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第97話 魔神テティスの真実
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走り出すテスラを追いかけ、『儀式の間』の奥へ向かった。
闇を抜け、突き当たると、
「――――――なんだ?」
地面に、巨大な六芒星が緑色で描かれていた。
その魔法陣の上にアインスが怪しく立っている。
フォースが少し前へ出て、それを確認した。
すると、
「これは属性国を表すもの。すべて繋がってる」
「そういうことか」
『そうだ。これは我々、秘密結社が世界へアクセスするためのワープポイント。今まで、パラドックスへ行くのは容易ではなかった』
アインスはニヤっと笑う。
容易ではなかった……?
「まさか、ジジイ! てめえ!!」
『…………フフフ、そうだ。パラドックスへの侵入を可能にしたのだよ。フィーアの妻、ディオネはよくやってくれた。彼女は魔神化してでも、我らに協力してくれたのだからな』
「ディオネだと……」
『そうだ、少年。魔神のテティスを覚えているかね。彼女は、魔神・エンケラドゥスよって暗殺され、取り込まれたとされているが、そうではない。その前に、ディオネのナイトメア研究により、魂を抜かれ、別の器に移植されていたのだよ。彼女は、ディオネを妄信し、崇拝すらしていたのでな、とても協力的だった。――よって、エンケラドゥスの取り込んだテティスは、ただの抜け殻にして人形。本体は別にあったのだ』
「なんだって!?」
そうか、テティスが他の魔神と違って、姿を全く現さずいたのは、そういう理由か。ディオネに心酔するあまり、研究に身を捧げて手伝っていたのだ。そして、エンケラドゥスに目を付けられるよりももっと前。ディオネがしつこく現れた時から、すでに計画は始まっていたんだ。
くそ、裏でそんな事が……!
『姿を変えたテティスは『海賊』の一部に紛れていた。名を『アリア』に変えてな』
「アリアだと!? ……王子が連れ添っていた女船長か……」
『そうだ。王子に接近し、惚れさせ……パラドックスへ侵入させた。おかげで全ては計画通り。よって、この六芒星はパラドックスへと繋がっている。ツヴァイ、ドライ、フィーア、フンフ、ゼクスは既に向こうということだ。そして、この私も今から向かう』
まずい……!!
そんな方法でパラドックスへ侵入されたとは……!!
どこまで卑怯なヤツ等なんだ。
「ユメ、このままじゃパラドックスが……!」
焦るネーブルだが、俺は確信を持って言えた。
「ネーブル、みんな避難完了している」
「……はっ! トラオムダンジョン……」
そう、住人全員、トラオムダンジョンに避難済み。
つまり、ひとりもあの国にいない。
「やるわね、ユメ! 余裕があったら抱きついてあげたわ」
「あとでいっぱいしてくれ!」
「うん。いっぱいしてあげる」
……良かった。とりあえず、住民への被害はないだろう。
『少年、お前の作ったあの国こそが理想郷。我が秘密結社・メタモルフォーゼの本拠地に相応しい。そして、ココはお前への手土産であり、棺だ』
「なに……?」
こいつ何を言って……まさか!!!
『気づいたかね。そうだ、私がここからワープすれば、この六芒星は自動的に消失し、この塔は大量の海水が注ぎ込まれる手筈。つまり、貴様たちは溺れ死ぬのだ。……本当の儀式が始まるのだよ』
「てめ、最初からそのつもりで……!」
『ああ、そうとも。最初からお前に敵うとは思っていなかったからな。こうするのが一番手っ取り早いと結論付けた。――ではな、少年。良い夢を』
そう言い残し、アインスはワープしやがった。
「逃がすかああああああああああああああ…………くっ!」
捕らえようとしたが、間に合わなかった。
六芒星は既に消えて無くなり、アインスの姿もない。
「くそおおおおおおおおお!!!」
塔が激しく揺れ始めた。
放水が始まっている……!
「おいおい、ここマリア海溝だろ!? 水なんて一瞬で満杯だろ……」
焦っていると、フォースが俺の服を引っ張った。
「ユメ、落ち着いて。確かにその通り。水で満たされる時間は一瞬。呼吸ももたないし、水圧で死ぬかも……。でも、大丈夫。我々もワープすればいい。ここからは、あたしがワープを」
「そ、そうだよな! ワープがあった……」
冷静な判断が出来るくなるとイカンな。
「みんな、あたしに触れて」
みんなフォースに触れたと同時に、海水が激しく流れ込んできた。
……あっぶね!
その瞬間、ワープが始まった。
行くぞ、パラドックスへ……!
闇を抜け、突き当たると、
「――――――なんだ?」
地面に、巨大な六芒星が緑色で描かれていた。
その魔法陣の上にアインスが怪しく立っている。
フォースが少し前へ出て、それを確認した。
すると、
「これは属性国を表すもの。すべて繋がってる」
「そういうことか」
『そうだ。これは我々、秘密結社が世界へアクセスするためのワープポイント。今まで、パラドックスへ行くのは容易ではなかった』
アインスはニヤっと笑う。
容易ではなかった……?
「まさか、ジジイ! てめえ!!」
『…………フフフ、そうだ。パラドックスへの侵入を可能にしたのだよ。フィーアの妻、ディオネはよくやってくれた。彼女は魔神化してでも、我らに協力してくれたのだからな』
「ディオネだと……」
『そうだ、少年。魔神のテティスを覚えているかね。彼女は、魔神・エンケラドゥスよって暗殺され、取り込まれたとされているが、そうではない。その前に、ディオネのナイトメア研究により、魂を抜かれ、別の器に移植されていたのだよ。彼女は、ディオネを妄信し、崇拝すらしていたのでな、とても協力的だった。――よって、エンケラドゥスの取り込んだテティスは、ただの抜け殻にして人形。本体は別にあったのだ』
「なんだって!?」
そうか、テティスが他の魔神と違って、姿を全く現さずいたのは、そういう理由か。ディオネに心酔するあまり、研究に身を捧げて手伝っていたのだ。そして、エンケラドゥスに目を付けられるよりももっと前。ディオネがしつこく現れた時から、すでに計画は始まっていたんだ。
くそ、裏でそんな事が……!
『姿を変えたテティスは『海賊』の一部に紛れていた。名を『アリア』に変えてな』
「アリアだと!? ……王子が連れ添っていた女船長か……」
『そうだ。王子に接近し、惚れさせ……パラドックスへ侵入させた。おかげで全ては計画通り。よって、この六芒星はパラドックスへと繋がっている。ツヴァイ、ドライ、フィーア、フンフ、ゼクスは既に向こうということだ。そして、この私も今から向かう』
まずい……!!
そんな方法でパラドックスへ侵入されたとは……!!
どこまで卑怯なヤツ等なんだ。
「ユメ、このままじゃパラドックスが……!」
焦るネーブルだが、俺は確信を持って言えた。
「ネーブル、みんな避難完了している」
「……はっ! トラオムダンジョン……」
そう、住人全員、トラオムダンジョンに避難済み。
つまり、ひとりもあの国にいない。
「やるわね、ユメ! 余裕があったら抱きついてあげたわ」
「あとでいっぱいしてくれ!」
「うん。いっぱいしてあげる」
……良かった。とりあえず、住民への被害はないだろう。
『少年、お前の作ったあの国こそが理想郷。我が秘密結社・メタモルフォーゼの本拠地に相応しい。そして、ココはお前への手土産であり、棺だ』
「なに……?」
こいつ何を言って……まさか!!!
『気づいたかね。そうだ、私がここからワープすれば、この六芒星は自動的に消失し、この塔は大量の海水が注ぎ込まれる手筈。つまり、貴様たちは溺れ死ぬのだ。……本当の儀式が始まるのだよ』
「てめ、最初からそのつもりで……!」
『ああ、そうとも。最初からお前に敵うとは思っていなかったからな。こうするのが一番手っ取り早いと結論付けた。――ではな、少年。良い夢を』
そう言い残し、アインスはワープしやがった。
「逃がすかああああああああああああああ…………くっ!」
捕らえようとしたが、間に合わなかった。
六芒星は既に消えて無くなり、アインスの姿もない。
「くそおおおおおおおおお!!!」
塔が激しく揺れ始めた。
放水が始まっている……!
「おいおい、ここマリア海溝だろ!? 水なんて一瞬で満杯だろ……」
焦っていると、フォースが俺の服を引っ張った。
「ユメ、落ち着いて。確かにその通り。水で満たされる時間は一瞬。呼吸ももたないし、水圧で死ぬかも……。でも、大丈夫。我々もワープすればいい。ここからは、あたしがワープを」
「そ、そうだよな! ワープがあった……」
冷静な判断が出来るくなるとイカンな。
「みんな、あたしに触れて」
みんなフォースに触れたと同時に、海水が激しく流れ込んできた。
……あっぶね!
その瞬間、ワープが始まった。
行くぞ、パラドックスへ……!
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