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第48話 神への挑戦

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 レジェンドボス・アーカーシャをぶっ倒すしか生き残る方法はない。

 今、俺含めて全員にはフォースの『スペシャルガード』、ゼファの『グロリアスブレッシング』、『グロリアスアジリティ』、ネーブルの『エレクトリックテール』の支援と補助が掛かっている。
 スペシャルガードは、敵から受ける物理・魔法ダメージを問答無用で半減させる効果を持つ。ただし、持続時間は短い。よって、短期決戦でいくしかない。
 グロリアス支援は、全員のステータスと移動速度がアップ。そして、『エレクトリックテール』。これは初めて見るライジンの能力スキルだ。

「……ネーブル、このエレクトリックテールの効果は?」
「いや、悪いんだけど説明している暇はなさそうよ」

 アーカーシャが降臨し、ついに攻撃態勢に入った。

 ――――いやそれどころか、いきなり攻撃を。


「うぉぉぉおあああああああああッ!!!」


 なんだ!?
 今のは拳か……? 何も見えなかったぞ。
 ……あぶなかった。『闇』と『スペシャルガード』のおかげで何とか耐えた。けど、かなり吹っ飛ばされた。

 くっ、もう巨体が俺の前に。
 なんてデカさだ、デカすぎる。それなのに敵は軽々と動き、次には大魔法を放ってきた。……ありえんだろ! 動きが……! そうか、ヤツはあの自慢の六枚の翼を使って自由自在に動いているんだ。

 だったら、動きを止めてやる……!!


『魔剣・エクスカイザァァァァ――――――!!!!!!』


 百本ほど一斉に生成し、アーカーシャ目掛けて飛ばした。
 ……よし、決まっ――――てない!!

 ヤツはいきなり『槍』を取り出し、俺のエクスカイザーを全部吹き飛ばし、破壊した。一撃で!? ウソだろ、あんな威力を持つ槍は聞いたことがないぞ。
 あせっていると、遠方にいるフォースが大魔法を放っていた。


『――――――ベテルギウス!!!!!!!!』


 あれは、夢幻騎士・ベテルギウスからさずかった赤色超巨星の力。極級無属性魔法だ。クリムゾンの輝きがアーカーシャを永続的に襲っていた。


 まさに圧殺。


 絶対に回避をさせぬと怒涛どとうが続き、敵を押さえ込んでいた。あまりの威力にアーカーシャは身動きできず、ついに翼を一枚失った。

「わたくしもフォースちゃんに続きます……」

 両手を広げ、ゼファもついに攻撃に出た。


『グロリアスホーリークロス……!!』


 敵の体格を大きく上回る聖なる十字がいくつも折り重なり、敵の身体を貫いた。


『…………グォォォォォォォォオ……!!』


 効いてる。効いているぞ……!


 よし、これならと思ったが、さすがレジェンドボス。アーカーシャは左腕を伸ばし、ネーブルを襲った。……くそっ!!


「…………!」
「ネーブル!!」

 やめろ、ネーブルはスキルの反動で動けないんだ……!! 間に合え、間に合ええええええええええええええええッ!!!


 …………って、まて。俺の移動速度スピード、かなり早くねっ!?


「あれ、あんな距離があったのにもうネーブルが目の前に」
「ユメ、それがエレクトリックテールの効果のひとつよ。どんな種族だろうと移動速度を強制的に三倍・・にさせるの。でもそれだけじゃない。ふたつめの効果は、どんな攻撃も必中攻撃・・・・になる。だから、あれが神様だろうと関係なしにスキルをぶつけられるわ」

 そうか。だから、フォースのスキルは効いていたのか。すげぇぞ……!

「よし、そうと分かれば本気でいくしかないよな」
「ごめん、ユメ。わたしはスキルの反動で動けそうにないから、足手まとい……捨てても構わないから」
「よし、なら俺と一緒に来い、ネーブル!」

 俺は、ネーブルを強引におぶって跳躍ちょうやくした。

「うわぁ……ユメ!?」
「この方がやる気が出るし、なによりお前を守れるからな。黙って俺についてこい!」
「…………。うん、分かった」

 感極まって泣きそうになっているネーブル。嬉しかったのだろう、ぎゅっとして来てくれたので、俺のやる気は倍増した。

「よっしゃぁぁぁッ!! このままいくぜ……!」

 っ走る。
 とにかく、敵の上から下から来る猛攻撃を本気で完全回避し、見切った。さあ、となれば、あとは決めるだけだ。

 ――と、その前にフォースが十八番おはこを放った。



『――――――スーパーノヴァ!!!!!』



 って、まてまて。フォースのやつ、いつの間にか宙に浮いているじゃないか。そんな体勢からの大魔法であった。あんな反り返って、すげぇ身体が柔らかいな。
 そうして、『極覚醒杖・ビリジアン』から無詠唱でぶっ放された超新星爆発は、アーカーシャに落ちて身体の半分を削った。


『グォォオォアアアアアアアアアアアアアアアアア…………!!!!!』


 あと少し!


 ならば、トドメは俺だ。

「ネーブル、振り落とされないようにつかまっていろよ……!」
「わ、分かったわ! ……もし無事に帰られたら……今夜、メイドさんの衣装で一緒に寝てあげるからっ」

「よっしゃあああああああ、本気だあああああああああ!!!」


 もう迷いはない。いや、そんな迷いなんてなかったけど。

 全力で勝つだけだ。

 神だろうが何だろうか倒してみせる。


 俺はそう――――だからな。



『ライスナー!!!』


 光を超越する闇、


『ノルドシュトルム!!!』


 この世の頂点にして原点、


『ブラックホール――――!!!!!!!!!』


 土は土に、灰は灰に、塵は塵に。



『――――――――――』


『――――――――――!!!!!!!!!!!!!!!!!』



 すべてを無に還す力は、アーカーシャを滅ぼし、消滅させた。


「……か、勝ったのか。神に」
「勝利した。ユメ、おめでとう」

 フォースからお墨付きを戴いたので、間違いなかった。
 今のこの空間は、自分の心音が聞こえてきそうなくらいに静かだった。

「やったのよ、ユメ!」
「そうですよ、ユメ様!」

 ネーブルもゼファも喜んだ。
 フォースの確定情報があっても尚、まだ実感の湧かない俺は、これが現実なのか夢なのか曖昧だった。でも、彼女たちの笑顔見て……これが本当の勝利なんだと確信を得た。


 ああ……やったな。これで国は最強だ。


 パラドックスへ帰ろう。
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