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第90話 世界大奇襲
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【 秘密結社・メタモルフォーゼ 】
「――――テスラは裏切り、パラドックスは滅びなかった」
「想定内よ。所詮、あの小娘は我らとは違う『ジェネシス』の申子で、ただの駒にすぎなかった……」
「ジークムント計画の継続はできよう。――そう、『プランD』ならな」
「我らは我等の道へ。儀式続行を望む」
「火、水、風、地……まずはこの四属性を生贄に」
「その後は光と闇を」
「「「「「「世界を生贄に」」」」」」
◆ ◆ ◆
――――とても嫌な予感がした。
それは見事に的中したようだ。
「ユメ!! ユメ!! ユメ!! ユメ!! ユメ!!」
キャロルがバタバタと駆け寄ってくるなり、俺の名を連呼した。
「おいおい、キャロル。五回も言わなくても分かるって。――で、どうした。珍しく息なんか乱して、そんな吉報があるのか?」
「…………はあ、はあ。……な、なわけないですよ。大変なんです!! 大変なんですよ!」
「なにが大変だって?」
「現在……『火の大国』、『水の聖国』、『風の帝国』、『地の神国』が大規模な奇襲を受けているのです!!! 恐ろしいほどのモンスターの軍勢が国を襲っているんですよ。大規模すぎてどう表現していいか……」
「お、落ち着けって。でも、そんな……四属性をいっぺんに? どこの馬鹿が……秘密結社・メタモルフォーゼか」
「ええ、ユメの言っていたその裏の組織の仕業《しわざ》かと……。いよいよ、世界を滅ぼす気なのでは……このままでは同盟国が!!」
「大丈夫だ。こんな事もあろうかと、実はな、同盟国には俺たちパラドックスの使ってる防衛システムを輸出してある。だから、どの国も最強の防衛力を持っている……まあ、ウチよりは劣るかもしれんが、平気さ」
「そ、そうなのでしょうか……」
「キャロル。ちなみに『光の天国』、『闇の覇国』はどうなってるんだ?」
「今のところ、その二か国に動きはありませんね。でも、このパラドックスにもモンスターが攻めてくるかもしれません。ご注意を――――」
言ったそばから、とんでもない轟音が外から……
『ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!!』
地響きがした。
防音があるというのに、それを突き抜けるほどだ。
慌てて壁の様子を見ると、
「……く、どんだけ送り込んでいるんだよ!!」
そのモンスターの数……不明。
感じる気配だけだが――『100万』はいるだろうな。それ以上かも。
防衛システムが狂ったようにモンスターを絶えず迎撃し、戦争状態に陥っていた。……まずい。数が多すぎる。
「キャロル。民の避難を優先に。みんな、トラオムダンジョンに避難させろ。モンスターは調整して地下100Fまでは、イージーになってるし、大丈夫だろう」
「わ、分かりました! では、私は民の安全を優先にします。ユメ、どうか……国を防衛してください」
ドロンとキャロルは消え去った。
「ああ、任せろ」
◆
俺はみんなを招集し、事情を話した。
「………………」
突然のことに沈黙。
これから世界が滅亡するかもって言われても、実感湧かないわな。
「前にパラドックスが滅びかけた通りだ。今度は、他の同盟国が狙われ、全てを破壊し尽そうとしている。助けたいところだが、外は100万規模のモンスターで埋め尽くされている。今も尚、防衛システムが攻撃しまくっているが、いつまでも持つか……」
あまりにショッキングすぎて、誰も口を開かない。
……と、思われたが。
「ユメ、あとどれくらい持つの?」
フォースが冷静にそう状況の説明を求めて来た。
「そうだな、この規模となるともって半日ってところか。これ以上に増えたら分からん。壁は崩壊し、大量のモンスターが流れ込んで来るだろう。その時、国は終わりだ」
「これを見て」
フォースはいつしかの映像を宙に映し出した。
「パラドックスの周囲には、300万のモンスターがいる」
「なっ……300万だと!?」
「先ほど増えたみたい……このままでは危険。でも、まだ大丈夫。ユメは、この国の管理者だから、防衛システムに干渉できるよね」
「まあな。設備の強化とか俺がしてるし」
「もう本気を出すしかない。ダークエンチャントをシステムに付与して。それで防衛値は更に上昇し、兵器は『SSSランク』となり、高レベルモンスターでも一撃で倒せる」
「マジか! そんな方法があったとはな」
これは驚いた。
システムに闇を付与? 考えもつかなかった。
「よし、やってみよう!」
俺は【防衛システム】自体に『ダークエンチャント』を付与した。
いつもの【防衛システム】メニューが真っ黒に染まり、数値がデタラメにぶっ飛び、壊れたかのように――いや、これバグったわ。
「えぇ……フォース。これ大丈夫なのか?」
「大丈夫。もうすぐ正常に戻る」
彼女の言う通り、元に戻った。
ただし、
【防衛値】1,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000
とんでもねぇ防衛値になっていた。
「うぉい!? いくつあんだよ!!」
「10の48乗――つまり『極』の単位」
極……ああ、限界突破どころの騒ぎじゃないぞ、これ。
「うわっ、ユメ!!」
「どーした、ネーブル」
「そ、外が……」
「ん?」
フォースの映し出した画面を見てみると、黒々としたアルティメットレーザーが容赦なくモンスターを焼き払っていた。
その一撃が命中すると、10万、20万とモンスターの数を減らしていた。
「…………つよっ!!!」
あ……圧倒的ではないか、我が防衛力は!!!
「――――テスラは裏切り、パラドックスは滅びなかった」
「想定内よ。所詮、あの小娘は我らとは違う『ジェネシス』の申子で、ただの駒にすぎなかった……」
「ジークムント計画の継続はできよう。――そう、『プランD』ならな」
「我らは我等の道へ。儀式続行を望む」
「火、水、風、地……まずはこの四属性を生贄に」
「その後は光と闇を」
「「「「「「世界を生贄に」」」」」」
◆ ◆ ◆
――――とても嫌な予感がした。
それは見事に的中したようだ。
「ユメ!! ユメ!! ユメ!! ユメ!! ユメ!!」
キャロルがバタバタと駆け寄ってくるなり、俺の名を連呼した。
「おいおい、キャロル。五回も言わなくても分かるって。――で、どうした。珍しく息なんか乱して、そんな吉報があるのか?」
「…………はあ、はあ。……な、なわけないですよ。大変なんです!! 大変なんですよ!」
「なにが大変だって?」
「現在……『火の大国』、『水の聖国』、『風の帝国』、『地の神国』が大規模な奇襲を受けているのです!!! 恐ろしいほどのモンスターの軍勢が国を襲っているんですよ。大規模すぎてどう表現していいか……」
「お、落ち着けって。でも、そんな……四属性をいっぺんに? どこの馬鹿が……秘密結社・メタモルフォーゼか」
「ええ、ユメの言っていたその裏の組織の仕業《しわざ》かと……。いよいよ、世界を滅ぼす気なのでは……このままでは同盟国が!!」
「大丈夫だ。こんな事もあろうかと、実はな、同盟国には俺たちパラドックスの使ってる防衛システムを輸出してある。だから、どの国も最強の防衛力を持っている……まあ、ウチよりは劣るかもしれんが、平気さ」
「そ、そうなのでしょうか……」
「キャロル。ちなみに『光の天国』、『闇の覇国』はどうなってるんだ?」
「今のところ、その二か国に動きはありませんね。でも、このパラドックスにもモンスターが攻めてくるかもしれません。ご注意を――――」
言ったそばから、とんでもない轟音が外から……
『ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!!』
地響きがした。
防音があるというのに、それを突き抜けるほどだ。
慌てて壁の様子を見ると、
「……く、どんだけ送り込んでいるんだよ!!」
そのモンスターの数……不明。
感じる気配だけだが――『100万』はいるだろうな。それ以上かも。
防衛システムが狂ったようにモンスターを絶えず迎撃し、戦争状態に陥っていた。……まずい。数が多すぎる。
「キャロル。民の避難を優先に。みんな、トラオムダンジョンに避難させろ。モンスターは調整して地下100Fまでは、イージーになってるし、大丈夫だろう」
「わ、分かりました! では、私は民の安全を優先にします。ユメ、どうか……国を防衛してください」
ドロンとキャロルは消え去った。
「ああ、任せろ」
◆
俺はみんなを招集し、事情を話した。
「………………」
突然のことに沈黙。
これから世界が滅亡するかもって言われても、実感湧かないわな。
「前にパラドックスが滅びかけた通りだ。今度は、他の同盟国が狙われ、全てを破壊し尽そうとしている。助けたいところだが、外は100万規模のモンスターで埋め尽くされている。今も尚、防衛システムが攻撃しまくっているが、いつまでも持つか……」
あまりにショッキングすぎて、誰も口を開かない。
……と、思われたが。
「ユメ、あとどれくらい持つの?」
フォースが冷静にそう状況の説明を求めて来た。
「そうだな、この規模となるともって半日ってところか。これ以上に増えたら分からん。壁は崩壊し、大量のモンスターが流れ込んで来るだろう。その時、国は終わりだ」
「これを見て」
フォースはいつしかの映像を宙に映し出した。
「パラドックスの周囲には、300万のモンスターがいる」
「なっ……300万だと!?」
「先ほど増えたみたい……このままでは危険。でも、まだ大丈夫。ユメは、この国の管理者だから、防衛システムに干渉できるよね」
「まあな。設備の強化とか俺がしてるし」
「もう本気を出すしかない。ダークエンチャントをシステムに付与して。それで防衛値は更に上昇し、兵器は『SSSランク』となり、高レベルモンスターでも一撃で倒せる」
「マジか! そんな方法があったとはな」
これは驚いた。
システムに闇を付与? 考えもつかなかった。
「よし、やってみよう!」
俺は【防衛システム】自体に『ダークエンチャント』を付与した。
いつもの【防衛システム】メニューが真っ黒に染まり、数値がデタラメにぶっ飛び、壊れたかのように――いや、これバグったわ。
「えぇ……フォース。これ大丈夫なのか?」
「大丈夫。もうすぐ正常に戻る」
彼女の言う通り、元に戻った。
ただし、
【防衛値】1,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000
とんでもねぇ防衛値になっていた。
「うぉい!? いくつあんだよ!!」
「10の48乗――つまり『極』の単位」
極……ああ、限界突破どころの騒ぎじゃないぞ、これ。
「うわっ、ユメ!!」
「どーした、ネーブル」
「そ、外が……」
「ん?」
フォースの映し出した画面を見てみると、黒々としたアルティメットレーザーが容赦なくモンスターを焼き払っていた。
その一撃が命中すると、10万、20万とモンスターの数を減らしていた。
「…………つよっ!!!」
あ……圧倒的ではないか、我が防衛力は!!!
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