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殺し合い、道連れ、奇跡の一発

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「俺たちをどうする気だ!!」
「そんなの決まっているだろ。早坂、てめぇは殺す。女と宝はいただくぜ」

 ニヤリと笑い、デザートイーグルを向けてくる田中。コイツの目……本気だ。
 身構えていると、田中は引き金を引いた。

 だが、俺は既に回避行動に出ていた。

 おかげで弾を食らわずに済んだ。
 あんなの被弾したら即死だぞ。

 今度は俺がUZIIウージーで反撃した。

 ヤツ等はビビって岩陰に隠れた。こちらも同じように岩陰に。


「……ッ! こんなの聞いてないよぉ」
「大丈夫か、天音」
「……怖いよ」

 天音は小さくなって震えている。
 俺が守ってやらないとな。

「楓、武器は?」
「貰ったキングコブラがある。これで応戦する」
「了解。距離三十ってところかな」
「こうなったら、私が囮になる。早坂くん、ヤツ等の排除をお願いできる?」

「だめだ。楓にそんな危険な真似をさせられないよ」

「大丈夫。絆とサバゲーしまくって鍛えているからさ」
「これはゲームじゃないんだぞ……」
「信じて」

 そんな自信満々の瞳を向けられてはな。そうだな、楓を信じてみよう。彼女ならきっと出来る。


「天音、いざとなったら楓を援護してやってくれ」
「……わ、分かった」
「撃ち方は習ったよな」
「うん、北上さんから教えてもらったから」

 なら、きっと大丈夫だ。
 この危機を脱しないと……財宝は運べない。俺は本気だ。敵を殺す気でいく。

 俺たちの邪魔をするというのら誰であろうと容赦しない。


「いくよ、早坂くん。天音さん」


 俺と天音はうなずいた。
 3、2、1……行動開始!

 まずは囮役の楓が前へ出た。直後、岩陰に隠れていた田中とアキラが姿を出して、楓を狙う。


「馬鹿が!! ひとりでノコノコと」
「おいおい。女じゃねぇか……足を狙え!!」


 なるほど、女なら命までは奪われないと、そこまで確信しての行動だったか。
 なら、今が好機だ。

 俺はUZIIウージーからキングコブラへ持ち替えて構えた。

 まずは田中の心臓を狙う。


「――し、しまった!! ぎゃあああああああ……!!」


 焦る田中は避けようとする。ギリギリで躱したが、腕に命中した。更に俺は続けてアキラの腹部を狙った。頭よりも命中率が高いボディでいく――!


『ドォン、ドォン!』


 二発を正確に発射して命中させた。


「がはッ!! ……クソ!!」


 野郎、よろけただけで平然と立ってやがる。防弾ベストを装備しているのか!


「くそっ」
「ふははは……! 防弾装備くらいしている。早坂、これでお前はおしまいだ!!」


 ファイブセブンを向けてくるアキラ。あれは、北上から借りて俺が使っていた武器だ……! やっぱり、パクっていやがったか。

 とにかく先に銃撃を――って、引き金を引いても弾が出ない!!

 弾切れ!?


「しまった……!」
「早坂、まさか弾切れかぁ!? ざまぁねぇな!! 死ねえええええええええええ!!!」


 レーザーサイトが俺の眉間でチラつく。やっべ、ヘッドショットを狙う気か……ていうか、あのファイブセブンにレーザーサイトあったのかよ!!


「させない!!」


 岩陰に隠れていた天音が素早く転がってきた。伏せたままキングコブラを構え、撃った。

 弾はアキラの膝に命中。ヤツはぶっ倒れて転がっていった。……ナイス、天音!


「助かった!!」
「良かった、早坂くんを助けられて」

「だが、まだだ。まだ田中がいる」


 田中は腕のケガにも関わらず、銃を構えていた。野郎に痛覚はないのか。それとも、痛覚遮断系の薬でもやっているのか……? なんにしても尋常ではない。

 今度こそヤツにトドメをさす。

 UZIIウージーでハチの巣にしてやる。


「くそがああああああああ!! なら、道連れにしてやる!!! これを見ろ!!」


 田中の服の中には、手榴弾が大量にあった。……やべぇ、田中の服に命中していたら、あれが爆発していたのか。てか、どこでそんな大量の手榴弾を手に入れたんだよ。


「馬鹿な真似はやめろ!!」
「どうせ死ぬなら全員だ。それなら寂しくないからなぁ!!」

「狂ってやがる……」


 どうすりゃいい、UZIIウージーでは弾がバラけて手榴弾を爆発させてしまう。正確に狙えるスナイパーライフルでもあれば別だが。

 ……ん。

 足元にファイブセブンが……そうか。

 こいつにはレーザーサイトが装着されている。これなら命中率はかなり高い。

 これで田中の頭を撃ち抜く。


「お~っと、動くなよ。早坂! 少しでも妙な真似をしたらドカンだ」
「分かった。楓……プランBだ」

「了解。プランBだね」


「なに!? プランBとはなんだ!?」


 混乱する田中だが、プランBなど適当に言った嘘だ。楓は俺の妙案に合わせてくれていたんだ。

 素早く銃を構える楓は、田中を脅した。


「動くな、田中!!」
「くっ!! いいのか、爆発するぞ!!」


 よし、未だ。俺はファイブセブンを拾い上げて、低い体勢のままレーザーサイトを照射。田中の眉間に合わせた。


「これで、最後だあああああ」
「ちょ、まて、まて!! 俺を殺してもなんの得にもならんぞ!! やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめてくれえええええええええええええええええ!!! 死にたくない!!」


 俺は引き金を引いた。
 正直言えば、同級生を殺したくはない。けど、奴らは俺たちの命を狙った。撃っていいのは撃たれる覚悟のある人間ひとだけだ。

 これは財宝を奪い合う殺し合い。

 だから――!!!


「くらええええええッ!!!」


 ファイブセブンの弾を発射。
 瞬きするよりも早く到達した弾丸は、田中の眉間を撃ち抜いた。



「――――がはっ」



 後ろへ落ちていく田中の体。
 ぐしゃっと音がして、奴は絶命した。


 ……ふぅ。これで終わったか。
 まさかファイブセブンに助けられるとはな。


「早坂くん! 無事でよかったよぅ」


 天音が抱きついてわんわん泣いていた。俺は抱きしめた。生きていて……良かった。それから楓も抱きついてきた。

「あぶなかった……。危うく死ぬところだったよ」
「ありがとう、楓。君がいなければやられていたかも」

「みんなの力があったおかげだよ。そうじゃなきゃ、勇気なんで振り絞れなかった」


 さて、アキラはまだ生きているはずだ。ヤツからは情報を少しでも引き出して、それから逝ってもらう。
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