71 / 154
第七十一話 嵐の後
しおりを挟む
「で、あれはなんだったんだ?一馬くん?」
嵐のように現れた女子小学生が去った後、僕は少し時間を空けて、気持ちを落ち着かせてから話しかけた。
「僕もよくわからないんです……」
え、一馬くんもよくわからないの?
「いつからか後をつけられるようになってて、僕はどうしたらいいのかわからず、いつも逃げてました」
「そ、そうなんだ……」
一馬くんも迷惑なのかもしれないな。
「それに、もしかしたら僕の秘密を探っている子なのかもしれないと思うと怖くて……」
秘密?ああ、性別が女の子であるということか。
でも、さっきの子はそういうのを探ってるというよりかは……
「好きなだけだと思うけどな」
「す、好き? 僕をですか?」
「そうそう、まぁちょっと変わってるけどな」
「変わってるってほどじゃないですよ!」
お、もしかして小学生をかばおうとしてるのか。
「あれは、ただの変態です」
「あぁ……」
「だって、僕がつけられてるとわかってから、何回通学する道を変えたことか。知ってますか」
「いや、知らないけど」
「30回ですよ、30回」
30回とはまた多いな。僕はこれを聞くだけで、わかることがあった。
「30回ということは、もう一ヶ月以上もつけられているのか?」
「はい、実は……」
そんなに付けられているのは予想外だった。てっきり、1週間2週間の話だと思っていた。
「でも、誰か他の人の相談しなかったのか?」
そんなに困っているのなら、誰かに相談すればいいのにと思った。
しかし、一馬くんの表情が暗くなる。
「そんなのできませんよ」
「どうして?」
「だって、小学生にストーカーされて困ってるなんて言えるわけないじゃないですか」
それもそうか。中学生が小学生の女の子につけられて困っているなんか、恥ずかしくて他人に相談できないに決まっている。
「だったら、その小学生に直接言うしかないな」
僕はこう提案した。しかし、先ほどよりも表情は暗くなった。
「もう頼みました」
「え、それでもついてくるのか」
「いえ、頼んでからはつけられることはなくなったんですが……」
喋りながらどんどん表情が暗くなる。一体何があったんだ。
「それで?」
「そしたら、先回りされるようになって、どこに行っても知らない道を通っても先回りされるようになりまして……」
「もういい。もう言わなくてもわかったから」
僕はどんどん表情が暗くなる一馬くんを見て、抱きしめる。
「よく頑張ったな」
と言葉をかけながら、一馬くんの頭を撫でた。
「お兄さん……」
と僕の胸の中でそう呟いた。
嵐のように現れた女子小学生が去った後、僕は少し時間を空けて、気持ちを落ち着かせてから話しかけた。
「僕もよくわからないんです……」
え、一馬くんもよくわからないの?
「いつからか後をつけられるようになってて、僕はどうしたらいいのかわからず、いつも逃げてました」
「そ、そうなんだ……」
一馬くんも迷惑なのかもしれないな。
「それに、もしかしたら僕の秘密を探っている子なのかもしれないと思うと怖くて……」
秘密?ああ、性別が女の子であるということか。
でも、さっきの子はそういうのを探ってるというよりかは……
「好きなだけだと思うけどな」
「す、好き? 僕をですか?」
「そうそう、まぁちょっと変わってるけどな」
「変わってるってほどじゃないですよ!」
お、もしかして小学生をかばおうとしてるのか。
「あれは、ただの変態です」
「あぁ……」
「だって、僕がつけられてるとわかってから、何回通学する道を変えたことか。知ってますか」
「いや、知らないけど」
「30回ですよ、30回」
30回とはまた多いな。僕はこれを聞くだけで、わかることがあった。
「30回ということは、もう一ヶ月以上もつけられているのか?」
「はい、実は……」
そんなに付けられているのは予想外だった。てっきり、1週間2週間の話だと思っていた。
「でも、誰か他の人の相談しなかったのか?」
そんなに困っているのなら、誰かに相談すればいいのにと思った。
しかし、一馬くんの表情が暗くなる。
「そんなのできませんよ」
「どうして?」
「だって、小学生にストーカーされて困ってるなんて言えるわけないじゃないですか」
それもそうか。中学生が小学生の女の子につけられて困っているなんか、恥ずかしくて他人に相談できないに決まっている。
「だったら、その小学生に直接言うしかないな」
僕はこう提案した。しかし、先ほどよりも表情は暗くなった。
「もう頼みました」
「え、それでもついてくるのか」
「いえ、頼んでからはつけられることはなくなったんですが……」
喋りながらどんどん表情が暗くなる。一体何があったんだ。
「それで?」
「そしたら、先回りされるようになって、どこに行っても知らない道を通っても先回りされるようになりまして……」
「もういい。もう言わなくてもわかったから」
僕はどんどん表情が暗くなる一馬くんを見て、抱きしめる。
「よく頑張ったな」
と言葉をかけながら、一馬くんの頭を撫でた。
「お兄さん……」
と僕の胸の中でそう呟いた。
0
お気に入りに追加
63
あなたにおすすめの小説
男子中学生から女子校生になった僕
葵
大衆娯楽
僕はある日突然、母と姉に強制的に女の子として育てられる事になった。
普通に男の子として過ごしていた主人公がJKで過ごした高校3年間のお話し。
強制女装、女性と性行為、男性と性行為、羞恥、屈辱などが好きな方は是非読んでみてください!
ずっと女の子になりたかった 男の娘の私
ムーワ
BL
幼少期からどことなく男の服装をして学校に通っているのに違和感を感じていた主人公のヒデキ。
ヒデキは同級生の女の子が履いているスカートが自分でも履きたくて仕方がなかったが、母親はいつもズボンばかりでスカートは買ってくれなかった。
そんなヒデキの幼少期から大人になるまでの成長を描いたLGBT(ジェンダーレス作品)です。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる