「-不破-という男 女性だけが超能力に目覚めた世界で」

第六話 「立神恭弥」

「やるなぁ、不破。女子を返り討ちにしただけのことはあるかもしれないな」

「それは、どうも。それもりも、お前は俺を試したのか？」

「そうだ、俺様以外に女子に対抗できる男がいるって噂を聞いたからな。少し試してみたくなった」

「そうか、それはいいが……そろそろお前のことを教えてくれないか？」

「俺様は、1年の立神恭弥だ。女よりも強くそして男の中で最強の男だ」

ビシッと、人差し指を天へと突き立てる。
決まったという顔をしている。
恥ずかしくないのだろうか。

「そうか、でも最強は俺だ。おまえじゃない！」

「……ふっ、おもしろいやつだな。俺様にそういった男は初めてだ！」

と不破と立神の視線が交差する。
お互いの後ろには炎がメラメラと巻き上がっているように見えた。

（おい、だいじょうぶなのか。あの二人）
（さっきまでやりあってたはずなのに。いまは談笑してるのか？）

と遠くから見ていた外野の男子たちが、静かに話し合っていた。
どちらに加勢するか。または、このまま傍観するか。
だが、結論はでなかった。
なぜなら、二人は気が付くと肩を組んでこちらに歩いてきたからだ。

（まずい）
（かくれろ。いや、にげろ～）

バタバタッと土煙を立てながら、男子たちは慌ただしく動き出す。
しかし、一斉に動いたのが失敗だったのだろう。誰かに突き飛ばされた男子が、コケた。
さらに、連鎖するようにコケた男子にぶつかった男子がバランスを崩したりと、めたくちゃになっていく。

「何してんだ、おまえら」

不破と立神の二人が通るころには、柱の陰に潜んでいた男子たちのもみくちゃになった状態になっていた。

「そういうことは、家でやれよ」

といって、二人は校舎内に入っていった。

（（そうじゃ、ねぇ～！！））

男子たちは見つかったことよりもいらぬ誤解を受けたことに、納得できなかった……