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第10話 帝王が戻れとしつこい

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 エクストラボスのドロップアイテム『巨大ダイヤモンド』をゲット。更に通常のダイヤモンドもかなりの量を入手した。

「ユメ様、これで我が国の資金難は解消できそうですね!」
「そうだな、ゼファ。城でも作るか」
「お城ですか、いいですね。よかったら、教会も作って戴けませんか?」
「もちろん。教会の一個や二個任せろって」
「ありがとうございます♡」

 ゼファに抱きつかれた。
 豊満ほうまんボディが俺を包む。

 ……激、幸せだねッ。

 心の中でガッツポーズしていると、キャロルが異常を察知した。

「ユメ、敵襲です」
「なにっ……エクストラボスは倒したはずだぞ。クリーチャーか!?」
「いいえ、これは人間・・の気配。おそらく、風の騎士団でしょう」
「マジか……!」

 規則正しい複数の足音。
 それがこちらへ進行してきていた。

「……こいつは驚いた。帝王自らこんな辺鄙へんぴな場所へ来るなんてな」

「久しいな、元勇者・ユメよ」

「俺を呼び戻しに来たのか。わざわざそんな大勢の騎士団を率いて……」
「そうだ。我が国・風の帝国キリエは、今重大な危機にひんしておる。魔神のクリーチャーに襲われ、民への被害も甚大じんだいなのだ」

「それで?」

「戻ってこい」

「戻ってこい……? 俺の邸宅うちを燃やした挙句、追放したクセに? どの面下げて、んなこと言ってんだ!! ふざけるのも大概にしやがれッ!!」

「その件については詫びよう」

「詫びる……それのどこか詫びているんだ。いいか、帝王! 謝り方には、古来からのやり方があるだろう。それ・・をしなきゃ俺は絶対に戻らん」

 そう俺がキッパリ言い返すと――


「ユメ、貴様!! 帝王様に土下座しろというのか!!!」


 復帰していたトルネードがえた。

「……ああ、そうだ。でなければ、俺の怒りは収まらん。それにな、俺にはもう『国』がある。帰るべき国だ!! 俺の住処はもう決まっている。そう……もう何もかもが遅いんだ……」

「そうか。それがお主の答えか」
「だったら、どうする帝王」

「ユメ、貴様の国を滅ぼしてくれようぞ……。そして、我が国へ戻ってくるのだ。力ずくでお前を取り戻してみせよう」

「力ずくで? 被害がヤバイとかっていう風の帝国キリエが? 無理だな」

「無理ではない。なぜなら、四属性の国――いや、光と闇を含めた六属性・・・の国がお前の国を攻め滅ぼすからだ」


「な…………なんだと…………」


 六属性だと……!


「そうか、それは面白くなってきたな。やれるもんならやってみな!! キャロル、煙幕を頼む!!」

「任されました――忍術・大煙幕!!!」


 ドロ~~~~~~ンと黒煙が発生。
 その煙に乗じて、俺たちは逃げ出した。


 ◆


【 地の神国クレド 】


 なぜかこんな所まで飛んできた。
 フォースの仕業だった。

「どうした、フォース。いきなりこんなところに飛ばして……あぁ、もしかして、師匠マスターが恋しくなったか」

「ち、違うもん……」

 顔を赤くしながらも否定するフォース。分かりやすいヤツめ。

 ちなみに、師匠マスターってのは、フォースのマジもんの師匠であり、『ソウルフォース』の使い手にして、世界一の極魔法使いアルティメットウィザードである。

「まあ、この森は見覚えがある。この奥か――。
 みんな、すまんちょっとだけ付き合ってくれ」

「いいよいいよ~。わたしも挨拶したかったし」
「わたくしもです。フォースちゃんのマスターさん、失礼ながら可愛いお人ですよね!」

 ネーブルもゼファも乗り気だった。

「ほ~、フォース様の師匠マスターですか。それはぜひお会いしたい! では、私もご同行しましょう」

 そして、キャロルも。


 ◆


 自然に守られるかのように、その家はあった。
 緑の家がポツンと寂しくある。

 広く大きく、落ち着きのある――けれど、豪邸。

「すごく雰囲気があって、落ち着きのある場所ですね~。素敵です」

 キャロルが感嘆し、そう感想を述べた。
 ただし、ビキニ姿である。そしてなぜかネーブルに後ろから抱きついていた。どうやら、ネーブルに好意があるようで、でも、俺にもああしてくる時がある。

 つまり、両方・・いけるようだ。すごい変人だ。
 まあ、彼女の奇人変人伝説は、これだけじゃないけどね。


 師匠マスターの家の前に到着。


 フォースがやや緊張の面持ちでドアノブに手を――――


 伸ばす前に、自動・・で開いた。


 自動というよりは、あれは『ソウルフォース』の力だ。つまり、師匠マスターが入ってこいと言っているのだ。

「入ろう」

 そう一言だけフォースはつぶやき、中へ――。


 ◆


師匠マスター! マスターアルティメットウィザード! お邪魔しますよ」


 呼びかけても反応がなかった――と思いきや。


『ここじゃ、ここ。ここにおる』

「ここ~?」


 高すぎる天井を見上げると、その上には重力に逆らってというか、逆さまで紅茶を楽しんでいる師匠マスターの姿があった。机と椅子が天井にくっついとる。

「ね、ねえ……あれ! どうして、あんなところに!?」

 初見のキャロルは戸惑っていた。
 それが普通の反応だわな。


「あれが師匠マスターだよ。マスター・グレイス」


 フォースが天井を見上げ、ジャンプ。
 一回転して、向こうへ張り付いた。

「俺らも行こうか」
「え……行くってあの上へ!?」
「そうだよ、キャロル。初めてで緊張するかもしれんけど、ほら、手」
「わわわ、分かりました……」

 明らかに緊張しているな。

「忍者なんだから、天井くらい張り付いたことあるだろう」
「ありませんよ!! あんな風には……!」

 キャロルと手を繋ぎ、俺たちはマスターのもとへ向かった。

「ちょっと、無視しないでくださあうああああああああ…………!」
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