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第103話 復興祝い

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 家へ帰る前にフォースと鉢合わせた。

「んぉ、フォース。こんなところで珍しいな」
「ユメを探してた」
「そうなのか。なにか緊急の用事か?」
「うん。湖へ行こう」
「え、湖?」

 手を引っ張られて、俺は湖へ向かった。


 ◆


 気持ち良い天気だ。
 風が心地よく、空気もうまい。湖はキラキラと輝いていてキレイだし、人の気配もなくて落ち着いていた。こんなに閑散としているとはな。快適そのものだ。

「なんだ、たまには散歩か」
「ここ、座って」
「……ああ」

 すると、フォースは小さな体を寄せて来た。
 ぴったりと。

「……っ、どした。いつも通りっちゃいつも通りだけど」

 横顔がなんだか緊張しているようにも見えた。
 なんで?

 すると、フォースはすっくと立ちあがって、俺を押し倒してきた。

「んあ!? フォース、なにをする……」
「ユメ、ここで……しよ……」
「え?」
「だ、だから…………しよ」


 …………!!


 それ以上、言葉に出せないのか、口をパクパクさせるフォース。

 って、おぉい! まさか!!

「こんな外で?」
「…………ユメがしないなら、あたしからいく」

 と、フォースは俺の頬に両手をえてきた。
 ――確かに人気ひとけはないけど……!!


 けど……、


 ……俺は欲に負けた。


 ・
 ・
 ・


「――――はっ! もうこんな時間か」

 ずっとくちびるを重ね合わせていれば、日が沈み始めていた。

「…………」
「……ちょっとハリキリすぎちゃったな……すまん」
「ううん。別に平気。むしろ嬉しかったから……ユメの顔をまともに見れないだけ……」

 ……おぉ、フォースがあんなに顔を赤くするとは。
 俺も人の事は言えないけど。

「な、なんだ、怒ってたわけじゃないのか」
「怒ってない。それより、帰ろう。肩車してくれる?」
「いいぞ」

 楽しい時間を過ごせた。帰ろう。


 ◆


 家へ帰れば、みんながワイワイやっていた。

「ユメ~! 今日はパラドックスの復興祝いよ~騒ぐわよ~!」
「うわ、ネーブル! 酒臭いぞ……」

 すでにネーブルが酩酊めいてい状態だった。
 どんだけ飲んでいたんだか!?

「ユメ様、さあこちらへ。お食事の用意が出来ておりますよ」
「おう、ありがとうゼファ。おお、こりゃ美味そうだな。酒も?」
「はい、お祝いですからね」

 そうだな、やっとここまで復興できたんだ。
 少しくらい羽目を外さないとな。……すでにしたけど。

「フォース、こっち来て」

 テスラに手招きされるフォースは、彼女の方へ向かった。
 うんうん、すっかり仲良くなったなぁ。微笑ましい。

「はい、ユメ様。お酒です」
「ありがとう。ゼファ、俺の隣に座りなよ」
「では、ありがたく」

 ゼファは俺の隣ではなく、俺のひざの上に乗った。

「ゼファ、俺の上が良いのか?」
「……はい。ユメ様の上がいいんです」
「ゼファは素直で可愛いなぁ。じゃあ、酒を注いでくれるかい」
「分かりました♪」

 まさかひざの上に乗ってくれるとはな~!
 涙が出るほど嬉しかった。

「もー、ユメってばぁ、わたしも構いなさいよー!」

 ネーブルがぴったりくっついてくる。
 胸が……あの無駄に大きい胸が俺の頭に!

 このままでいっか!

 フォースとテスラは楽しくやってるし、俺はネーブルとゼファと楽しくやろうっと。


 ・
 ・
 ・


 気づけば、みんな泥酔いでぶっ倒れていた。

「………………あ、飲み過ぎた。って、えぇ!?」

 みんな裸じゃないか……。
 どうしてそうなった……。

「もう、みんな風を引くぞ」

 仕方ない、ゼファだけでも起こして皆を何とかしてもらおう。

「ゼファ、起きてくれ。みんなが大変なんだ」
「…………ん、ユメ様?」
「おお、起きてくれたか」

「…………」

 ありゃ、起きたはいいが、ボケボケっぽいぞ。

「ゼファ?」
「ユメ様ぁ~…」

 いきなり抱きついてきた。全裸で。

「わっ、ゼファ!」

 だめか~。仕方ない。俺が何とかしよう……。


 ◆


 なんとか女子全員を各部屋に寝かせた。
 さすがに服を着せる余裕はなかったので、全裸で寝てもらっている。……この家に今、四人の女の子が全裸で寝ていると思うと、さすがに意識してしまい、目がえてしまった。

「はぁ、寝れん」

 ひとり、パラドックスの夜を彷徨さまよった。


 ダークウォール。


 この国を守る鉄壁にして、最強の防壁。
 決して崩壊することのなかった守り。今回のMVPではないだろうか。

 俺はその天辺で国と外の海を見渡していた。
 良い眺めだ。

 しかも星空も広がって、美しい。


「――――――」


 ぼうっとしていると怪しい人影が。
 ん、誰だ……?
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