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第9話 文句
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姫様の部屋の前で騒いでいた僕達は、話をするために姫様の部屋の中にいた。
その部屋は姫様が1人でいるにはどう考えても広すぎる。この部屋だけで何十畳あるんだと言えるほどだった。そんな部屋の中には大きな長机があった。20人は座れると思われるサイズだ。
僕とガリューゲル、それに女騎士に姫様を含めた4人で端っこに向かい合うような形で座っていた。
「それでどうして部屋に帰ったはずの勇者様が、私の部屋の前で騒いでいたのですか?」
「ああ、それは姫様に文句を言うためだ」
「私にですか?」
姫様は何かしただろうかと考え始めようとしていた。
だが、姫様の横に座っていた女騎士が突っかかってきた。
「姫様に文句だと! 貴様ら、死ぬ覚悟は出来ているのだろうな!」
今にも立ち上がり、腰にぶら下げている剣を抜いて襲いかかってきそうだった。
「あれ? 私も入ってる感じ?」
僕の横に座るガリューゲルさんがボヤいた。それをこの部屋にいた誰もが聞き流した。
「それでどう言った文句を言いに来たのでしょう?」
姫様が喋り始めたことで女騎士の動きは、僕たちを威嚇するだけで止まる。
「それなんだが、僕の世話をする者がいないことを言いに来た。このままでは、餓死してしまうからな」
と僕は姫様に説明した。
「その事ですか」
あまりにあっさりした返事が返ってきた。どうやらこのことを軽視しているようだ。
「僕にとっては命に関わる事なんですが…」
と軽視しないでくれと訴える。
すると姫様も理解してくれたのか、その事について詳しく話してくれた。
「勇者様。今年からはお世話係などいませんから、ご自由になさって下さい」
あれ? いないの。
ガリューゲルの話と違うな。
「でも、新しい人が明日来るって、聞いたんだが?」
「ああ、その子は関係ありません。ただ、城内の人手が足りないので雇うだけです」
そうだったのか。
まんまと騙されたぜ。
僕は隣に座るガリューゲルさんを睨みつけた。ガリューゲルさんも気づいたらしく、僕が睨んだと同時に顔を反対に向けて口笛を吹き始めた。
誤魔化すつもりらしい。
はぁ、そうだったんだな…
僕は納得せざる負えなかった。
「分かった。すまなかったな」
と言って席を立つ。
「あれ? もう帰られるのですか?」
「はい、要件はそれだけだったので…」
「そうですか」
僕はそのまま姫様の部屋を後にした。
その後ガリューゲルさんと一緒に飯を食って部屋に帰った。
その部屋は姫様が1人でいるにはどう考えても広すぎる。この部屋だけで何十畳あるんだと言えるほどだった。そんな部屋の中には大きな長机があった。20人は座れると思われるサイズだ。
僕とガリューゲル、それに女騎士に姫様を含めた4人で端っこに向かい合うような形で座っていた。
「それでどうして部屋に帰ったはずの勇者様が、私の部屋の前で騒いでいたのですか?」
「ああ、それは姫様に文句を言うためだ」
「私にですか?」
姫様は何かしただろうかと考え始めようとしていた。
だが、姫様の横に座っていた女騎士が突っかかってきた。
「姫様に文句だと! 貴様ら、死ぬ覚悟は出来ているのだろうな!」
今にも立ち上がり、腰にぶら下げている剣を抜いて襲いかかってきそうだった。
「あれ? 私も入ってる感じ?」
僕の横に座るガリューゲルさんがボヤいた。それをこの部屋にいた誰もが聞き流した。
「それでどう言った文句を言いに来たのでしょう?」
姫様が喋り始めたことで女騎士の動きは、僕たちを威嚇するだけで止まる。
「それなんだが、僕の世話をする者がいないことを言いに来た。このままでは、餓死してしまうからな」
と僕は姫様に説明した。
「その事ですか」
あまりにあっさりした返事が返ってきた。どうやらこのことを軽視しているようだ。
「僕にとっては命に関わる事なんですが…」
と軽視しないでくれと訴える。
すると姫様も理解してくれたのか、その事について詳しく話してくれた。
「勇者様。今年からはお世話係などいませんから、ご自由になさって下さい」
あれ? いないの。
ガリューゲルの話と違うな。
「でも、新しい人が明日来るって、聞いたんだが?」
「ああ、その子は関係ありません。ただ、城内の人手が足りないので雇うだけです」
そうだったのか。
まんまと騙されたぜ。
僕は隣に座るガリューゲルさんを睨みつけた。ガリューゲルさんも気づいたらしく、僕が睨んだと同時に顔を反対に向けて口笛を吹き始めた。
誤魔化すつもりらしい。
はぁ、そうだったんだな…
僕は納得せざる負えなかった。
「分かった。すまなかったな」
と言って席を立つ。
「あれ? もう帰られるのですか?」
「はい、要件はそれだけだったので…」
「そうですか」
僕はそのまま姫様の部屋を後にした。
その後ガリューゲルさんと一緒に飯を食って部屋に帰った。
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