなかった。
見事に腹を引き裂かれた。
一匹を犠牲にして、もう一匹が敵を傷付ける。
捨て身の戦法だ。
守られていた魔法使いと荷物持ちが見習い戦士の割かれた腹はポーションを掛けて止血して護衛役となる。
逆だろう。
二人は見習い戦士を守るように互いに背中を合わせて守り合い。
戦士と斥候がその周りを回って戦った。
見習い戦士は復活したが、血を流し過ぎて立てそうもない。
戦力外だ。
俺が戻ったので斥候と僧侶が入れ替わった。
僧侶が見習い戦士の傷の様子を見る。
我がパーティーには僧侶がいるので滅多に死ぬ事はない。
Eの冒険者は皆傷ついているが、深手を負った者はいなかった。
斥候と指示を飛ばす、連携させたので大丈夫だ。
つまり、一匹を倒して油断し過ぎたウチの見習い戦士が一番馬鹿だった訳だ。
しばらく、荷物持ちに戻して教育的指導だ。
Cクラスの冒険者パーティーが体勢を取り戻せば、ゴブリンリーダーに率いられていても所詮はゴブリンだ。
我らの敵ではない。
Eクラスの冒険者パーティーを伴って横に回って挟撃に移る。
冒険者を舐めるなよ。
ウチの魔法使いがゴブリンリーダーを見つけて、炎の柱を放つと勝敗は決した。
後は掃討戦だ。
128匹のゴブリンを倒して、その日は終えた。
魔石の回収と死体の焼却で忙しい。
冒険ギルドに応援も呼んだ。
ゴブリンに餌を残す訳には行かない。
ゴブリンリーダーの討伐成功にギルドが湧いたが俺の心は晴れなかった。
◇◇◇
翌日、翌々日とゴブリン討伐が続いた。
毎日、100匹以上も討伐しても数が減らない。
背筋に寒いモノを感じ始めた。
「ベン。どうだ?」
「不味いな。もっと人を増やして欲しい」
「5パーティーが限界だ。ゴブリン輸送の護衛を割く訳には行かない」
「俺の勘だが、上位種が生まれている」
「証拠は?」
「ない。俺の勘だ。早くしないと手遅れになるぞ」
「判った。何とかしよう」
すでにEクラス以上の10パーティーを投入していた。
ギルド長は緊急クエストを出して、Fクラスのすべて集めると、ゴブリンと戦えように武器の供与などの準備を手配し、G、Hにゴブリン輸送の仕事をさせる。
この町のほぼすべての戦力を投入すると決めた。
決めたからと言って翌日から投入できないのが、この町の冒険者のレベルだ。
統率できない馬鹿が多い。
パーティーの意味さえ判っていない万年Fクラスの冒険者が多いのだ。
それでも次の日は優勢に戦いを進め、ゴブリンを森の奥まで追い詰めたが、日が暮れると同時に撤退した。
拠点もなく、ゴブリンの大軍の中で野営は難しい。
だからといって町から出陣していては押し切れない。
その次の日に懸念した事が起った。
ゴブリンの総数が500匹を越えた。
しかも連携の精度が増した。
体格の大きい5匹のゴブリンリーダーを確認した。
ナイトはマジシャンが居ないだけマシか。
10パーティーがすべて前線に投入されて何とか広場まで押し返した。
2匹のゴブリンリーダーを倒したが、ゴブリンの指揮は落ちない。
大きく迂回されて、ゴブリンの死体を輸送していた冒険者の横っ腹を攻撃された。
迂回ゴブリンを殲滅したが、こちらも5人の死者が出た。
日が暮れた所で死体を残して撤退となった。
次の日、無闇に攻めて来たゴブリンに戦術が見え出した。
投石などで威嚇してから攻め始めた。
不利と見れば撤退し、追撃した冒険者を伏兵で挟撃して3人も殺れた。
初のパーティー崩壊だ。
引いて伏兵とか、もう人の策だろう。
ゴブリンリーダーを指揮する指揮官が生まれたような気がした。
戦いが一進一退となり、追撃も出来なくなった。
ヤバい。
絶対にヤバい。
毎日、100匹以上を狩っているが数が減らない。
目視できる600匹をすべて狩る必要がある。
ヤバい。
ゴブリン共は数が揃うのを待っている。
次は何匹に増える?
1,000匹、2,000匹か、そうなると戦線を維持できない。
このままでは不味い。
「ベンさん。領軍の参加が決まりました」
「ギルド長が動いてくれたか!?」
「はい。明日は偵察に30人が同行します。ベンさんのパーティーが引っ張って下さい」
「俺も暇じゃないんだが・・・・・・・・・・・・」
「現状を説明して欲しいそうです。三日後に300人を出すのが決まったそうですが、300人で足りますか?」
「判った」
ギルド長は軍団長に全軍3,000人を出せと要求しているが首を縦に振らない。
領軍の300人は冒険者の30人くらいだ。
兵力が倍になった程度では押し切れるかどうか?
俺かも偵察部隊の隊長に3,000人が必要な訳を説明しろって事か。
はぁ、面倒だ。
ヤケ酒を飲んで寝た。
次の日は安息日だった。
朝から酒を飲んで英気を養う日なのだが、今日もゴブリン狩りだ。
山が白くなる前に出発する。
「何だと。子供が城外に出ているだと?」
「はい。河で魚を捕っているそうで・・・・・・・・・・・・」
「城外がどれほど危険か。判っておるのか?」
「そう言われましても、出るなという権限はございません」
毎日のように子供らが城壁の外に出ているだと?
どこの馬鹿だ?
門番が必死に言い訳をする。
子供らは一角兎を5羽も捕える実力があるそうだ。
ちょっと出来るので図に乗ってそうだな。
「判った。私の権限で命ずる。今後、街道を利用する者以外の通行を禁止する。これで良いな」
「はい。今後、子供らを通しません」
「職務に励め」
羊皮紙にスラスラと何かを書いて部隊長の権限で門の通行に制限を掛けた。
真面目な部隊長だと判った。
ちょっとしたトラブルがあったが、広場まではいつも通りだ。
ゴブリン共も集めってきた。
森の中で息を潜めて日の出を待っている。
「どうですか? 魔物と思えない統制力です」
「ゴブリンとは、こんな魔物だったのか?」
「いいえ、ゴブリンは無能で弱い魔物です。ですが、上位種が生まれると変わるのです」
「上位種?」
「ハイゴブリン以上のゴブリンです」
生まれているのがゴブリンジェネラルやゴブリンキングでない事を祈りたい。
あのクラスになると軍隊が必要だ。
しかし、軍隊が必要な大軍をSクラスの怪物らは中央突破であっさりと倒した。
圧倒的な力の差を見せつけられて、俺達は冒険を終える事を決めた。
あの域に達する事は出来ないと諦めた。
「この広い東の森の中央広場の向こう側にゴブリン共が息を潜めております」
「数はどれ位だ」
「目視で600匹です」
「600匹もいるのか?」
「あれは前衛です。後衛にはそれ以上のゴブリンがいると考えるべきです」
「さらに600匹以上もいるのか?」
「しかも人並みに戦術を駆使します」
日が出るとゴブリン共が投石から攻撃を始めた。
冒険者パーティーの欠点は飛び道具が少なく、十分な応戦ができない。
投石で死者が出る訳でもないので無視する。
「何故、矢や魔法で対抗しない?」
「冒険者の魔法使いのレベルを舐めないで貰いたい。1日に3発か、5発しか使えない貴重な魔法をこんな場面で使えません。弓士も矢は貴重ですから、闇雲に打つ者はいません」
「冒険者は使えんな。弓隊、打ち返せ」
15人が弓を構えて打ち返した。
常に100本以上を持ち、荷物に替え矢を持っている。
捨て矢を使える奴らは羨ましい。
冒険者の弓士は20本くらいを持ち、使った矢も回収して何度も使う。
100本も矢を捨てると儲けが無くなる。
雨のように降る石に負傷者が出て、我が冒険者の隊列が少し崩れた。
その隙を見逃さず、敵の指揮官が一斉攻撃を命ずる。
ちぃ、俺は舌を打った。
日に日に指揮が的確になってゆく。
「迂回挟撃にも気を付けろ。後ろの奴らにも気を抜くなと伝えろ」
「ゴブリンが迂回挟撃だと?」
「普通にやって来ますよ」
「信じられん」
広場の半分まで攻めて来た所でゴブリンの足が止まった。
そして、反転して逃げて行く。
何だ、何が起った?
「どういう事だ?」
「判りません。しかし、コレは好機です。ゴブリン共から殺気が消えました」
「殺気だと?」
「張り詰めた緊張感が消えたでしょう」
俺は仲間に『追撃するぞ』と声を上げた。
俺が走り出すと脳筋な他の冒険者共も追撃を開始する。
いつもは統制を取るのに苦心するが、こういう場面では機転が利く。
勘が冴えやがる。
俺は部隊長を置き去りにしてゴブリンを追い掛けて狩って行く。
冒険者による大攻勢だ。
引く途中で交通渋滞を起こしているゴブリン共を後ろから斬り付ける簡単な仕事だ。
しかも反転して攻撃を仕掛けて来ない。
ともかく、どこかに集まろうとしているのは判る気がする。
気にするな。
今は狩って、狩って、狩って、狩りまくれ。
森が切れてくると煙が見えた。
棒立ちしているゴブリン共をなぎ倒して森を抜けると断崖の一部が燃えていた。
その一帯に大量のゴブリンが燃えており、洞窟の上から炎が噴き出していた。
洞窟の前に巨大な影が見えた。
炎に揺られてハッキリと見えないが、100匹くらいのゴブリンに囲まれているハイゴブリンを見つけた。
ははは、そう言う事か。
ハイゴブリンは周辺の炎を消す為に仲間を呼び戻した。
砂を炎に掛けるゴブリンの姿が見えたが、消火するゴブリンにも引火した。
燃えるゴブリン共が自滅していた。
ははは、馬鹿め。
それじゃ、薪を投下しているようなモノだ。
ぐおぉぉぉぉぉ、ハイゴブリンが吠えた。
おっと、逃げるだけの棒立ちだったゴブリン共が反撃を開始した。
ハイゴブリンが追って来た冒険者を認識したのだろう。
何が起っているのか知らないが、こいつらを倒せば人間の勝ちだ。
しかも密集しているゴブリンに取れる策もない。
正面からの力押し。
冒険者らがもっとも得意とする戦いだ。
何か起っているのかは判らんが、今は勝機だ。
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