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【278】 アルバイトが増えた
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俺を含めて八人が長テーブルを囲っていた。かつて、これほどの人数で食事をした事はなかったな。
「カイト殿、今日はこのような素晴らしいホテルに招きくださって感謝しかありませぬ」
「いや、あのジェネラルさん。ここはホテルではなく、お店です」
「なんと! 五階建てでしたので、てっきり。これは失礼を」
「いえいえ」
普通はそう思うよな。
五階建てのイルミネイトは、一階が食堂や応接室、二階が客室、三階が倉庫・物置部屋、四階がソレイユとミーティアの部屋、最上階である五階が俺とルナの部屋となっていた。ちなみに、五階には温泉もあった。
正直、ホテルと遜色ないし、あと十人、二十人は余裕で向けられるキャパシティがあった。本来なら、ホテルとしての経営も可能だろうな。でも、そうしてしまうとプライベートが無くなってしまうし、俺はそもそも『レベル売買』を生業にしているので却下だ。
「海人様、お茶です」
「おう、ありがとう、ルナ」
そんな説明をしていると、ルナがお茶を淹れてくれた。それをゆっくりと味わっていると、モニカが口を開く。
「それにしても、メイドさん……ルナさんってすっごく美人だよね★」
「モニカちゃんもバニラ色のツインテールで可愛いですよ」
「えへへ、嬉しいなー★ これ気にってるの~★」
と、二人は楽しそうにしていた。
気づけば、ミーティアもビリヤードのお姉さんナイツと。ソレイユは、あのノコギリ少年のプライムと会話を交わしていた。
俺は、ジェネラルさんと話すしかなさそうだな。
「――それで、ジェネラルさん。明日はどうしますか?」
「それなのですが、まずは帝国を知るために観光をしようかと思いますよ。経験はより人間を成長させるものです。なにもレベルだけが目的ではないのですからね」
「失礼ながら、最果ての国出身となると情報量も少ないでしょう。なら、この帝国・レッドムーンで少しでもお役に立てる知識を蓄えていって下さい」
「ありがとう、カイト殿」
◆
食事を終え、廊下に出るとプライム少年が俺を呼び留めた。
「カイトさん」
「ん、どうした」
「俺を雇ってくれ! なんでもする……」
「唐突だな。でも、君たちはお客様として迎え入れているわけで」
「いや世話になっている以上、何か貢献したい。それに、俺は『Lv.2』の雑魚だ。最強になるのは、カイトさんの力を借りるしかない。でも、金がねぇ……だから」
そんな切羽詰まった顔をされると、俺は弱い。それに、プライムの瞳はマジだった。真っ直ぐ俺を見て、真面目に頭を下げていた。そんな少年を俺は笑いたくはないし、無碍にもできなかった。
「分かった。じゃあ、仕事をして貰う以上は、お金は発生するよ。そこんとこ、俺は厳格にしているからね」
「いいのか。俺はてっきり無償で……」
「そんな奴隷みたいな真似はしないよ。真面目に働くなら、俺は止めない」
「ありがとうございます! 俺、頑張りますよ」
プライム少年は、嬉しそうにニカッと笑い、ダッシュで駆けていく。そんなに必死になられては、応援したくなるじゃないか。
「さすが海人様です」
「……ルナ、見ていたのかい」
「ええ、ずっと。プライムくんを働かせてあげるのですね」
「ああ、いいんじゃないか。ちゃんと働くなら俺も止めはしないし、彼らを知る良い機会だろう」
「そうですね。まずは、彼らが何者かを見極める必要があるでしょうね」
そうだな、まだ知らない事が多い。
これからじっくりと――
そう思っていると、ルナの方からピッタリとくっ付いてくる。正面から大胆に、俺の背中にまで腕を回してぎゅっと密着。
「ど、どうしたのさ」
「さっき抱いていただいたのでお返しです」
「嬉しいな。ルナの可愛い顔がこんなに近い……」
「は、恥ずかしいです……」
「よく見せて」
「……はい」
人形を凌ぐ程に整っている容姿。もちもちのすべすべの肌。絶妙で芸術的な桜色の唇。多分、この小顔、女神すら超越している。これで自然体なのだから驚きだ。
「ルナは、綺麗で可愛いな」
「…………は、はひぃ」
顔を真っ赤にするルナは、心臓を激しくドキドキさせていた。その心音がハッキリと聞こえる。
「一緒にお風呂行こうか」
「喜んで♡」
「カイト殿、今日はこのような素晴らしいホテルに招きくださって感謝しかありませぬ」
「いや、あのジェネラルさん。ここはホテルではなく、お店です」
「なんと! 五階建てでしたので、てっきり。これは失礼を」
「いえいえ」
普通はそう思うよな。
五階建てのイルミネイトは、一階が食堂や応接室、二階が客室、三階が倉庫・物置部屋、四階がソレイユとミーティアの部屋、最上階である五階が俺とルナの部屋となっていた。ちなみに、五階には温泉もあった。
正直、ホテルと遜色ないし、あと十人、二十人は余裕で向けられるキャパシティがあった。本来なら、ホテルとしての経営も可能だろうな。でも、そうしてしまうとプライベートが無くなってしまうし、俺はそもそも『レベル売買』を生業にしているので却下だ。
「海人様、お茶です」
「おう、ありがとう、ルナ」
そんな説明をしていると、ルナがお茶を淹れてくれた。それをゆっくりと味わっていると、モニカが口を開く。
「それにしても、メイドさん……ルナさんってすっごく美人だよね★」
「モニカちゃんもバニラ色のツインテールで可愛いですよ」
「えへへ、嬉しいなー★ これ気にってるの~★」
と、二人は楽しそうにしていた。
気づけば、ミーティアもビリヤードのお姉さんナイツと。ソレイユは、あのノコギリ少年のプライムと会話を交わしていた。
俺は、ジェネラルさんと話すしかなさそうだな。
「――それで、ジェネラルさん。明日はどうしますか?」
「それなのですが、まずは帝国を知るために観光をしようかと思いますよ。経験はより人間を成長させるものです。なにもレベルだけが目的ではないのですからね」
「失礼ながら、最果ての国出身となると情報量も少ないでしょう。なら、この帝国・レッドムーンで少しでもお役に立てる知識を蓄えていって下さい」
「ありがとう、カイト殿」
◆
食事を終え、廊下に出るとプライム少年が俺を呼び留めた。
「カイトさん」
「ん、どうした」
「俺を雇ってくれ! なんでもする……」
「唐突だな。でも、君たちはお客様として迎え入れているわけで」
「いや世話になっている以上、何か貢献したい。それに、俺は『Lv.2』の雑魚だ。最強になるのは、カイトさんの力を借りるしかない。でも、金がねぇ……だから」
そんな切羽詰まった顔をされると、俺は弱い。それに、プライムの瞳はマジだった。真っ直ぐ俺を見て、真面目に頭を下げていた。そんな少年を俺は笑いたくはないし、無碍にもできなかった。
「分かった。じゃあ、仕事をして貰う以上は、お金は発生するよ。そこんとこ、俺は厳格にしているからね」
「いいのか。俺はてっきり無償で……」
「そんな奴隷みたいな真似はしないよ。真面目に働くなら、俺は止めない」
「ありがとうございます! 俺、頑張りますよ」
プライム少年は、嬉しそうにニカッと笑い、ダッシュで駆けていく。そんなに必死になられては、応援したくなるじゃないか。
「さすが海人様です」
「……ルナ、見ていたのかい」
「ええ、ずっと。プライムくんを働かせてあげるのですね」
「ああ、いいんじゃないか。ちゃんと働くなら俺も止めはしないし、彼らを知る良い機会だろう」
「そうですね。まずは、彼らが何者かを見極める必要があるでしょうね」
そうだな、まだ知らない事が多い。
これからじっくりと――
そう思っていると、ルナの方からピッタリとくっ付いてくる。正面から大胆に、俺の背中にまで腕を回してぎゅっと密着。
「ど、どうしたのさ」
「さっき抱いていただいたのでお返しです」
「嬉しいな。ルナの可愛い顔がこんなに近い……」
「は、恥ずかしいです……」
「よく見せて」
「……はい」
人形を凌ぐ程に整っている容姿。もちもちのすべすべの肌。絶妙で芸術的な桜色の唇。多分、この小顔、女神すら超越している。これで自然体なのだから驚きだ。
「ルナは、綺麗で可愛いな」
「…………は、はひぃ」
顔を真っ赤にするルナは、心臓を激しくドキドキさせていた。その心音がハッキリと聞こえる。
「一緒にお風呂行こうか」
「喜んで♡」
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