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緊急用地下シェルターを作る

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 少しずつだが、財宝がお金になりつつあった。
 世界的な『金』の高騰によって、かなり稼げた。ここ最近、ゴールドの需要が高いらしい。グラムで9000円以上なのだとか。

 おかげでここ数日だけで一億は儲けた。

 金なら買い取ってくれるお店が多いし、分散して売却すれば怪しまれない。

「てっちゃん、お金は投資した方がいいと思われ」

 桃枝がそんな提案をした。
 言われてみれば、ただお金を口座に置いておくよりもいいだろう。上手くいけば増えるかもしれないし。

「株でも買ってみるか?」
「そうだね。売却して得たお金はうまく資産運用していかないと」

 その辺りは桃枝に任せた。
 彼女は投資の知識もあるようだし、上手くやってくれるはず。

 あと月と星も協力してくれることになった。

 なお、未成年の場合は『未成年口座』を開設すれば株が出来るようだな。知らなかったぞ。てか、学校で株のことなんて教えてもらえないからワケわからん。

 けれど幸いにも桃枝と月と星が詳しいようだし、これはもっと稼げるかもしれないな。

「それじゃ、任せたぞ」
「了解。月と星を借りるねー」
「好きに使ってくれ」


 引き続き、財宝の取引をお願いして俺と天音は、緊急用シェルターを作りに車庫へ。
 この家には車庫へと続く廊下があった。

「へ~、車庫があるんだ」
「車も置けるようにってことらしい。ほら、海が近いからさ、車庫がないと潮風で錆びたりするんだってさ」

「あ、そっか!」

 納得する天音さん。
 さて、到着した。車庫内は何もなくて広々としている。車一台は余裕で止められるスペースだ。


「ここに地下シェルターを掘る」
「掘るの!?」
「万が一もあるかもしれないからね。備えておくに越したことはない」
「そうだね、最近物騒だもんね。でも、この地面ってコンクリだよね……掘れるの?」
「大丈夫だ。ちゃんと電動ハンマーを買ってあるし、便利な道具を揃えてある」

 ほとんど月と星が用意してくれたものだけどね。

「へえ、これでコンクリートを破砕するんだね」
「そんなところだ。じゃあ、準備してくる」
「うん、わたしも手伝うから何でも言って」

 俺は作業着に着替え、軍手もばっちり装着した。
 これで汚れる心配もない。
 さっそく電動ハンマーの電源を入れ、コンクリートを破壊していく。物凄い轟音と共にコンクリートが石の塊になっていった。

「天音、このコンクリの石ころをネコに詰めてくれるか?」
「ネ、ネコ!? どこにネコがいるの!?」
「あ、すまん。ネコだと分かり辛いよな。一輪車・・・のことだよ」
「え、この一輪車ってそういう風に言うんだ……知らなかった」

「ああ、こういう土砂とかを運搬する一輪車のことを『猫車ねこぐるま』って言うんだよ」

 俺は少しだけ土方のバイトをしたことがあった。キツくて結局、数日足らずでバックレたけどな!

「凄いなぁ、早坂くんはなんでも知ってるんだ」
「な、なんでもは知らないよ。偶然、過去にこういうバイトをしていたからな。今になって役に立つ日が来るとは」

「早坂くんの過去を知れて嬉しいなぁ。もっと教えて」
「バイト歴なら無駄にあるぞ。ホムセンとか物流倉庫とか色々やった」

 おこづかい欲しさに頑張ってみたものの、いずれも数日で辞めてるけどな!!
 俺、ぜんぜん続かないんだよなぁ。
 S級バックラーの称号が与えられていても、おかしくはない。

「それで早坂くんは博識なんだね」
「本当は働きたくなかったんだが……親がおこづかいくれないし、それに、キャンプ用品を買うとなると高額なものもあるからね」

 はじめて買ったマルチツールは、一万円もしたっけな。
 それからテントや寝袋シュラフなど買っていった。気づけばサバイバルオタクになっていたな。

「そういうことか~。それでバイトを」
「青春とは無縁と思っていたからな。なら趣味に全振りするしかないと、そう考えてね」
 天音たちと出会うまでは、ウルトラぼっちだったからな。

「それじゃあ、青春しよっか」
「あ、天音……んぉッ!?」

 大胆に抱きついてくる天音さん。
 さっきお風呂に入ったばかりなせいか、石鹸の香りがほんのりと。……良い匂いだ。
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