元勇者は魔力無限の闇属性使い ~世界の中心に理想郷を作り上げて無双します~

桜井正宗

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第111話 衝突

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 パラドックスは平和が続いていた――ように見えた。そう見えるだけで、俺の知らない所では、見えざる『敵』がうごめいているかもしれない。そう不安になる事は多々あった。

 如何いかんせん、俺は心配性。

 家の玄関がちゃんと閉まっているか三度は確認するタイプだからな。

 けど、だからと言って気にしていたららちがあかない。今は頭のすみに置いておき、俺はフォースを肩車しながら、ギルド『デイブレイク』の本拠地へ向かっていた。

「ユメ、今日はギルドの同士の会合でしょ? ど~して、ユメが出席するの~」

「よくぞ聞いてくれた。それだがな、キャロルにたまには国のリーダーらしく、顔を出してくれと何度も言われているんでな。そろそろ出ないと何されてるか分かったものじゃないからな」

「そうなんだ」

 若干、面倒ではあるものの、いつまでも顔を出さないというのも良くはない。俺はこのパラドックスを作った張本人だし、その責任はある。

「まあ、今まではネーブルが俺の代理で出席してくれていたんだがな、それも申し訳なくなってきたっていうかね。多分、今日もいるとは思うけどな」
「なにを話し合っているのかな」
「そんな堅苦しい内容でもないだろ。例えば、国の情勢とかさ、ああして欲しい、こうして欲しいとか、意見要望が出たりそんなんだろ」

 うんうんと、フォースは納得した。

 そ、会合なんてその程度――そう思っていた。

 ・
 ・
 ・

 しかし、事態は急変した。

 建国始まって以来、俺は今日ほど|焦(あせ)った日はなかったかもしれない。


 ◆


 デイブレイク本拠地へ入ると、喧々囂々けんけんごうごう罵詈雑言ばりぞうごんの言い争い。とんでもない修羅場と化していた。なんだこれ!!


【デイブレイク側】

「ふざけないで下さい! この国はユメのモノですよ!」
「そうです! 国のリーダーは、ユメ。これは揺るぎない絶対的なもの」
「我々は、ユメのおかげで今があるのだぞ」
「そもそもお前等は何様だよ」
「そんな不満があるなら出て行け」


【謎のギルド側】

「弱いリーダーは必要ねぇ!! ウチのリーダー『ダスク』の支持は増えている」
「そうだ! デイブレイクだけ美味しい思いしてるんじゃねぇよ。不公平だろう」
「今こそ民主的にするべきではないか?」
「ユメは、民の事を何も考えていない!」
「ユメもデイブレイクもいらんだろ」


 ―――――謎のギルド側は言いたい放題だな。
 本当に何なんだよ、これ。

 ……ていうか、今までも国のことで白熱していたのか。ああ、思えばネーブルが毎日疲れた顔で帰って来ていたのは、これが原因だったのか。すまん、ネーブル。本人そこにいるけど!

 ま、とにかくだ。
 事情を聞いてみますか。


「おい、お前たち」


「――――――」

 みんなは一斉に俺へ振り向いた。
 そんなにらまないでくれよぉ。

「――――ユメ。来てくださったのですね!」

 パァっと顔を輝かせる忍者は、キャロルだった。
 そんな彼女を俺は手招きした。

「キャロル。これはどういう事だ」
「だから、顔を出せと再三、口酸っぱく言ったではありませんか! いいですか、ユメ。今やパラドックス存続の危機……彼ら、ギルド『サンライズ』との対立は避けられない状況になりつつあるのです」

 それを聞き、俺は出来る限り、小声で耳打ちした。
 その瞬間、キャロルは耳を真っ赤にして震えていたように見えるが、俺は気にせず続けた。

「こう言ってはなんだが……。追放した方が早くね?」
「……そ、それは無理ですね。サンライズは、パラドックス建国時の『ダークウォール』を作り上げた壁職人なのですよ」

「なにィ!? あの壁作った連中だったのかよ……知らなかったぞ。ああ、そりゃ、追い出せねえわ」

「でしょう。なので、彼らにも文句を言う権利はあるわけです。だって、あの壁のおかげで何度、国が救われましたでしょうか」
「……何千回もだな」
「ですよね。ですから、追放なんて出来ないのです。そんな事をすれば、民からの支持を失い、信頼さえも地の底へ。なので、無暗やたらに追放という選択はしない方が良いでしょう」

「なるほどなぁ、そこまで貢献こうけんしていたギルドだったとは。それにしても、あちらさんのギルドマスターごっついな」
「ええ、職人ですからね」

 コソコソと話を続けていると……

 サンライズのギルドマスターはしびれを切らし、入って来た。

「おい、ユメ。オレはあんたを認めてはいない。リーダーに相応ふさわしいのはこのオレだ。そうだろう、皆!」


「「「「「オウ!!!」」」」」


 コイツは、パラドックスのリーダーになりたいらしい。野心家かそれとも、ただのマヌケか。


「この国は俺のだよ。譲る気はこれっぽちもない」
「んだとォ!?」


 む――――殴りかかってくる!?
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