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【287】 手紙と月と太陽の聖典

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 ジェネラル氏と別行動を取る。
 彼らは別のルートから侵入。タイミングを見計らって助力、ルナ達の救出に回ってもらう。

 俺とモニカちゃんは、ヤークト公爵を叩く。

「きっとどこから入っても気づかれるだろうな」
「うん、だから真正面から堂々がいいと思う★」

 その正面には背より高い門と外壁があった。ジャンプすれば何とか入れるだろう。無駄な労力の消費は避け、門を飛び越えるしかない。

「モニカちゃん、俺が抱えて跳ぶよ」
「おにーさんのえっち★」
「多少の密着は目を瞑ってくれ」
「いいよ、おにーさんなら」

 真面目な言葉で返してくるものだから、不意を突かれた。……なんか照れるが、照れている場合でもない。俺はモニカちゃんの小さな体を持ち上げ、お姫様抱っこ。

 ……軽ッ。
 ミーティアに匹敵する軽さだな。


 そのまま駆けて門の前で跳躍ジャンプ


「――とりゃッ!」
「わぁ、たかぁ~~~い★」


 青い月を背に、俺は門を突破する。
 庭に着地すると、そこには『青い屋敷』と『青い花』が広まっていた。……なぜこんな青色に染まっている? ブルームーンのせいか?


「……とにかく、中へ」
「ねえねえ、おにーさん★ あっちの広間っぽい大窓開いてない?」


 指をさすモニカちゃんの方角を見ると、そこが僅かに開いていた。良かった、あそこからは入れそうだな。

 そのまま窓前まで行くと確かにスライドドアが少し開いていた。庭と繋がっているから、普段利用しているんだろうな。閉め忘れか。


「これで中へ入れるな」
「うん、ところでおにーさん」
「ん?」
「このままが良いの~? ずっとわたしを抱えたままだけど★」
「……あ。うん、下ろすね」

 そっと立たせた。けれど、モニカちゃんはなぜか俺に抱きついてくる。……えぇ?

「……おにーさん、ありがとね★」
「なんだか本当の妹みたいだな」
「それでも構わないよ★ でも、おにーさんにはダークエルフのミーティアちゃんがいるんだっけ~…ちょっと寂しいなぁ」


「いや、モニカちゃんも大切な仲間であり、妹みたいなものさ」
「嬉しいなぁ。わたし、パラレログラムで家族を全員失っちゃったから……」
「モニカちゃん……」

「ジェネラルさんやプライム、ナイツさんも同じだよ」


 ――そうか、パラレログラムはガラテイアの手によって壊滅した。だから、巻き込まれた人達も大勢いるだろうな。モニカちゃんの身内も――ジェネラル氏やプライム、ナイツさんそういう理由なんだ。

 奇跡的にも生き残り、わらにも縋る思いで最果ての国からやって来た。そんな国が大変な時に俺の為に動いてくれている。感謝しかないじゃないか。


「よし、この件をさっさと終わらせてパラレログラムを救おう」
「おにーさん、ありがと★」


 ぎゅっと抱きついてくるモニカちゃん。この子はきっと寂しかったんだろうな。俺が守らないと……!


 ◆


 ヤークト公爵の屋敷内部を静かに歩いていく。この何処かに宝石に閉じ込められているルナ達がいるはずなんだ。

「部屋をひとつひとつチェックしているけど、それらしい場所は見当たらない。公爵もどこにいるんだ……?」

「ゲストルームみたいな部屋ばかりだね。でも、この二階の先はちょっと雰囲気が違うような」


 モニカちゃんの言う通り、階段の前で分かったけど二階は少し違った。この上にいるようだな。

 ゆっくり階段を上がって、少し歩いた所に扉があった。なぜか開いていて、そこへ入った。


「書斎か。誰もいないな」
「あ、おにーさん。あの机の上に何かあるよ」
「これは手紙……か?」


 目を通してみると、そこにはこう書かれていた。



『父上ネーレウスへ。
 フォトンの魔導兵器・ミラージュでは役不足でした。元将軍ベルガマスク・セルリアンの娘のよしみで手を尽くし、結果――あの惨敗。
 もう私が出るしかないでしょう。そこでまずは手鳴らしに最果ての国・パラレログラムの攻略を三日以内に完了しました。次は帝国・レッドムーンの侵攻に向けます。ですが、その前に【海底監獄イグノラムス】へ向かい、元シャロウのメンバーであり、同郷のコレリックを引き入れます。彼女の持つ大量の“パライバトルマリン”は必要です。

 では、お身体にお気をつけて。

 追伸:【月と太陽の聖典】を同封します。――ガラテイアより』



 これは……ガラテイアの手紙?

 まさか公爵とガラテイアは……親子!
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