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第12話 ボスクリーチャーの襲撃

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 パラドックスへ戻ると大変なことになっていた。

「ユメ、あれ」

 フォースが指さす方向、そこには。

「……ああ、クリーチャーが襲ってきてる!! 飛行タイプか。面倒な」
「かなりの大群よ。どうするの」
「ネーブルは、ゼファと一緒にみんなを守れ。俺とフォースで何とかする」
「分かった」

 ネーブルとゼファは防衛に向かった。

「さて……」
「まってください」
「ん? キャロルどうした、むっとして」
「私への指示は!?」
「なんだ、指示が欲しいのか。ギルドマスターなのに?」
「それはそれ、これはこれです。いいから、何か私にも役割を!」

 そう期待の眼差しを向けられてはなー。

「じゃ、ネーブルたちについて行ってくれ」
「はいっ! では、みなさんをお守りすればいいのですね」

 キャロルは走り出して行ってしまった。

「よし、フォース――んぉ、もう大魔法を発動中か」
「いつでもいける」


「よし、やっちまえ!!」


 詠唱もなければ、杖も構えず、フォースはそれを放った。



「――――――スーパーノヴァ!!!!!」



 空いっぱいに広がる大爆発――いや、超新星爆発・・・・・
 空飛ぶクリーチャーを吹き飛ばし、一気に蹴散けちらした。


「相変わらずスゲェ威力だ……!!」


 あの超爆発は何度見てもすごい。
 更に、あの『スーパーノヴァ』は、副作用として【ガンマ線バースト】を放ち、徹底的に敵を駆逐する。つまり、絶滅に追いやるまで、恐ろしすぎるレーザービームを放ち続けるのだ。


「勝ったな」


 勝利を確信する俺。

 ガンマ線バーストも落ち着き、終息へと向かった。


 その時だった。


「フォース!!!」


 俺は咄嗟とっさにフォースを抱え、地面へ滑り込んだ。


「……ユメ!?」
「なんてこった。軌道上から狙い撃ちされているぞ!!」
「え……軌道上って、宇宙そら?」
「おそらく、ボスクリーチャーだな。一体・・いるな」


 さすがに姿は見えないが、たった今、とんでもないレーザーが降り注いでいた。おかげで、地面に大きな穴が……(泣)


「よくもやってくれたな……! む?」


 叫んでいると、国全体に声が響き渡った。


<<我は、魔神・アトラス様に造られし――ギャアアアアアアッ!!>>


「にょ!? ……いきなり何があったし!?」


 声の主は絶叫するや、ピュ~~~ンと物凄い速度で落下してきた。

 ――で、地面にドゴォ、グシャっと……。


「フォースか?」

 しかし、フォースは首を横に振った。違うらしい。

「となると、誰だ?」
「私よ~、ユメ」
「あ、姉ちゃん」

 魔王の姉ちゃんだった。なるほど、今戻ってきたのか。

「なんかバカでかいビームが落ちてきたじゃない。だから、そっこうで宇宙そらへ上がったの。そうしたら、イカみたいのが浮ていたの! 気持ち悪かったわ。でも、撃ち落としておいたから」

 ウィンクしてくる姉ちゃん。
 さすが魔王である。

「よし、トドメは俺が刺す」

『おのれ……誰だ、我に攻撃してきた――――あら……もしかして……』
「おい、魔神のしもべ! よくも俺の国に大きな穴を開けてくれたな!!」

『……いや、その、え……』


「必殺! 微塵切り!!」

 魔剣・エクスカイザーでボスクリーチャーを細かく切り刻み、倒した。


『ブギャアアアアアアアアアアアアアアアア~~~~~~!!!!』


 脅威きょういは去った。


 ◆


 地面は勝手に再生した。
 そういえば、ここは暗黒地帯ダークゾーンなのである。それくらいは容易だった。便利で助かる~~~!!

 おかげで、土材料は不要だ。


 ただし、家屋のいくつかは被害が出た。


「ま、ダイヤモンド売ればいいし、大丈夫だろう。あとは頼んだぞ、キャロル。お前の闇ルートを使って売りさばいてきてくれ」
「任せてください!!」

 俺は、キャロルとそのギルドメンバーに全てを託した。

 黒船号を貸し出し、あとは任せた。


 ・
 ・
 ・


「お疲れ様です、ユメ様」

 そう背後から抱きしめて『グロリアスヒール』で癒してくれるゼファは、ねぎらいの言葉をくれた。優しく、包容力があって……柔らかい。

「……抱きしめる必要性あるの、ゼファ」

 ネーブルがジトっとした目で、俺を見ていた。

「なぜ俺を見る。いいじゃないか、ゼファが幸せそうなんだから」
「そ、そうだけどー…。むぅ」

 腕を組んでふくれるネーブル。
 あとで構ってやるか。

 一方、フォースは、ソウルフォースである程度の修復をしていた。
 今しがた作業を完了させて帰って来た。

「おつかれ、フォース」
「うん。疲れた」

 適当な場所で体育座りして、フォースは目を閉じた。眠いらしい。

 とにかく、ダイヤモンドが売れて、金が出来れば国は安泰あんたいだ。これで、不便なく暮らせるだろう――俺はそう思っていた。


 だが……。


 キャロルたちの方では……大事件・・・が起きていたのだ。
 それを知ったのは一週間後だった。
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