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第114話 開けてはいけない小包

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 家に帰ると、フォースがお腹を押さえた。

「お腹減った……」
「そろそろメシだな。ゼファが何か作っているだろう」

 キッチンへ向かうと――

 ゼファが倒れていた。

「ゼファ!! お、おい、しっかりしろゼファ!!」
「おかえりなさい、ユメ様♡」

 抱きついてきた。
 しっかり元気に。

「…………っへ? ゼファ、なんともないのか?」
「ええ、死んだふりをしていました♡」
「可愛い奴め! だきっ!」

 ゼファがあまりに可愛くて、俺は抱きしめた。
 こんなおちゃめな聖女で良かった。最高、幸せ! 思わずほっこりした俺は、ゼファを更にお姫様抱っこして楽しんだ。

「ありがとうございます♡ そういえば、ユメ様。今日、宅配がありまして……あれです。あの小包こづつみなのですが」

 と、ゼファはそれを指さした。
 すぐそばには両手で持てるほどの箱があった。

「ほーん。差出人は不明か。どれどれ開封を――」
「ユメ、それを開封してはいけません!!」

 テスラがいきなり現れ、いきなり小包を奪われた。

「どーした、テスラ。やぶから棒に」
「その小包こづつみの中身は『麻痺まひ』の状態異常が含まれているのですよ。私が分析したので間違いないです!」
「なんだって……」


 クソ、またサンライズの嫌がらせかよ。
 あの子供といい、どんどんエスカレートしてきている。クソが!

 なんかいい加減にムカついてきた。
 怒るつもりはなかったけど、本気でブチギレるか?


「ユメ様……怖いです」
「あ、ごめんな、ゼファ。テスラも聞いてくれ。実は――」


 俺はゼファとテスラに事情を説明した。


「そ、そんな事があったのですね。国のリーダーを巡って戦いなんて……悲しいです」

 ゼファは胸を痛めていた。
 うう、そんな顔されると切ないな。

「ギルドのサンライズとは、話を何度かした事があります。ギルドマスターの大男・ダスクは、壁職人ではありますが、只者ではありませんよ。私は一度、彼の手合わせを拝見させて頂いたことがあるのですが――」

「どうなったんだ?」


「サンドバッグ用のダークウォール『50枚重ね』を全て破壊していました」


「え?」


 ……………あー、えー………………え?

 まてまてまて、あの数々のモンスターやクリーチャーを守ってきた鉄壁の『ダークウォール』を50枚も!? ありえん、ありえなさすぎるだろ。超頑丈だぞ、あれ!


「んなアホな! バケモノかよ。あのマッチョ、そんなヤベー筋力を持っていたのか。あれか、パワータイプかな」
「ええ、パワーは世界一かもしれませんね。気を付けてください」


 気を付けろと言われてもなぁ。
 何をどう気を付ければいいんだか。

「恐ろしい情報を聞いてしまった。まあいいや、テスラ、その小包破壊しておいてくれ。俺はともかく、ゼファとかが麻痺まひになったら困るし」
「了解です。マリア海溝に転送し、爆破しておきますね」


 もはや、前に核爆弾といい、マリア海溝は危険物の処理場と化しているな。まあいいか、あそこは世界一深い海だし。爆破処理するには問題ないだろう。多分。


 処理は任せて、テーブルについた。
 するとフォースが液状化していた。あんなお腹をかせてダメダメになっている姿は、たまにあるのだが、うーむ。

「なあ、フォース」
「…………」

 ダメか。腹ペコすぎて反応する余裕すらないらしい。
 飯を待とう。
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