13 / 41
第12話 勇者VS勇者 後編 その1
しおりを挟む
「くっ…」
僕は相手の攻撃により膝をついていた。
持っていた剣を地面に突き刺し、休憩をとる。なぜか、その姿を見せると相手も余裕が出てきて、会話に持っていけるようになる。
「どうした、勇者。その程度か?」
相手は煽るように僕を挑発する。でもそれは熱意のある勇者なら、この挑発で攻撃し始めるのかもしれないが、僕はそこまで熱意を持っていないので、全くの効果なし状態である。
「あ~、参ったな…お前の能力強すぎだろ。あれか! 筋力を数倍にするとかなのか? 凄いな!」
「そ、そうか。ボクの能力は太陽の力を利用することによって、力を得ているんだ。凄いだろ!」
「ああ、凄い!」
コイツは馬鹿なのか。と言わざる負えない。
聞きたかったことをあっさり喋っちゃうんだから、有難い。
でも、ヤツの能力のカラクリがわかったからと言って、今はどうすることも出来ない。なぜなら、今は真っ昼間。太陽が姿を消すにはまだまだ時間がかかる。そんな時まで持つわけがない。
さて、どうしたものか…
僕が少し作戦を考えていると向こうも気になっていることを口にした。
「あんたは能力使わないのか?」
それは普通聞いても答えるヤツのいなさそうな質問だった。
これに答える奴なんてただの馬鹿だ。
「ああ、能力ね…こっちの能力は発動させるのが難しいんだ。あることをしないと発動しない。だから、困ってる」
「そうだったんだ…わかったなら、発動条件を教えてくれないか! こっちだけ能力発動させるのはフェアじゃないからね」
と戦っているとは思えないような発言をしてくる。これは罠だろうか…
考える僕は、罠じゃないと思った。
奴は紳士を気取った騎士だと感じるからだ。しかし…能力の発動させるのはいつでも可能だ。でも、発動の仕方によって、効果が違うのだ。
悩む自分に、客たちがブーイングを起こした。それもそのはず。まだ剣をほとんど交わらせていない。だから見ている客たちはつまらないに違いない。
なら、客たちのために動くとしますか!
完全アウェイなコロシアムでわざわざ命をかけて動いてやるんだから感謝しろよ。僕は、戦いを面白くするために動き始めた。
地面に指していた剣先を抜き、そのまま剣先を下に向けたまま、体を脱力させて相手に近づく。そして、顔をから何を考えているのか読まれないために、顔をふせて歩く。
その行動は完全にやる気を失くした人間の行動に見えるだろうか。まぁ、やる気の失くした奴が、そんな行動するわけないんだけどな。
僕は少しずつ近づく。すると、どうだろう。相手は僕と同じように剣を下ろしているではないか! チャンスだ。
相手との距離が剣先の間合いに入る。だが、2人とも動かない。僕はまだ近づく。そして次の瞬間、僕は剣を相手の首を目がけて振った。
ブン。
風を切る音がする。しかし、僕の攻撃は当たらなかった。
「何!」
僕は絶対に躱すことの出来ない距離で攻撃したはずなのに、当たらなかった。それもそのはず、相手は僕の攻撃を読んでいたのだ。攻撃したタイミングで上半身を物凄く、そって避けたのだ。そんな馬鹿なだ。
普通あんなに体をそらすことは出来ない。現に僕は出来ない。だが、それをやってのけるのだから、もう勝てる訳が無い。
仰け反った体をゆっくりと元に戻して相手はこう言った。
「これで終わりかい?」
煽ってきている。なら…
僕は剣を振り回した。しかし、それをすべて綺麗に避けていく。それを見ている観客も楽しそうに湧いている。
これはどう見ても勝てる見込みが無いことを意味しているのだろう。それどころか、誰も僕が勝つ未来など見えていないのだろう。それは僕も同じだった…
僕は相手の攻撃により膝をついていた。
持っていた剣を地面に突き刺し、休憩をとる。なぜか、その姿を見せると相手も余裕が出てきて、会話に持っていけるようになる。
「どうした、勇者。その程度か?」
相手は煽るように僕を挑発する。でもそれは熱意のある勇者なら、この挑発で攻撃し始めるのかもしれないが、僕はそこまで熱意を持っていないので、全くの効果なし状態である。
「あ~、参ったな…お前の能力強すぎだろ。あれか! 筋力を数倍にするとかなのか? 凄いな!」
「そ、そうか。ボクの能力は太陽の力を利用することによって、力を得ているんだ。凄いだろ!」
「ああ、凄い!」
コイツは馬鹿なのか。と言わざる負えない。
聞きたかったことをあっさり喋っちゃうんだから、有難い。
でも、ヤツの能力のカラクリがわかったからと言って、今はどうすることも出来ない。なぜなら、今は真っ昼間。太陽が姿を消すにはまだまだ時間がかかる。そんな時まで持つわけがない。
さて、どうしたものか…
僕が少し作戦を考えていると向こうも気になっていることを口にした。
「あんたは能力使わないのか?」
それは普通聞いても答えるヤツのいなさそうな質問だった。
これに答える奴なんてただの馬鹿だ。
「ああ、能力ね…こっちの能力は発動させるのが難しいんだ。あることをしないと発動しない。だから、困ってる」
「そうだったんだ…わかったなら、発動条件を教えてくれないか! こっちだけ能力発動させるのはフェアじゃないからね」
と戦っているとは思えないような発言をしてくる。これは罠だろうか…
考える僕は、罠じゃないと思った。
奴は紳士を気取った騎士だと感じるからだ。しかし…能力の発動させるのはいつでも可能だ。でも、発動の仕方によって、効果が違うのだ。
悩む自分に、客たちがブーイングを起こした。それもそのはず。まだ剣をほとんど交わらせていない。だから見ている客たちはつまらないに違いない。
なら、客たちのために動くとしますか!
完全アウェイなコロシアムでわざわざ命をかけて動いてやるんだから感謝しろよ。僕は、戦いを面白くするために動き始めた。
地面に指していた剣先を抜き、そのまま剣先を下に向けたまま、体を脱力させて相手に近づく。そして、顔をから何を考えているのか読まれないために、顔をふせて歩く。
その行動は完全にやる気を失くした人間の行動に見えるだろうか。まぁ、やる気の失くした奴が、そんな行動するわけないんだけどな。
僕は少しずつ近づく。すると、どうだろう。相手は僕と同じように剣を下ろしているではないか! チャンスだ。
相手との距離が剣先の間合いに入る。だが、2人とも動かない。僕はまだ近づく。そして次の瞬間、僕は剣を相手の首を目がけて振った。
ブン。
風を切る音がする。しかし、僕の攻撃は当たらなかった。
「何!」
僕は絶対に躱すことの出来ない距離で攻撃したはずなのに、当たらなかった。それもそのはず、相手は僕の攻撃を読んでいたのだ。攻撃したタイミングで上半身を物凄く、そって避けたのだ。そんな馬鹿なだ。
普通あんなに体をそらすことは出来ない。現に僕は出来ない。だが、それをやってのけるのだから、もう勝てる訳が無い。
仰け反った体をゆっくりと元に戻して相手はこう言った。
「これで終わりかい?」
煽ってきている。なら…
僕は剣を振り回した。しかし、それをすべて綺麗に避けていく。それを見ている観客も楽しそうに湧いている。
これはどう見ても勝てる見込みが無いことを意味しているのだろう。それどころか、誰も僕が勝つ未来など見えていないのだろう。それは僕も同じだった…
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
拝啓神様。転生場所間違えたでしょ。転生したら木にめり込んで…てか半身が木になってるんですけど!?あでも意外とスペック高くて何とかなりそうです
熊ごろう
ファンタジー
俺はどうやら事故で死んで、神様の計らいで異世界へと転生したらしい。
そこまではわりと良くある?お話だと思う。
ただ俺が皆と違ったのは……森の中、木にめり込んだ状態で転生していたことだろうか。
しかも必死こいて引っこ抜いて見ればめり込んでいた部分が木の体となっていた。次、神様に出会うことがあったならば髪の毛むしってやろうと思う。
ずっとその場に居るわけにもいかず、森の中をあてもなく彷徨う俺であったが、やがて空腹と渇き、それにたまった疲労で意識を失ってしまい……と、そこでこの木の体が思わぬ力を発揮する。なんと地面から水分や養分を取れる上に生命力すら吸い取る事が出来たのだ。
生命力を吸った体は凄まじい力を発揮した。木を殴れば幹をえぐり取り、走れば凄まじい速度な上に疲れもほとんどない。
これはチートきたのでは!?と浮かれそうになる俺であったが……そこはぐっと押さえ気を引き締める。何せ比較対象が無いからね。
比較対象もそうだけど、とりあえず生活していくためには人里に出なければならないだろう。そう考えた俺はひとまず森を抜け出そうと再び歩を進めるが……。
P.S
最近、右半身にリンゴがなるようになりました。
やったね(´・ω・`)
火、木曜と土日更新でいきたいと思います。
その科学は魔法をも凌駕する。
神部 大
ファンタジー
科学が進みすぎた日本の荒廃。
そんな中最後の希望として作られた時空転移プログラムを用い歴史を変える為に一人敵陣に乗り込んだフォースハッカーの戦闘要員、真。
だが転移した先は過去ではなく、とても地球上とは思えない魔物や魔法が蔓延る世界だった。
返る術もないまま真が選んだ道は、科学の力を持ちながらその世界でただ生き、死ぬ事。
持ちうる全ての超科学技術を駆使してそんな世界で魔法を凌駕しろ。
僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~
SHIN
ファンタジー
それは、ある少年の物語。
ある日、前世の記憶を取り戻した少年が大切な人と再会したり周りのチートぷりに感嘆したりするけど、実は少年の方が凄かった話し。
『僕の兄上はチート過ぎて人なのに魔王です。』
『そういうお前は、愛され過ぎてチートだよな。』
そんな感じ。
『悪役令嬢はもらい受けます』の彼らが織り成すファンタジー作品です。良かったら見ていってね。
隔週日曜日に更新予定。
冒険者パーティから追放された俺、万物創生スキルをもらい、楽園でスローライフを送る
咲阿ましろ
ファンタジー
とある出来事をきっかけに仲間から戦力外通告を突きつけられ、パーティを追放された冒険者カイル。
だが、以前に善行を施した神様から『万物創生』のスキルをもらい、人生が一変する。
それは、便利な家具から大規模な土木工事、果てはモンスター退治用のチート武器までなんでも作ることができるスキルだった。
世界から見捨てられた『呪われた村』にたどり着いたカイルは、スキルを使って、美味しい料理や便利な道具、インフラ整備からモンスター撃退などを次々とこなす。
快適な楽園となっていく村で、カイルのスローライフが幕を開ける──。
●表紙画像は、ツギクル様のイラストプレゼント企画で阿倍野ちゃこ先生が描いてくださったヒロインのノエルです。大きな画像は1章4「呪われた村1」の末尾に載せてあります。(c)Tugikuru Corp. ※転載等はご遠慮ください。
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
悪役令嬢にざまぁされた王子のその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。
その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。
そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。
マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。
人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
楽園の魔法(マジック・オブ・エデン)〜魔法を破壊する闇魔法を使う少年と万能の光魔法を使う少女が出会い、世界を守る〜
中田 旬太
ファンタジー
世界には魔法が存在し、人々の魔力を喰らって進化する生物『喰魔(イーター)』と悪の魔法師たちが人々の平和を脅かしていた。
そんな世界で主人公の『黒鬼春』は小学三年生のとき、喰魔に目の前で両親を殺されてしまう。
絶望し、自分の弱さに打ちのめされた春は強くなるため、人々を守るために『魔法防衛隊』へ入隊するのだった。
そんな彼にはある一つの悩みがあった。
彼は幼少期から銀髪の女性と談笑する夢をよく見ていた。その女性が一体誰で、なぜそんな夢を見るのか頭を悩ませていたある日のこと。彼の前に銀髪の女性とよく似た少女、『白銀耀』が現れた!
彼女は春を見た瞬間、自分と付き合って欲しいと言い出して………!?
魔法を破壊する『闇魔法』を使う少年、黒鬼春。
様々なことができる万能の『光魔法』を使う少女、白銀耀。
二人の出会いは、魔法の『楽園』を巡る壮絶な戦いの始まりだった!
これは運命に導かれた二人が己が宿命に立ち向かう、愛と絆と魔法の物語。
小説で読める少年漫画を目指して頑張ります!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる