「-不破-という男 女性だけが超能力に目覚めた世界で」

第十一話 「決着」

その叫びは誰に向けてなのか……
二人は気にもしていなかった。

その言葉を受け取った者は、返事を返す。

「……分かったよ」

屋上のコンクリートの床で、気絶していたはずの男が起き上がった。

「え……どうして！」

メガネの女とギャルは、そいつが動くのをみて、目を丸めた。
そして、隙を付いた一撃がメガネの女に襲い掛かった。

「ま、まずい」

メガネの女は能力を不破に対して使っていたため、その者への能力の発動ができなかった。
メガネの女の能力は、1人を対象にしか使えないのだ。

その彼女目掛けて、起き上がったばかりの男は、飛び蹴りを腹目掛けて繰り出した。
避けることもできずに、メガネの女は屋上の出入り口から校舎内へと飛ばされてしまった。

「紀井ちゃん！」

とギャルは友である桃が蹴り飛ばされたのを見ていて声をあげた。
だが、その行為は戦いの中のよそ見にほかならなかった。

そして、不破は、
メガネの女蹴り飛ばされたことで、不破にかかっていた能力が消えたのだ。

「おい、よそ見とはいい度胸だな」

不破は、再び襲い掛かってきていたギャルに向かって一言言い放つと、これまたメガネの女がくらった場所と同じ腹にめがけて蹴りを繰りだした。
よそ見をしていたため、もろ腹に一撃をもらったギャルは、そのまま後ろに飛ばされた。屋上を囲っているフェンスにぶつかるまで、体が吹っ飛ぶ。

「痛ったぁ……」

そのまま背中からぶつかり、フェンスにもたれかかるように倒れた。
意識はあるが、背中を思いっきり打ち付けて、動けない。

不破は、一息吐くを緊張を緩めた。

「やったようだな、不破」
「そっちこそ」

不破のもとに近づいてきた立神と勝利のハイタッチを交わした。
パンッ！
その音は屋上に響き、戦いの終わりを意味していた。