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第122話 盗撮魔・ベヴァイス

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 フォースとゼファを守りつつ、俺は森へ入った。

 空気がピンと張りつめている……殺気が複数。
 この喉のかわき……嫌な感じだ。気を緩めず、俺は、『闇の極解放ダークフォーム』を展開し備えた。

 それから、ゼファが口を開いた。

「ユメ様、フォースちゃん。聞いてください」
「どうした、ゼファ」
「今から、新しい支援魔法を掛けます。これは最近覚えたのですが、魔力消費量が多いので何度も使えるものではありません。どうかご了承を」
「おぉ、いつの間に新しいスキルを。じゃあ、頼むよ、ゼファ」


『――――――グロリアスオラクル!!』


 神々しい光が降ってくると、別行動を取っている皆も含めて支援が……あれ? 終わった。光が消えた。何か掛かってはいるけど、詳細不明だ。

「な、なあ、ゼファ。これは何の支援が掛かっているんだ?」

「わかりません!」
「なぬ! 分からない!?」
「はい……新しく覚えたので使ってみたかったのですが、出過ぎた真似をしてしまいましたね、ごめんなさい……」

 この世の終わりのような表情で落ち込む、ゼファ。
 ちょ、そんな絶望しなくても!

「いやいいって。きっとすげぇ効果なんだろうな。期待しておくよ、ゼファ」
「はいっ」

「よし、じゃ、このまま――」

「ユメ、敵が現れた……! 三歩下がって!」
「細かいな! 分かった!」

 俺は三歩だけ下がった。すると、目の前に光が通り過ぎて、何かが地面を貫通していった。それから、かなり奥の方で大爆発が起きた。

「っぶね! なんだよ、あれ……。ともあれ、助かったよフォース」
「礼はいい。敵が来る」


『――――フフフフフ、久しぶりだな、ユメ』


「この声は、盗撮魔か!」

 確か、名前を『ベヴァイス』と言ったか。
 パーカーを着て、フードを深く被っている男(?)。しかも仮面をしているので素顔は分からない。でもどうでもいい、ヤツだけは許さん。俺と先生のキス寸前のシーンを無断で撮りやがったんだからな。

「で、写真はばらいたのか」

 俺がそう問うと、ヤツは何か持っている右手を出してきた。何かをまんでいる。小さな長方形の板。――ん、あれ、どこかで見たことがある。

『もちろんさ、その写真はばっちりこの中にある。それを『写真』にして、パラドックスの全域にばらいた。今頃お前のスキャンダルで持ち切りだろうよ……! フハハハハ! これで世間はお前を支持しなくなり、信頼もゼロだ』

 そうか、アイツの手にしているのは、噂に聞く『機械の国』の代物だ。その国は、まだ噂の段階でしかなかったけど、本当にあるらしい。ヤツは臭うな。

 だが、それよりも写真だ。

「本当にそう思うか?」
「当たり前だろう! 写真は確かにバラいてやった!」

 自信たっぷりベヴァイスは断言する。

 ――――だが。俺はニヤっと笑った。

「な、なにがおかしい!!」
「笑えるのはこっちだぜ、ベヴァイス!!」

「なんだと!!!」

「お前のばらいた写真……あれは、先生のスキルよってただの『白紙・・』でしかないからだ」
「馬鹿な!! そんなはずはない……!」

 ヤツは、あの長方形――要は『スマートフォン』を操作し、確認していた。まさか、そんなアイテムを持っているとはな。俺も微かな記憶の中では、持っていた気がするな、昔に。

 いそいそと操作して、確認できたらしい――ベヴァイスは驚愕きょうがくしていた。


「………………馬鹿な。誰一人気づいていない……見向きすらしていない。馬鹿なあああああああああああああ!!!」


 うあああと発狂するアホ。
 ざまぁねぇな。

 そんな姑息こそくな手で上手くと思うなよ、ヘンタイ仮面野郎。
 先生の『認識障害』のおかげで助かったぜ!
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