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【96】 パライバトルマリン
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島国連合【共和国・ブルームーン】は『パライバトルマリン』を異常なまでに崇拝し、神聖視している。
それに対し【帝国・レッドムーン】は嫌がらせの如く『パライバトルマリン』を収集している。そもそも、この宝石は大変貴重な『魔力源』にもなっている為、とても重宝されているのだ。
たった一個あるだけで、三年は魔力を使いたい放題になるだろう。言ってしまえば『チートアイテム』みたいなものだ。
だから街灯に使われたり、湯を沸かしたり、生活の必需品にもなっている。そう、以前に俺の店イルミネイトにあった風呂は、帝国製の魔導式タイプ。つまり、あの湯沸かしには極小の宝石が埋め込まれていたのだ。指先サイズの欠片でも湯なんて簡単に沸かせてしまえる。
それほどに莫大な魔力を持つ宝石であり、生活の一部となっている。
そんな超便利アイテムだからこそ、この宝石を巡って帝国と共和国の『オービット戦争』は起きていると言って良いだろう。シャロウの『帝国傭兵入り』と『裏切り』は、宝石『パライバトルマリン』を奪うためのコンスピラシーであり、分かりやすく言えば宝石目当ての謀略。もっと乱暴に言えば、ただの強盗だ。
最近、シャロウの評判が悪いのも頷ける。
「――知ってたか?」
「わたしは知らなかったです。カイト様は博識なのですね。尊敬しますっ」
もはや感銘を受けているだろうルナに拍手され、俺はついつい有頂天。最高の気分だった。てか、パライバトルマリンはともかく、戦争のことは有名だ。
不思議だ。ルナは知らなかった、のか?
やや疑問に思っていると――ソレイユが丁度良い高さの岩を椅子にし、足を組んでいた。この角度で見えんとは……ヤツのスカートは亜空間か!?
「そういえば、帝国だと『パライバトルマリン』の存在は伏せられているものね。なぜなら『ブルームーン』の象徴だから。そんな敵国の神様のような存在を帝国が許すはずがないからね。完全に禁忌扱い。言及しようものなら下手すりゃ処刑されるわ」
そう、ソレイユの言う通り。
帝国には都合の悪すぎる品。だからブラックボックスにし、隠す。とはいえ、完全に隠せるモノでもない。帝国では『パライバトルマリン』を青いスライムで揶揄し『クライム』と言う。
「あの~、ではこのパライバトルマリンは、寧ろ売らない方がいいのでは。すごい魔力を持っているのですよね」
ずっと黙っていたミーティアがそう口を開いた。
「いや、俺たちが持っていてもただの宝の持ち腐れだよ。パライバトルマリンの魔力源を引き出すには聖職者の頂点『シマープリースト』でないとな。彼らはあらゆる術式や神秘に精通していてな。『ペイ』だって帝国の――まあ、それはいいか。でも、ミーティアも魔法使いだ。使えない事はないかもな」
「魔法が使い放題とか夢のようですよ! 詠唱だって速くなるでしょうし。ヨダレが出るほど欲しいです……! ねえ、カイト。いいでしょう~?」
甘い声を出し、擦り寄って当ててくるミーティア。こ、こいつ……女の武器を使って俺を籠絡させる気か!!
おのれ金髪エルフ……た、たまら――いやいや、耐えろ俺。ここで堕ちるワケにはいかんのだ!
ルナの為にも!!
「そうはさせん。これは売るぞ!」
よし、耐えたぞ。耐え切った。
金髪エルフに打ち克った……!
「そんな殺生な! では身体で払うので!」
「却下だ!」
まったく……ソレイユみたいなことを言ってくれるな。てか、確実に悪影響。ソレイユには後できつくお灸を据えておくか。
――ということで、『ダイヤモンド』(半分)と『パライバトルマリン』を回収した。これで手持ちは『10億セル』近くになるだろう。
帝国でお店をオープンするなら、潤沢すぎる資金だ。余裕で暮らせるだろう。
それに対し【帝国・レッドムーン】は嫌がらせの如く『パライバトルマリン』を収集している。そもそも、この宝石は大変貴重な『魔力源』にもなっている為、とても重宝されているのだ。
たった一個あるだけで、三年は魔力を使いたい放題になるだろう。言ってしまえば『チートアイテム』みたいなものだ。
だから街灯に使われたり、湯を沸かしたり、生活の必需品にもなっている。そう、以前に俺の店イルミネイトにあった風呂は、帝国製の魔導式タイプ。つまり、あの湯沸かしには極小の宝石が埋め込まれていたのだ。指先サイズの欠片でも湯なんて簡単に沸かせてしまえる。
それほどに莫大な魔力を持つ宝石であり、生活の一部となっている。
そんな超便利アイテムだからこそ、この宝石を巡って帝国と共和国の『オービット戦争』は起きていると言って良いだろう。シャロウの『帝国傭兵入り』と『裏切り』は、宝石『パライバトルマリン』を奪うためのコンスピラシーであり、分かりやすく言えば宝石目当ての謀略。もっと乱暴に言えば、ただの強盗だ。
最近、シャロウの評判が悪いのも頷ける。
「――知ってたか?」
「わたしは知らなかったです。カイト様は博識なのですね。尊敬しますっ」
もはや感銘を受けているだろうルナに拍手され、俺はついつい有頂天。最高の気分だった。てか、パライバトルマリンはともかく、戦争のことは有名だ。
不思議だ。ルナは知らなかった、のか?
やや疑問に思っていると――ソレイユが丁度良い高さの岩を椅子にし、足を組んでいた。この角度で見えんとは……ヤツのスカートは亜空間か!?
「そういえば、帝国だと『パライバトルマリン』の存在は伏せられているものね。なぜなら『ブルームーン』の象徴だから。そんな敵国の神様のような存在を帝国が許すはずがないからね。完全に禁忌扱い。言及しようものなら下手すりゃ処刑されるわ」
そう、ソレイユの言う通り。
帝国には都合の悪すぎる品。だからブラックボックスにし、隠す。とはいえ、完全に隠せるモノでもない。帝国では『パライバトルマリン』を青いスライムで揶揄し『クライム』と言う。
「あの~、ではこのパライバトルマリンは、寧ろ売らない方がいいのでは。すごい魔力を持っているのですよね」
ずっと黙っていたミーティアがそう口を開いた。
「いや、俺たちが持っていてもただの宝の持ち腐れだよ。パライバトルマリンの魔力源を引き出すには聖職者の頂点『シマープリースト』でないとな。彼らはあらゆる術式や神秘に精通していてな。『ペイ』だって帝国の――まあ、それはいいか。でも、ミーティアも魔法使いだ。使えない事はないかもな」
「魔法が使い放題とか夢のようですよ! 詠唱だって速くなるでしょうし。ヨダレが出るほど欲しいです……! ねえ、カイト。いいでしょう~?」
甘い声を出し、擦り寄って当ててくるミーティア。こ、こいつ……女の武器を使って俺を籠絡させる気か!!
おのれ金髪エルフ……た、たまら――いやいや、耐えろ俺。ここで堕ちるワケにはいかんのだ!
ルナの為にも!!
「そうはさせん。これは売るぞ!」
よし、耐えたぞ。耐え切った。
金髪エルフに打ち克った……!
「そんな殺生な! では身体で払うので!」
「却下だ!」
まったく……ソレイユみたいなことを言ってくれるな。てか、確実に悪影響。ソレイユには後できつくお灸を据えておくか。
――ということで、『ダイヤモンド』(半分)と『パライバトルマリン』を回収した。これで手持ちは『10億セル』近くになるだろう。
帝国でお店をオープンするなら、潤沢すぎる資金だ。余裕で暮らせるだろう。
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