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【09】 店購入

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 婆さんとの交渉こうしょうの末、好条件の家を買うことが出来た。こんなに上手くいくとはな、さすが田舎。運が良かったかもな。

「こ、此処ここですか……」

 まあと上品に口を押さえ、驚くルナ。
 当然の反応だな。
 街の中心だし、すげぇ目立つ一等地。

「立地の良い場所だし、よかったな」
「そうですね、おかげでお金はゼロですけれど、後悔はありません」
「本当に良かったのか」
「はい、これからカイト様と一緒にお店を作っていきたいです」

「…………」

 なんて健気なんだルナは。
 そんな笑顔で頑張ろうってお願いされたら、期待に応えるしかないだろう。商人としても。

「よし、ルナ。さっそく家の中へ入ってみようか」
「はいっ」


 ◆


 家の中は、木の香りがした。
 落ち着きがあり整っていた。ややホコリっぽいものの小奇麗で少し驚く。

「最低限の清掃はされているな。カビ臭くもない。ボロ小屋よりは断然マシだ」
「お金が掛かっただけありますね……!」

 こういう経験が少ないのか、ルナは興奮こうふんしていた。俺もだけど。

「なんだ、ルナ。こういうのは初めてか」
「初めてです! なので、今すっごく新鮮で楽しいですよ♪」
「……そ、そか」

 太陽のような笑顔がまぶしい。
 こっちも楽しくなってきた。

「この家、お客さんの出入りもしやすいですし、風通しも最高ですね。あちらに台所も。へぇ、リビングも広いです。わぁ、二階もある!」

 きゃっきゃ騒ぐルナは、テンションが高かった。
 ほ~、クール系かと思ったけど、こうお転婆てんばなところもあるんだな。

「二階は寝室みたいだね。覗いてみようか」
「はい♪」

 二階へ向かうと、部屋が四つ・・もあった。

「もともと宿屋だったのかも」
「そうかもしれません。部屋がたくさんあって広いですし」

 700万の価値はあったわけだ。
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