あなたのレベル買い取ります! 無能と罵られ最強ギルドを追放されたので、世界で唯一の店を出した ~俺だけの【レベル売買】スキルで稼ぎまくり~

桜井正宗

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【269】 ボス部屋にある宝箱

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 これでお目当てでもあった『エレメント』も入手できそうだが、ドロップする気配はなかった。ん……おかしいな。どうなっている。結構なアイテムをき散らしてはいるけど、それらしいモノが見当たらない。

 俺もだが、ルナやソレイユ、ミーティア、フェンリルのギルドメンバー達が捜索に当たっているが発見に至らず。どうした事か……まさかドロップしていないんじゃ。


 そして、もうひとつ懸念があった。


 共闘もせず、ボス部屋に引きこもっているヤツがいる。姿を現さないセレネイドのギルドマスター『フォトン』。ヤツは何をしているんだ。


「ボス部屋を見に行こう」
「全員で行きましょう、カイト」


 ソレイユが提案する。
 俺もそれには同意見だ。ひとりで行動するよりも団体行動だ。フォトンは、あれでも魔導兵器を身にまとっている。戦えば危険だ。


「オーケー。じゃあ、行くぞ」


 ◆


 洞窟の奥。山のように塔のようにそびえ立つ岩群。その上にこそボス部屋はあった。本来、あの部屋に『ハルキゲニア』は構えていたのだが、フォトンが余計な事をしたせいで、まさかのボス部屋前に放たれたわけだ。


 今は、中に居るフォトンとアルバを叩きのめす。それだけだ。


 ボス部屋に侵入していくと、そこには待っていましたと言わんばかりの魔導兵器姿のフォトンとアルバが立ち尽くしていた。余裕顔だな。


「お前達、よくもハルキゲニアを……!」


 俺が凄むと、フォトンがニヤリと笑う。


「よくぞ倒してくれました、カイト。あなたの『レベル売買』スキルなら何とかしてくれると信じておりましたよ。……おや、フェンリルの方々とまさかの大賢者様ではありませんか」


「おい、マスター。話が違うぞ! フェンリルに大賢者がいるなんて聞いていない! これはやばいんじゃないか。こっちは二人だぞ!」


「慌てる必要はありませんよ、アルバ」
「どうしてそんな自信満々なんだ! もう投降しよう。俺達はおしまいだ」
「…………はぁ、アルバ。貴方には失望しました」


 魔導兵器・ミラージュの剛腕が猛烈な勢いで振りかざされ、アルバの体を吹き飛ばす。彼はその衝撃で洞窟の壁にぶち当たって即死したようだ。


「な、なんて事を……」


 一応、関係のあったソレイユが青ざめる。俺もだが、あのフォトンは仲間すら道具にしか思っていないのか!!


「お前!!」
「アルバは最近、わたくしに異議を唱えておりましたからね。丁度良い機会でした、彼には永遠の眠りについて戴きましたよ」


 ヒヒヒと口元を歪め笑うフォトン。この女、普通じゃない! 狂っている……!


「海人様、フォトンは狂人です。このまま放っておけば次はソレイユを狙うでしょう」
「だろうな。あの目は、ソレイユを見ている」


 フォトンは次なる目標をソレイユにしたらしい。俺ではなく、ソレイユを見ていた。……ならやるしかない!

 けど、妙な胸騒ぎがするぞ。

 そうだ、ヤツはそもそも何故、このボス部屋に入った? 共闘は嘘だったとして……何か別の目的があったとでもいうのか。



「カイト、まさか『エレメント』がドロップするとでも思っていましたか?」
「なに……」

「わたくしの目的は最初からこの“宝箱”だった。以前にこの部屋に入った時に、ボスモンスターの背後に隠されていたのを見ていたのです。ですが、御存知の通り……そう簡単に近づけるものではなかった」


 そうか、ドロップではなく本当は宝箱だったのか。だから、ある程度はボスの相手が出来るであろう俺達を利用したのか!!


「お前は最低な女だ、フォトン」
「お褒に戴き、感謝しかありません。さあ、このエレメントを魔導兵器・ミラージュをパワーアップさせる為に使用しますよ!!」


 エレメントは、あらゆる武具の素材となるらしい。まさか……ミラージュを強化するのか。全てはこんな事の為に!!


「させるかッ!!」


 アクアブレイドを構え、俺は突っ込んでいく――!!!
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