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第88話 自爆攻撃<ディストラクション>

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【 トラオムダンジョン - 地下15F 】

 夢幻騎士たちが攻略できなかった、地下15Fまで来た。
 ここから敵が異常に強くなると言っていたっけ。

「みんな、俺から離れるな」

 魔法使いに聖女と後衛職の多いこのパーティ、俺がみんなを守るしかない。ネーブルがいれば、もう少し楽だったがまだ本調子じゃないしな。

 とにかく。

 ここから先はどんなモンスターが出てくるやら未知数、要注意だ。

「む……!」

 随分ずいぶんとエンカウントしないと思ったが、微かな気配があった。


「上か!!!」


 天井には蝙蝠こうもりモンスター『ピピストレッロ』が大量にいた。


「うわ、気色悪ッ!」


 赤い蝙蝠こうもりが襲い掛かってくる。
 なんて飛行速度……これはまずいぞ。


『――――ダークネス・アサルト!!!!』


 俺は闇の刃を飛ばし、ピピストレッロを引き裂いた。


『ソウルジェネラス――――!!!!』


 更に、俺の取りこぼしたモンスターに対し、フォースがそれを唱えた。あれは、自分のイメージした武器を1~10000まで生成、一斉放射できる心象大魔法。

 今回の場合は『ジャベリン』だった。


 全てが飛んでいき、敵を貫通、撃破した。


「……よし。なんとか、なりそうだな」


 シリウスたちは無理だったが、俺たちは先へ進めそうだ。


 そう思った時だった。


『グゥゥゥ――――――!!!!!』


 地面・・からも蝙蝠こうもり、ピピストレッロが現れ――


 いや、違う。こいつはボスモンスターだ!!!


 オーガピピストレッロ……!


 丁度、そいつがゼファの足元に!!

「ゼファ!! 逃げ――」

「え…………いあぁぁぁッ」


 …………ウソだろ。
 ゼファがやられちまった……!


 彼女はオーガピピストレッロによって、身体を丸ごと飲み込まれ――死亡判定により、外に戻されたようだ。


「あ~…。守れなかったか」
「大丈夫。ゼファはただパラドックスへ転送されただけ。死んではいない」
「そうだよな」

 うん、落ち込む必要はないんだけど……俺もまだまだだな。
 ていうか、地面から現れるのはズルいな。

 かぁ~…、これで俺とフォースとテスラだけか。厳しいかもな。

「ユメ、ここは私が――!」

 張り切っているのか、テスラが魔法を使おうとした――のだが。
 オーガピピストレッロの動きはとても素早く、ほぼ一瞬でテスラの前に。

「うそ……」

 はえええ……。なんてキモイ動きだ。ありえんだろ。
 ほとんど飛行していなかったぞ、アレ。

「テスラ!!」

 アビスイグニッションを発動する前には、テスラは喰われた……。


「……げ。嘘だろ。地下15F、地獄すぎだろ……。けど、嘆いている暇はないな……


 俺は今の一瞬を利用し、


『アビスイグニッション!!!』


 窮極の闇を高めた。


『くらええええええええええッ!!
 ――――ダーク・ヘルズ・ディメンション!!!!!!!!!』


 即時到達したそれは、次元断裂を引き起こし――オーガピピストレッロをバラバラにした。だが、敵はそんな分裂した状態にも関わらず……


『ド~~~~~~~~~~~~~~~~~ンッ!!!!!』


 などと、自爆・・しやがった。


「うわあああああああああッ!!」
「…………!!」

 俺はフォースをかばいつつ、距離を取った。
 あのボス、自爆までするのかよ。性質たちわりぃ!!


 ・
 ・
 ・


 ボスモンスターは倒したようだ。
 最後には自爆したけどな。あそこまでするとは、ちとやりすぎな感もあるが――なるほど、ありゃあ、夢幻騎士たちが攻略できないわけだ。
 ゼファとテスラすらやられてしまっていたし。

「フォースよ、難易度あげすぎだ。もうちょい優しくしてくれよ」
「……ご、ごめん」

 今、俺とフォースは地べたに座り込んでいた。しばしの休憩だ。
 俺はフォースを股の間に座らせ、後ろからギュっとしていた。

「明日にはアップデートしておいてくれ。あのままじゃ、客が減っちまうよ」
「うん。……ゼファとテスラやられちゃったね」
「こんな鬼仕様だとは思わなかったからな、完全に油断していた。でもこれが、ガチダンジョンじゃなくて良かったよ」

「トラオム仕様にしておいて良かった」

 俺の手を握るフォースは、不安そうだった。
 ……今や二人っきりだしな。

 ……ふーむ。どうしたものか。

 難しく考えようとして腕を動かすと、偶然、フォースの胸元に手が触れた。……あ。

「…………っ」
「わ、悪い。体勢を変えようと思ってな」

「……………」

 謝っても返答はなかった。
 むしろ、フォースはこらえて、耐えているようにも見えた。何に?

「どうしたよ。らしくないな」
「……も、もうがまんできない」
「え」

 クルっとこちらを振り向くフォースは、涙目になって向かってくると、唇を重ねてきた。……そっちの我慢できないかいっ。

「……んっぅ……。ユメ、すきぃ……♡」

 激しく求めてきた。
 突然のことに脳内が大興奮し、俺はフォースの最も・・可愛いお気に入り部分に触れた。

「いいよっ♡ 今は許してあげる♡ いっぱいいっぱい触って♡ ユメ♡ ユメぇ♡ んっ…………んんっ♡」

 普段なら絶対拒絶の部分を、今は寛容かんように受け入れてくれていた。
 嬉しい。めちゃくちゃ嬉しい。

 今や、ダンジョン攻略なんてどうでもよくなって、俺はフォースの服を脱がし……むさぼるようにして、求めた。


 ・
 ・
 ・


「――――いかん。オープン初日の専用ダンジョンで……フォースとスゴイことをやっちまった……」


 事態が発覚したら大問題だ!

「いいか、フォース。今回のことは二人だけの秘密だぞ」
「う、うん。口が裂けても言えるわけないよ、こんなこと」

 照れながらもフォースはそう言った。
 だ、だよな。

「じゃ、じゃあ戻るか……みんなに心配掛けたくないしな」
「そうだね。お風呂も入りたい。戻ろう」

 通常、テレポートとワープは不可能だが、フォースにはダンジョンの管理者権限が付与されている為、可能なのだ。


 いろいろあったけど、楽しかったなぁ。
 俺は特に、フォースの笑顔が見れて大満足だった。
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