上 下
35 / 47

第35話 ギャル風紀委員長から告白!?

しおりを挟む
 遥は、明日には退院できるようだった。なんて驚異的な回復力――いや、頭だ。

 病室を出ると遥パパがいた。


「遙くん、帰りは送ろう」
「いや、大丈夫ですよ。歩いて帰れますし」
「そうかね。その……なんだ。遙くん。これからも遥を頼むよ」
「はい、任せて下さい」


 別れを告げ、俺は病院を出た。


 * * *


 外へ出ると『ライン』が入った。
 遥からだ。


 遥:今日はありがとね、遙くん

 俺:気にすんな。明日には帰ってこれるんだろう?

 遥:うん。寂しいけど、マンションで待ってて

 俺:ああ、明日は迎えに行くよ

 遥:大丈夫。パパが送迎してくれるっさ

 俺:それならいいか。分かった、待ってるよ


 スタンプも添えて、俺は一度スマホをポケットへ閉まった。

 外はすっかり夜。
 ひとりで行動するなんて、いつ振りだろう。いつも隣には必ず遥がいた。けれど、今はひとりぼっち。

 なんだか昔に戻った気分だ。

 マンションへ戻り、いつもの生活をはじめる。と、言っても遥はいない。寂しいなあ


「まずは風呂でも入るか」


 脱衣所へ向かう。
 扉をあけると、遥の下着が転がっていた。……って、うわッ! 遥のヤツ、なんで放置しているんだよ……!

 さすがに散乱させておくわけにはいかない。俺は、それを素手で掴み、拾ってカゴへ入れておいた。くぅ、なんだかヘンな気分になるな。

 シャワーを浴び、風呂を出るとスマホが鳴った。親父からだ。


「どうした、親父」
『おう、遙か。聞いたぞ、大変だったんだな』
「ああ、テロ事件に巻き込まれた」

『はあ? なに言ってんだお前』

「信じてくれ、本当だ。ニュース見たろ、公園で爆発騒ぎのヤツ」

『あ~! あれか、あれって遙、お前だったのか』

「違う元校長の奥村の仕業だ。俺は、地域を守ったんだぞ」
『なるほどな。お前は昔からトラブルに巻き込まれやすい体質だったしな』


 認めたくはないけど、その通り。これは運命かな。けど、おかげで遥とは出会えたし、結婚に関してはとても運が良かった。幸せしかない。


「とにかく、こっちは無事だ」
『そうか、それは良かったが、一度お祓いでも行った方がいいかもな』
「そうするよ。それじゃ、切る。おやすみ」
『うむ。また何か困ったことがあったら言ってくれ』


 親父との通信が切れた。
 一応、心配してくれたんだな。


 その後、俺はカップラーメンを作って晩飯を済ませた。スマホで世界情勢を巡っていると、あっと言う間に深夜。俺はいつの間にか眠ってしまっていた。


 ――翌朝。

 学生服に着替え、ひとまずは当校。午後に早退してマンションへ帰ることにした。午前中はおそらく、まだ検査とかあるだろうしな。


 いつもの通学路を行く。
 ひとりぼっちって寂しいなあ。

 などと哀愁を感じていると、背後から呼ぶ声がした。


「天満くん」
「……ん? って、風紀委員長」
「あ~、そうでした。あたしの事は名前で呼んで。こっちは遙くんって呼ぶので」

「じゃ、じゃあ……椎名。なにか用?」
「遙くん、珍しくひとりですよね」
「あ、ああー…、昨日いろいろあってな。遥が入院中なんだ」

「昨日の事件、関係あったり?」

「昨日、椎名が戻ってから遥は足を滑らせて階段から落ちたんだ。軽い脳震盪のうしんとうだった。でも、もう大丈夫だ。遥は今日にでも帰ってくる」
「良かったです。小桜さん、復帰できるんですね」

「うん。だからもう安心してくれ」


 椎名もホッとしていた。
 どうやら心配してくれていたみたいだな。


「それでは、学校まで一緒に歩きましょう。どのみち、一緒の学校ですし」
「そ、そうだな。いいけど」

「ありがとうございます」

 はじめて椎名と登校するな。相変わらず金髪ギャルだけど、口調は敬語で大人しいっていうか。あんまりギャルっぽくはないんだよな。ちょっと背伸びしている感じ。でも、そのギャップが良い。


「ところで、椎名はなんでギャルしてるの? 風紀委員長なのにさ。お手本となる人物が、それでいいのか?」

「うちの学校の校則は結構緩いですからね。実は、女子は染めてる子も多いですよ。ほら、あそこの子とか栗色ですし」


 確かに、そう言われると見渡す限り茶髪とか金髪もちらほら。そういう時代かね。


「まあ、風紀委員長が良い言うならいいのか」
「はい、大丈夫ですよ~」
「なるほど」
「ところで遙くん」
「ん?」

「遙くんは、ギャルは好みですか?」
「好きか嫌いかで言えば、好きだけどね。意外に優しいみたいだし。少なくとも椎名とは話しやすい」
「うんうん」
「最近、ギャル人気も少し上昇中だし、まあ、ぶっちゃけアリだよな」
「素晴らしい。では、あたしと付き合いましょう」

「は!?」


 突然の告白……?
 マジ?

 いやいや、でも俺には遥がいるからな。結婚しているんだ。無理なものは無理だ。だが、椎名は強かった。


「あ~、小桜さんのことは気にしなくて大丈夫です。これでも、あたしって口は堅いんです。秘密にしておきますし、ナイショで付き合ってくれていいですよ。ていうか、付き合わなくてもいいです。えっちな関係とかでも構いません」


 そ、それは、つまりアレなフレンドってわけか!? 風紀委員長なのに、風紀乱れすぎだろう!!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

連れ子が中学生に成長して胸が膨らむ・・・1人での快感にも目覚て恥ずかしそうにベッドの上で寝る

マッキーの世界
大衆娯楽
連れ子が成長し、中学生になった。 思春期ということもあり、反抗的な態度をとられる。 だが、そんな反抗的な表情も妙に俺の心を捉えて離さない。 「ああ、抱きたい・・・」

妻がエロくて死にそうです

菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。 美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。 こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。 それは…… 限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常

漫画の寝取り竿役に転生して真面目に生きようとしたのに、なぜかエッチな巨乳ヒロインがぐいぐい攻めてくるんだけど?

みずがめ
恋愛
目が覚めたら読んだことのあるエロ漫画の最低寝取り野郎になっていた。 なんでよりによってこんな悪役に転生してしまったんだ。最初はそう落ち込んだが、よく考えれば若いチートボディを手に入れて学生時代をやり直せる。 身体の持ち主が悪人なら意識を乗っ取ったことに心を痛める必要はない。俺がヒロインを寝取りさえしなければ、主人公は精神崩壊することなくハッピーエンドを迎えるだろう。 一時の快楽に身を委ねて他人の人生を狂わせるだなんて、そんな責任を負いたくはない。ここが現実である以上、NTRする気にはなれなかった。メインヒロインとは適切な距離を保っていこう。俺自身がお天道様の下で青春を送るために、そう固く決意した。 ……なのになぜ、俺はヒロインに誘惑されているんだ? ※他サイトでも掲載しています。 ※表紙や作中イラストは、AIイラストレーターのおしつじさん(https://twitter.com/your_shitsuji)に外注契約を通して作成していただきました。おしつじさんのAIイラストはすべて商用利用が認められたものを使用しており、また「小説活動に関する利用許諾」を許可していただいています。

彼女たちは爛れたい ~貞操観念のおかしな彼女たちと普通の青春を送りたい俺がオトナになってしまうまで~

邑樹 政典
青春
【ちょっとエッチな青春ラブコメディ】(EP2以降はちょっとではないかも……)  EP1.  高校一年生の春、俺は中学生時代からの同級生である塚本深雪から告白された。  だが、俺にはもうすでに綾小路優那という恋人がいた。  しかし、優那は自分などに構わずどんどん恋人を増やせと言ってきて……。  EP2.  すっかり爛れた生活を送る俺たちだったが、中間テストの結果発表や生徒会会長選の案内の折り、優那に不穏な態度をとるクラスメイト服部香澄の存在に気づく。  また、服部の周辺を調べているうちに、どうやら彼女が優那の虐めに加担していた姫宮繭佳と同じ中学校の出身であることが判明する……。      ◇ ◆ ◇ ◆ ◇  本作は学生としてごく普通の青春を謳歌したい『俺』ことセトセイジロウくんと、その周りに集まるちょっと貞操観念のおかしな少女たちによるドタバタ『性春』ラブコメディです。  時にはトラブルに巻き込まれることもありますが、陰湿な展開には一切なりませんので安心して読み進めていただければと思います。  エッチなことに興味津々な女の子たちに囲まれて、それでも普通の青春を送りたいと願う『俺』はいったいどこまで正気を保っていられるのでしょうか……?  ※今作は直接的な性描写はこそありませんが、それに近い描写やそれを匂わせる描写は出てきます。とくにEP2以降は本気で爛れてきますので、そういったものに不快に感じられる方はあらかじめご注意ください。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件

森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。 学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。 そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……

女の子にされちゃう!?「……男の子やめる?」彼女は優しく撫でた。

広田こお
恋愛
少子解消のため日本は一夫多妻制に。が、若い女性が足りない……。独身男は女性化だ! 待て?僕、結婚相手いないけど、女の子にさせられてしまうの? 「安心して、いい夫なら離婚しないで、あ・げ・る。女の子になるのはイヤでしょ?」 国の決めた結婚相手となんとか結婚して女性化はなんとか免れた。どうなる僕の結婚生活。

処理中です...