ポニーテールの勇者様

相葉和

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103 初めてのオンラインそろばん授業

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「あーあー、あえいうえおあおー。あめんぼあかいなあいうえおー・・・」
「ユリよ、何を言っておるのじゃ?」
「発声練習よ。なまむぎなまごめなまたまごー・・・」
「ユリお姉ちゃん、緊張してるの?」
「まあ、そうね・・・初授業だしね」

ついにこの日が来た。
今日は初めてそろばんのオンライン授業を行う日。
放映の魔道具を使って、ニューロックの各町にむけて放送を行うのだ。
まだ決まった放送日や放送時間は決めていないが、とりあえず第一回目は特別授業という事で、カークから計算能力向上計画の概要説明と、わたしからはそろばんの使い方とデモンストレーション、そして『かけ算九九』について説明することになっていた。

苦労して作り上げたそろばんと、十級、九級の問題集は量産され、各地に順次配送する準備が整っている。
お膝元のコーラルの町では先に販売を始め、既に手に入れている人もいた。
もちろんカークの側近達やアーガスのメンバー、そしてミライにも既にそろばんと問題集は渡してあり、ミライを含む数名にはオンライン授業の練習がてら、先に個人授業で基礎を教えていた。
そんなわけで今回のオンライン授業はアシスタントとしてミライにも手伝ってもらう事になっていた。

「ユリお姉ちゃん、頑張って!」
「うん、ガンバリマス」
「建国宣言の時には立派に演説できていたではないか。大丈夫じゃ」
「うん、ガンバリマス」

そろばんを知らない世界に布教するという、わたしの中では一大イベントだ。
建国宣言時の時とは違う緊張感でカチカチになっていた。
すっかり頑張りますロボになっている私の横にはいつも通りディーネもいる。
いるだけで心強い相棒だ。
落ち着けわたし・・・

スタジオと化している会議室には、アドルやエリザ、そしてサラとアフロも見守っていてくれている。

・・・大丈夫。最初が肝心。がんばろう!

時間となり、放送が始まった。

何人が視聴してくれているのかは分からないが、できるだけたくさんの人が見てくれているといいなと思いながら、まずはカークによる『計算能力向上計画』の説明が始まった。

「・・・というわけで、このそろばんという技術は国を上げての施策である。建国宣言の時にも触れたが、優秀な者には今後の役人登用でも優遇する予定であるので、ぜひ励んで欲しいと思う。それではユリ殿、頼む」

私は頷くと、放映の魔道具の前に立った。
ミライとディーネも私の横に控えている。

「皆様、初めまして。あ、いや、建国宣言の日にもご挨拶しているので初めてではないかもしれませんけれども、初めましての方もいらっしゃると思いますので、初めましての方は初めましてで、その、よろしくお願いします!」

うわああ、ダメな滑り出しだ・・・
カークさん、苦笑してるし・・・

そんなわたしに続き、すかさずミライが挨拶をした。

「はい!ミライです。緊張しているユリお姉ちゃんを助けて、頑張ってお手伝いをします。よろしくお願いします!」

右手を大きく上げ、ミライが元気いっぱいにご挨拶した。

ナイスフォローよ、ミライちゃん!
ミライちゃんはちゃんと挨拶ができているし、わたしもしっかりしないと・・・

気を引き締めたわたしは、そろばんの説明を始めた。

そろばんを学ぶことで計算能力が高くなること、いずれ暗算でちょっとした計算はできるようになること、達人になればとんでもない桁の計算が出来るようになるし、記憶力や集中力もつくこと等の説明を一通りしてから、そろばんそのものの説明に入った。

「まずはそろばんの玉の意味と、はじき方を説明します。そろばんは各地への配送が始まったばかりですので、まだみなさんの手元にはないかもしれません。ですので今日は簡単な基本だけを学びましょう」

わたしはそろばんがよく見えるようにそろばんを胸の前で縦に持ち、投映の魔道具に近づけた。
そしてそろばんの全面を見てもらうためにさまざまな角度に持ち替えながら、各部の名称について説明した。

「・・・上の玉と下の玉を分けているこの梁の下の段にある四つずつの玉、これは一つの玉が数字の1を表します。上の段の玉は一つで数字の5を表します。今は縦に持っているので五の玉が全て下に下がっていますが、上の段は上に上がっている状態、下の段は下に下がっている状態が初期状態、ゼロとなります」

指でそろばんの玉をさしながらそう説明する。

・・・説明用の巨大そろばん、作っとこうかな。
あれがあると説明には便利なのよね。
縦にしても玉が下に落ちないように芯と玉の隙間をキッチリ固めにして・・・
あとでエスカさんに相談しよう。

「下の玉を一つ上げると1、二つ上げると2、という具合になります。上の玉をひとつ下げて、下の玉を一つ上げると6、という具合です」

次に、実際にはじいているところを見てもらうためにミライにそろばんを渡して、机についてもらった。
投映の魔道具をミライの手元に向け、説明を続ける。

「梁には、三桁ごとに点が打ってあります。これは『定位点』といいます。どこかの定位点を一の位と決めて、そこから左にずれるたびに十の位、百の位、千の位、と桁が増えていきます」

説明に合わせてミライが指を定位点の位置からトントンと左にずらしていく。
実に優秀なアシスタントだ。

「次に玉の動かし方について説明します。玉を動かすための指の使い方には決まりがありますのでしっかり覚えてください」

ミライが左手でそろばんをしっかり押さえ、右手は人差し指と親指以外を握り込んではじく構えを取った。

「上の段の五の玉は人差し指ではじきます。足す時の事を『置く』とか『入れる』と言いますが、置く時は人差し指で下に動かします。引く事は『はらう』と言いますが、はらう時も人差し指ではらいます。上の段はどんな時でも人差し指しか使いません」

ミライはパチンパチンと人差し指で五の玉を下げたり上げたりしてみせた。

「下の段の玉は、置く時には親指ではじきます。1の時は玉を一つだけ上げます。2の時は二つ、3の時は三つ、4の時は四つすべての玉を上げます」

説明に合わせてミライがパチパチと玉を上げていく。
そろばんの上では、定位点の位置に下段の玉が四つ、上に上がっていた。

「下段の玉をはらう時ですが、これは状況によって少し変わります。今、四が置かれていますが、ここから1から4までを引く時には人差し指を使います。ためしに2を引いてみましょう。一度に二つの玉を下げます」

ミライは人差し指でパチンとニつの玉を下げた。
現在、そろばんの上には2が置かれている。

「下の玉は、繰り上がり、繰り下がりなどで五の玉と一緒に動かす時には親指ではらいます。五の玉との連動や、繰り上がりと繰り下がりの玉の動かし方には一定の決まりがありますが、そう多くはありません。それに決まりと言っても合理的というか、頭で考えられるものです」

そこで、ためしに4を足してみることにした。

「今、そろばんの上には2が置かれていますが、そこに4を足そうとしても、下の段は4までしか置けないので、下の段だけでは『2足す4』の答えである『6』が表現できません。そこで五の玉を使うわけですが、この時『足したい4は、5よりも1少ない数』と考えると、『4を足すには1を引いて5を足す』をすれば良いことがわかります。これをそろばんの上でやればよいのです。つまり、下の段の玉を一つ下げ、五の玉を置きます」

わたしの説明をきいたミライが、人差し指で下の玉を一つ下げ、同じく人差し指で五の玉を下げて6とした。

「慣れるまでは『1を引いて5を置く』のように順番に玉を動かしても良いですが、慣れたらこの動作を一度に行います」

ミライは一度そろばんをご破算にして2を置き直すと、今度は人差し指と親指で同時に五の玉を置く動作と一の玉を下げる動作を行って6にした。

おお、ミライちゃん、本番でもちゃんとできてるね!
教えた甲斐があったよ!
ミライは既に簡単な足し算の繰り上がりであればできるようになっていた。
ミライは暇があれば一人でも楽しそうにそろばんの練習をしていた。
なにより子供は吸収も早い。
この星で最初の一級取得はミライになるかもしれないな、と思いながら説明を続けた。

「6に7を足すような時にも同じような考え方で、『7は10よりも3少ない数なので、7を足すためには3を引いて10を足す。つまり6に7を足すためには6から3を引いて十の位に1を足せばいい。そして6から3を引くためには2を足して5を引けばいい』と考えると、そろばんの上では『6に2を足して5を引いて十の位に1を足す』となり、このように動かして・・・13となります」

わたしの説明に合わせてミライがパチパチとはじき、そろばんの上には13が置かれた。

「このような繰り上がりと繰り下がりの置き方については実際にそろばんの実物を使った方がわかりやすいと思います。今後の講義の中でも説明していきますが、初歩の練習問題集の冒頭にも図解付きで説明を載せてあります。それに覚えると言っても、頭で覚えるのは最初のうちだけです。練習を繰り返すうちに、自然に体で覚えてしまいますので大丈夫です」

ここまでの説明は順調だと思う。
ミライの調子も良いので、このまま予定通り進めることにする。
次はデモンストレーションをやるのだ。

「では、これから簡単な『読み上げ算』というものをやってみます。わたしが数字を読み上げるので、ミライちゃんにはその数字を順に足していってもらいます。見ている方はまだ繰り上がりの方法がよくわからないかもしれませんが、まずはご覧になってください。なお、そろばんは商売に密接した技術ですので数字の単位は通貨の単位をそのまま使います」

・・・『円』ではなくて『トール』だとなんか語呂が悪いと感じるけど、それはわたしの感覚だから、ちゃんとこの星に合わせないとね。

では行きます、と言って軽く咳払いすると、ミライが姿勢を正してそろばんの前で構えた。

「願いましては・・・1トールなり、2トールなり、1トールなり、5トールでは!」

『願いましては』とか『なり』とかは説明していないけど、まあ大丈夫だろう。
なんとなく『そんなもんだ』と思ってもらえればいい。

はじき終えたミライが手を上げて答えを読んだ。

「9トールです!」
「ご明算です!」

にっこり微笑むミライ。
正解にこっちも一安心だ。

「次は繰り上がりがあるので頑張ってね。準備はいいですか?・・・では、願いましては、3トールなり、4トールなり、5トールなり、8トールでは!」

ミライがついていけるように、さっきよりもゆっくり読んだ。
ミライはそろばんに乗っている答えを確認するように首を小さく縦に動かしてから、手をビシッと上げた。

「20トールです!」
「ご明算です!よく出来ました!」

心から称賛の言葉が出た。
ミライちゃんすごい!
こんな小さい子でも二桁になる加算ができるという、とてもよいデモンストレーションが行えたと思う。

わたしは投映の魔道具を元の位置に戻してもらい、再び最初の投映位置で説明を始めた。

「今日はそろばんというものについて、紹介を兼ねて説明とデモンストレーションをさせていただきました。間もなくみなさんの町にもそろばんと練習用の問題集が届くと思いますので、ぜひお手に取って練習してみてください。そして、そろばんと合わせて覚えてほしいことがありまして・・・」

わたしは手振りで壁の方に投映の魔道具を向けるように指示した。
壁には『かけ算九九表』が貼られている。

「こちらをご覧ください。これは『かけ算九九表』といいます。そろばんではかけ算、割り算も行いますが、そのためには一桁のかけ算について全て覚えてもらわなければなりません」

かけ算九九表は、左上から1×1=1、1×2=2・・・右下に向かって9×8=72、9×9=81と、日本でもお馴染みの表記で記載されている。

「わたしの星では、大体8歳くらいで覚えるものですが、早くても構いません。わたしは3歳で覚えましたので」

その発言を受けて、撮影スタジオである会議室内でざわめきが起こった。

・・・ああ、初めて言ったかもしれないね。 
でも早く覚える子はそんなもんだから。
とはいえ、一応釘は刺しておこう。

「ただ、早く覚えさせればよいというものではありません。小さい子に無理強いして覚えさせるのはかえって頭をこわばらせたり、数字嫌いになったりしますので。自分でやりたいと思った子には早めに教えてあげてください」

概ね6歳から8歳ぐらいでいいですよ、と付け加えて、かけ算九九表に顔を向けた。

「覚え方ですが、語呂の良い読み方で、口に出して何度も繰り返して丸暗記が良いと思います。小さい子向けのそろばんの授業では、授業の最初に皆で復唱してから行うこともありますので、当面はこのオンライン授業でも行いたいと思います」

かけ算九九表は問題集にも乗っていること、そこには読みやすい語句も添えてあること、できれば大きな表にして目につくところに置いておくと良いことなどを付け加えた。

「それではかけ算九九表を読み上げます。わたしが言った後に、ミライちゃんと、こちらの会議室にいる皆さんは復唱してくださいね」

再び会議室がざわついた。
まさか自分らにも振られるとは思っていなかったのだろう。
これはわたしのアドリブだが、せっかくなので巻き込ませていただく。

わたしは水の魔術でシュッと手に光る指示棒のようなものを作り出し、九九を一つずつ差しながら読み上げを始めた。

「ではいきます。いんいちがいち!」
「「「いんいちがいち!」」」
「いんにがに!」
「「「いんにがに!」」」

わたしは『言語理解の魔道具』でこの星の言葉を聞いたり話したりしているので、厳密には日本様式の語呂とは違うかもしれないが、とにかく一定の語句で皆に等しく覚えてもらうことが効率的で一番良いと思う。

一通り読み上げ終えると、今日の授業の終了を告げた。

「今日の授業はここまでです。授業がない時でも、ぜひ九九表の暗記やそろばんの自主練習を行ってみてください。ただし最初はあまりこんを詰めないように、長くても一刻程度にしてください。大切なのは、練習中は集中して行うことです」
「はーい!」
「では今日の授業を終わります。ありがとうございました」

ミライがタイミングよく返事をしたところで授業を終了し、放映を止めた。

「疲れたー!みなさん、ありがとうございました!」
「おつかれ!」
「お疲れなのじゃ!」
「ユリお姉ちゃん、おつかれさまなの!」

わたしは心地よい疲労感と充実感に浸りながら、次回の授業も頑張ろうと心に誓った。



翌日、カークに呼び出されたわたしは、カークの執務室に向かった。

「ユリ殿。昨日の放送だが、反響がものすごいぞ。問い合わせが殺到していて大変だよ」
「本当ですか!嬉しいです。みんなそろばんに興味を持ってくれたのですね」
「あー、うん、もちろんそろばんの問い合わせも多い。いつになったら手に入るのかとか、コーラルに転居して直接教わりたいとかもあるのだが・・・」

ん?なんか歯切れが悪い?

「一番の反響はミライちゃんだ。あの子は何者だとか、お友達になりたいとか、取材させてほしいとか、ぜひ養子にしたいとか、それはもうものすごい勢いで来ているぞ」

ミライちゃん?
てか養子?
ミライちゃんのそろばん能力だけを利用しようとか思ってないだろうね・・・

「えーと、対応するかどうかはドルフさんとミライちゃんにも聞いてみますけど、流石に養子はお断りしてください。ドルフさんが泣くか、怒ると思います」
「もちろんだ。とにかくミライちゃんは大人気なようなので、次の放送にもぜひ出演してほしいと思っている。何なら給料も出そう」

思わぬところで未来のアイドルが誕生した瞬間だった。
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