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前方よーしっ!
右よしっ、左よしっ。
フィオナは、キョロキョロと辺りを見回し、ホッと息を吐く。
ここ数日、なんとかレオン達と会わずに済んでいる。
心穏やかな時を過ごしているのだ。(ビクビク、オドオドとはしているが)

フィオナが変わってからの最初の頃は、教室中の視線が痛かった。
判ってます。判っていますとも。
今までのフィオナを知っている皆様が、スッピン、胸平スットンの今のフィオナに疑問を抱いているということは。
聞きたいんだけど、聞いたらいけないの?的な視線が痛かった。
それでも何とか、授業を受けている。

さて、現在はお昼休みだ。
これから学食に行き、昼食を食べなければならない。
今までのフィオナだったら、授業終了の鐘の音と共にダッシュでレオンの教室へと走って行っていた。
そして、昼休み中、王子様に纏わりついていたのだ。

自分の黒歴史に顔が赤くなる前に青くなる。
今までよく不敬罪で切り付けられなかったものだ。
父ちゃんごめんよ。娘のやらかしで、あと一歩で爵位剥奪になるところだったよ。
今度からは、絶対、絶対に王族様&高位貴族様には近づかないから安心してね。

今まで自分が纏わりついていた人たちが、いないことを確認してから速攻で食堂へと行くのだ。
そして、サンドイッチあたりを素早く買って、人気のない所で食べる。
ここ何日かは、この戦法で、目立たずにやっていけている。
これを数か月続けていけば、今までの悪行が皆の記憶から薄れていくはずだ。
やってきたことが半年。忘れてくれるのに半年。は、無理かなぁ。


「フィオナ、昼食を共に」
フィオナが決意を胸に、拳を握りしめていると、何と背後から声がかかった。
ギィヤァー。
前も左右も確認したのにぃっ。背後から声が掛かったぁ。死角ぅ。

バッと、勢いをつけて後ろを振り向くと、そこには王子様。
レオン第2王子様アンド何時ものメンバー達が居た。
なぜにぃ。なぜフィオナを誘う。

学年は一緒だが、クラスは違うのだから、わざわざ来なくても…
あれか、いきなり変わってしまったフィオナのことを、一応は心配してくれているのだろうか。
高位の人たちの慈悲深さには、恐れ入る。

「いや、あの、ご心配おかけいたしました。もう元気になりましたので、はい、えっとぉ、気を使っていただかなくとも…」
フィオナの声は段々と小さくなっていく。
上位からの誘いを断ることは出来ない。
昼食に誘われたならば、何はなくとも付いて行かなければならない。
それが貴族社会というものなのだ。

だが、だが、行きたくない。
まざまざと黒歴史を見せつけられたくはない。これ以上羞恥に身を捩りたくは無いのだ。

「レオン様ぁ、フィオナったら、私たちと一緒には行きたくないみたいですよぉ。
フィオナなんか放っておいて、私たちだけで行きましょうよぉ」
ティティが助け舟を出してくれる。
ありがとう心の友。そのままグイグイ言ってやってください。

「手を」
今までのフィオナだったら、王子様を見た瞬間、問答無用で王子様の腕にしがみついていた。勿論、偽造の胸を押し付けるのも忘れずに。
だが、そんな恥ずかしいことが出来るはずもなく。というか、したくない。
それなのに、王子様から手を差し出されてしまった。

フィオナは悲しいことに下位貴族。王子様を拒否ることはできないのだ。
差し出されたレオンの手に、おずおずと自分の手を乗せる。
レオンの雰囲気がフワリと柔らかくなる。

エスコート的に歩き始める時に手を取られていたけれど、すぐに離す。
そして横並びで、レストランへと、進んでいく。

いつものようにレオンの右腕にティティが纏わりつき、左側にフィオナ。
レオンが腕を軽く曲げ、クイクイとフィオナに押し付けてきているような気がするが、もう二度と自惚れませんし、勘違いもいたしません。
王子様に自分の腕を絡めたりしませんから。もちろん偽乳を押し付けたりもいたしません。
これ以上黒歴史を上塗りしませんって。


実は、フィオナは勘違い女だったけれど、純粋にレオンのことが好きだった。
周りから玉の輿狙いだの、欲深い女だのと、さんざん言われていたが、フィオナはレオンが平民だろうと、関係なく纏わり付いていただろう。
一目ぼれだったのだから。
学園に入学したばかりの頃、レオンが王族だとは知らない時に、フィオナはレオンを好きになったのだ。
なりふり構わず纏わり付くほどにはレオンのことが好きだった。

前世を思い出す前は、常識無しに厚かましくレオンと付き合うことが平気で出来た。
でも、もう無理だ。
身分の壁が厚すぎるし、レオンが自分のことを何とも思っていないことも判っている。
心が広い王族様とはいえ、いつ嫌われるか判らない。
何より、これ以上恥ずかしい自分を、レオンには見せたくはないのだ。

今は変わってしまったフィオナを気遣ってくれているが、それも今日で終わりかもしれない。
もう二度とレオンの側に近寄ることは出来なくなるだろう。
フィオナは涙が出そうになり、慌てて顔を上に向ける。
判り切ったことに何を感傷的になっているんだか。自分で自分を叱りつける。


いつものようにレオンの左隣の席に着く。
前世常識を思い出したフィオナにすれば、この席は恐れ多いが、今日が最後だと思い腰掛ける。

すぐに食事が始まると、ティティがレオンに纏わりつく。見るに堪えない態度にオリヴィアが注意すると、言い争いになってしまった。
今までだったら、一番に注意されているのは自分だったなぁ。フィオナは、またも黒歴史を思い出し、羞恥に顔を赤らめる。

バトル中のティティとオリヴィア。それを見ているフィオナ。
皆は気づいていなかった。
自分のスープの中に、レオンが粉薬のような物を入れてかき混ぜていることに。
ガイだけは、それに気づき『何やってんですか?』と、声をかけようとしてレオンの眼力に屈して結局何も言えなかった。


「フィオナ」
「あっ、はい」
バトルを熱心に見ていたフィオナは、レオンに呼ばれ、慌ててレオンの方へと顔を向ける。

「これは珍しい食材を使ったスープなのだ。ぜひ食べてみてくれ」
レオンから皿ごとスープを渡される。

え?どう見ても、皆にも配られている同じスープですよね。
首をかしげるフィオナだが、王子様がそう言うのなら、そうなのだろう。
身分制度って、そういうものだ。
フィオナは大人しくスープを受け取る。

ふと、ガイの方を見ると、なんだかガン見されている。
もしや、何か恥ずかしいことを、またもフィオナはしてしまったのだろうか。
もともとが下位貴族の娘だ。気づいていないだけで、マナーが至らないことも多いだろう。

少々焦りながら、フィオナはスープを一口飲む。
何だかピリピリと舌に感じる。自分のスープの味とはちょっと違う。えぐ味が少しあるようだ。
しかし、珍しいかと言われると、そこまででは無いのだが。
何か感想を言わなければと、レオンの方を向いたフィオナは、そのままテーブルへと突っ伏してしまう。

「キャアーーッ」
誰かの悲鳴が遠くに聞こえる。
自分のせいで、食器がガチャガチャと大きな音を立てていることに、フィオナは気づくことは無かった。


そのままフィオナは意識を失ってしまったのだから。




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