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【300】 グロリアステレポート

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 ヤークト公爵の情報は入手できた。
 これでアイツの事は大体把握はあくした。
 だけど、真の目的は分からないままだ。

 やはり、もう少し情報収集する為にも『海底監獄・イグノラムス』へ行く必要はありそうだな。


「エキナセア、情報に関しては感謝する。でも、お前はまた監禁生活か?」
「――そうだな。私は囚われの身。だが、いつか自由を与えてくれる者が現れるはずだ。それが誰か分からないけど、必ず私は自由になろう」

「自由になってどうする気だ。また帝国・レッドムーンを襲うのか」
「それは、その人次第・・・・・だ。私を解放した者の言葉に従う」

「一国の姫だったものが、そんな事を口にしていいのか」
「構わん。今の生活と自由を天秤に掛けるのなら、自由を選ぶ」

 そうだろうな。
 人間は自由が欲しい生き物だ。
 監禁なんて息が詰まる生活だろう。
 俺は絶対に嫌だ。

「まあ、分かったよ。俺たちは海底監獄へ行く」
「なんだ、今は失われた『シャロウ』の元メンバーに会う気か」
「ああ、答えはそこにあると思うんだ」

「答え――か」

 軽い溜息を吐くエキナセアは、天を仰ぐ。
 なんだ、そんな態度を出されると気になるな。

「何が言いたい」
「なにも。だが、ひとつだけ言える」
「なんだ」

「アトモスフィアは何も語らぬだろう。バオも然り……他のメンバーもな」
「行ってみなくちゃ分からないさ」
「止めはしないさ。精々頑張るがいい」


 エキナセアは小さな羽根で飛び立ち、爺ちゃんのところへ戻った。


「そういうわけで、爺ちゃん。頼むわ」
「もう話はいいのだな」
「あとは『海底監獄・イグノラムス』で情報を集める」

「分かった。だが、海底監獄・イグノラムスへ行ける者は私を含めて三人まで・・・・となる。厳重ゆえ、察してくれ」

 ――となると、ルナかソレイユどちらかを選ばなければならない。俺としては二人ともついて来て欲しい。

「あたしはパスしておくわ」
「ソレイユ……だが」
「いいの。あたしは『シャロウ』のメンバーではなかったし、その辺、カイトとルナは所属していたんでしょう。なら、適任じゃない」

 そうか、ルナは過去、一時的にしろ『シャロウ』のメンバーだった。多少、ギルドの事にも詳しい。俺とルナで行こう。

「それでいいか、ルナ」
「はい、わたしはそれで構いません。ソレイユ、申し訳ありませんが……この場を頼みます」

 と、ルナはソレイユに激励した。

「ええ、任せて。このオルビスの塔を守るのが帝国の騎士としての役目だもの! じゃあ、二人とも良い情報を持って来てよね!」

「ああ、ソレイユ。しばらくお別れだ」
「……うん」

 ソレイユの方から抱きついてきた。
 俺は彼女の気持ちに応えた。

 帝国の騎士とはいえ、女の子だ。普段は強気なソレイユだが、こういうか弱い一面もあるから、俺は好きだ。


「爺ちゃん、そろそろ頼む」
「分かった。海底監獄・イグノラムスへ行く方法はただひとつ。我が『グロリアステレポート』のみが記すメモリーで転移可能なのだ」

「グ、グロリアステレポート!?」


 詳細を見せてくれた。


【グロリアステレポート】Lv.5(MaxLv.5)
【系列】補助
【習得条件】賢者の心眼
【効果】
 対象:自分/パーティ/ギルド

 あらゆる場所へ転移可能。
 最大五つの『座標』をメモリーできる。
 その場所へテレポートする。
 転移禁止エリアなど特殊なダンジョンもメモリー可能。ただし、特異点でのメモリーは不可能とする。


 ――なんだ、このスキル!
 そうか、爺ちゃんは『大賢者』だから、こういうスキルがあるんだな。さすがというか、何と言うか。だけど、これでようやく先へ進める。


「臨時パーティを結成する。カイト、ルナ様。承諾を」


 俺とルナは爺ちゃんから飛ばされたパーティを『承諾』した。これでテレポートの対象となるわけだ。


「準備完了だ」
「わたしも問題ありません」


「――よろしい。では、テレポートを開始する。転移、海底監獄・イグノラムス!!」


 俺達は、青い白い光に包まれた――。
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