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番外編①
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建国してから半年ほどだろうか。
魔神の奇襲は相変わらず続くが、国の防衛力はかなり高く、設置兵器だけで事足りていた。おかげで国は平和そのもの。
なので、魔神対策よりも国の開発を優先させることにした。
そして今、フォースからこんな提案があった。
「泳ぎたい」
「温泉でいいだろう。広いし」
「もっと広いところが欲しい」
「じゃあ、海とか。でも、暗黒地帯の近海は穢れが凄いからなぁ、普通の人間は一瞬で蒸発しちまう。まあ、フォースは極魔法使いだし、平気かな」
「みんなと楽しみたいから、イヤ」
我儘だなぁとか思いつつも、なるほど、広くて泳げる場所ね。果たして、そんな場所を作れるのだろうか。土地は余っているけど……うーん。プール施設? いや、それもなんだかな。景観を損ねるというか。
そう考え事に集中していると、洗濯をしていたゼファが腕を捲った状態で現れた。……美しい。あの日光に照らされて輝く白い細腕。あれだけで、ご飯百杯はいけるね。
「あら、ユメ様。難しい顔をして、どうなされたのですか」
「泳ぎたい」
俺よりも先にフォースが答えた。
「泳ぎたい? ……ああ、そういえば、最近暑いですよね。水の聖国では、広大な湖がありましたので、皆さんはそこでよく泳いでいましたよ」
「それ! それがいい!」
ゼファの出身国である水の聖国のことを聞くや、フォースは目を輝かせた。いや、それどころかピョンピョン飛び跳ねている。元気だなぁ。
「ユメ、湖作ろう!」
「え、湖を? んな無茶な……」
「じゃあ、あたしが作る」
「いやいや、無理だろ。土地が余っているとはいえ、バカデカイ湖を作るなんて神の真似事が出来るわけ――――」
『ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!』
そんな地震!? いや、地響きがしたかと思えば……
余っている土地にデカデカと湖(水なし)が出現していた。
「……は? は? はぁ!?」
俺は三度見した。
水こそ張ってはいないけど、形は湖だ。
「えっと……なにをした、フォース」
「大魔法・ヘヴンズストレインで大地を掘削した」
「おいおい! ……まあでもいいか、土地余っていたし。じゃ、あとは水なんだが……」
「困った。あたし、水属性魔法は得意じゃない。出せても少量」
「だな。となると、水属性魔法の得意なゼファに頼るしか」
「ええ、わたくしにお任せ下さい。水神の加護がありますから、力をお借りすればきっと……」
穴ぼこに向かって祈りを捧げるゼファ。神々しい光が輝き始めた。……すると、天空が曇りはじめ、スコールが。それから、ドシャドシャっと局地的に、豪雨が発生した。なんて勢いだ。あの場所にいたら、ひとたまりもないな。
――――で、30分後。
「……うそーん」
「素晴らしい景色です。これぞ、楽園の姿ですね」
俺はただただ湖の光景に驚いた。
湖は数十キロに及び、水がきちんと張っていた。それだけじゃない、花や林が綺麗に建ち並び、いつの間にか鳥さえもいた。てか、あれ、幻獣モンスターのフェニックスじゃねーか!?
いやしかし、フォースとゼファの力がこんな素晴らしい湖を完成させてしまうなんて……これはなんの奇跡だ?
「さっそく泳ぐ」
――と、フォースは服を脱ぎ捨てていた。
「お、おい! フォース、おま……全裸はまずいって」
「大丈夫。こんなこともあろうかと、水着を準備しておいた」
「なぬっ!?」
よく見ると、服の下は水着だった。
だが……すっげぇ紐水着。ほとんど裸に近いぞ。
「では、わたくしも」
「え、ゼファも水着を?」
「はい♪ ご覧の通りです!」
ぽいっと修道服を脱ぎ捨てたゼファは、一瞬で水着姿になった。マイクロビキニ!! なんて派手。聖女にしては派手すぎる。いや、エロすぎる!!
まぶしい……なんて、まぶしいんだ!!
感動に打ち震えていると、背後からネーブルの声が。
「みんな~! 湖できたー?」
「ネーブル!? って、お前も水着に? ん、湖できた? どういうこと? まさか、最初から示し合わせていたのか!!」
「あははは……。だってさ、暑いんだもん。それにほら、ユメにデメリットないでしょ。水着見れるんだし」
「そりゃそうだけど……」
確かに乙女たちの水着姿は見れた。
ネーブルは、情熱の赤いビキニで……なんというか、すげぇぜ。さすが出ているところ出ているだけはある。正直、たまりません。
「……ユ、ユメ。ちょっと顔が怖いんだけど」
「う、すまん。ネーブルの水着が凄すぎてな。……その胸は卑怯だ」
「ば、ばか。どこ見てるのよ……。って、うわっ!」
「ん、どした」
「後ろ! 後ろー!!」
「え」
振り向くと、湖から何故かポセイドゥーンが現れた。
「ひええええええええええ!! いきなし!!」
そうか、ゼファの水神の加護の影響で、召喚しちまったか。
だったら――ぶっ倒す!!!
『――――ダーク・ヘルズ・ディメンション!!!!!!!!!!』
『ウギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!』
ポセイドゥーンは滅びた。
「おおー。さすがユメね」
背後からネーブルが。
「ユメ様、すごいです♪」
腕を組んでくるゼファ。
「脅威は去った。ユメ~およごー」
いつの間にか肩車モードのフォース。
俺は――最高に幸せ者だった。
魔神の奇襲は相変わらず続くが、国の防衛力はかなり高く、設置兵器だけで事足りていた。おかげで国は平和そのもの。
なので、魔神対策よりも国の開発を優先させることにした。
そして今、フォースからこんな提案があった。
「泳ぎたい」
「温泉でいいだろう。広いし」
「もっと広いところが欲しい」
「じゃあ、海とか。でも、暗黒地帯の近海は穢れが凄いからなぁ、普通の人間は一瞬で蒸発しちまう。まあ、フォースは極魔法使いだし、平気かな」
「みんなと楽しみたいから、イヤ」
我儘だなぁとか思いつつも、なるほど、広くて泳げる場所ね。果たして、そんな場所を作れるのだろうか。土地は余っているけど……うーん。プール施設? いや、それもなんだかな。景観を損ねるというか。
そう考え事に集中していると、洗濯をしていたゼファが腕を捲った状態で現れた。……美しい。あの日光に照らされて輝く白い細腕。あれだけで、ご飯百杯はいけるね。
「あら、ユメ様。難しい顔をして、どうなされたのですか」
「泳ぎたい」
俺よりも先にフォースが答えた。
「泳ぎたい? ……ああ、そういえば、最近暑いですよね。水の聖国では、広大な湖がありましたので、皆さんはそこでよく泳いでいましたよ」
「それ! それがいい!」
ゼファの出身国である水の聖国のことを聞くや、フォースは目を輝かせた。いや、それどころかピョンピョン飛び跳ねている。元気だなぁ。
「ユメ、湖作ろう!」
「え、湖を? んな無茶な……」
「じゃあ、あたしが作る」
「いやいや、無理だろ。土地が余っているとはいえ、バカデカイ湖を作るなんて神の真似事が出来るわけ――――」
『ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!』
そんな地震!? いや、地響きがしたかと思えば……
余っている土地にデカデカと湖(水なし)が出現していた。
「……は? は? はぁ!?」
俺は三度見した。
水こそ張ってはいないけど、形は湖だ。
「えっと……なにをした、フォース」
「大魔法・ヘヴンズストレインで大地を掘削した」
「おいおい! ……まあでもいいか、土地余っていたし。じゃ、あとは水なんだが……」
「困った。あたし、水属性魔法は得意じゃない。出せても少量」
「だな。となると、水属性魔法の得意なゼファに頼るしか」
「ええ、わたくしにお任せ下さい。水神の加護がありますから、力をお借りすればきっと……」
穴ぼこに向かって祈りを捧げるゼファ。神々しい光が輝き始めた。……すると、天空が曇りはじめ、スコールが。それから、ドシャドシャっと局地的に、豪雨が発生した。なんて勢いだ。あの場所にいたら、ひとたまりもないな。
――――で、30分後。
「……うそーん」
「素晴らしい景色です。これぞ、楽園の姿ですね」
俺はただただ湖の光景に驚いた。
湖は数十キロに及び、水がきちんと張っていた。それだけじゃない、花や林が綺麗に建ち並び、いつの間にか鳥さえもいた。てか、あれ、幻獣モンスターのフェニックスじゃねーか!?
いやしかし、フォースとゼファの力がこんな素晴らしい湖を完成させてしまうなんて……これはなんの奇跡だ?
「さっそく泳ぐ」
――と、フォースは服を脱ぎ捨てていた。
「お、おい! フォース、おま……全裸はまずいって」
「大丈夫。こんなこともあろうかと、水着を準備しておいた」
「なぬっ!?」
よく見ると、服の下は水着だった。
だが……すっげぇ紐水着。ほとんど裸に近いぞ。
「では、わたくしも」
「え、ゼファも水着を?」
「はい♪ ご覧の通りです!」
ぽいっと修道服を脱ぎ捨てたゼファは、一瞬で水着姿になった。マイクロビキニ!! なんて派手。聖女にしては派手すぎる。いや、エロすぎる!!
まぶしい……なんて、まぶしいんだ!!
感動に打ち震えていると、背後からネーブルの声が。
「みんな~! 湖できたー?」
「ネーブル!? って、お前も水着に? ん、湖できた? どういうこと? まさか、最初から示し合わせていたのか!!」
「あははは……。だってさ、暑いんだもん。それにほら、ユメにデメリットないでしょ。水着見れるんだし」
「そりゃそうだけど……」
確かに乙女たちの水着姿は見れた。
ネーブルは、情熱の赤いビキニで……なんというか、すげぇぜ。さすが出ているところ出ているだけはある。正直、たまりません。
「……ユ、ユメ。ちょっと顔が怖いんだけど」
「う、すまん。ネーブルの水着が凄すぎてな。……その胸は卑怯だ」
「ば、ばか。どこ見てるのよ……。って、うわっ!」
「ん、どした」
「後ろ! 後ろー!!」
「え」
振り向くと、湖から何故かポセイドゥーンが現れた。
「ひええええええええええ!! いきなし!!」
そうか、ゼファの水神の加護の影響で、召喚しちまったか。
だったら――ぶっ倒す!!!
『――――ダーク・ヘルズ・ディメンション!!!!!!!!!!』
『ウギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!』
ポセイドゥーンは滅びた。
「おおー。さすがユメね」
背後からネーブルが。
「ユメ様、すごいです♪」
腕を組んでくるゼファ。
「脅威は去った。ユメ~およごー」
いつの間にか肩車モードのフォース。
俺は――最高に幸せ者だった。
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