上 下
12 / 62

SSS級防具などを装備しまくれ!!

しおりを挟む
 中央噴水広場のベンチに座って、結構な時間が経った。ヨークは、ずっとドラゴンの名前に悩み続けていた。
 そんなに唸って……無理に決めなくてもいいんだぞ。

「思いつかないのか?」
「……うぅ。ちょっと待って下さい!」

 仕方ないな。
 その間に僕は、さっき買ったアイテムを装備していく。


【A級タリスマンアーマー】
【詳細】
 ヨーク共和国製。丈夫で軽量に作られている為、全ての職業が装備可能。
 防御力DEF +1000。


【S級オーダーグリーブ】
【詳細】
 ペンデュラムクエスト:天上の妖精王をクリア達成で入手できる最上級の靴装備。
 防御力DEF +3000。
 装備者の移動速度Agilityを二倍にする。


【SS級オークマント】
【詳細】
 EXボスモンスター:ブラックオークロードのSS級ドロップ。
 回避力FLEE +500。
 完全回避 +100。


【SSS級ルートガントレット】
【詳細】
 インフェルノダンジョン最下層:凶星カオスヘッドを撃破すると入手可能。

 ①物理攻撃力 +1000~10000%(ランダムアップする)。 ②魔法攻撃力 +1000~10000%(ランダムアップする)。 ③ドロップアイテムを自動で回収し、アイテムボックスに収納する。


 今回はこの四つを装備。
 A級以上の装備で固まったな。
 アイテムの詳細とか吟味していると、ヨークが手を鳴らす。

「決まったのか?」
「はい、決まりました!」
「で、ドラゴンの名前は?」

「ええ、発表します! その名も“スイカ”ちゃんです!!」

 スイカ……?
 って、ちょうど横切った業者が果物の『スイカ』を運んでいた。ヨークのヤツ、あれを見て決めやがったな。まあいいか、可愛い名前だし。

「スイカか。悪くないな」

 スイカも“ウンウン”と頷いているし、どうやら気に入っている様子。良かった、良い名前がついたな。


 さて、次はヨークの服だな。
 さすがに修道服ばかりも飽きるだろうし、それにもっとオシャレもして欲しいと僕は思った。

 というか、そもそもこの力はヨークのおかげなので、贅沢はさせてやりたい。

 そのまま露店街を回っていく。

「ここって、お店がずっと続いていますね、ヘンリーさん」
「中立地帯は冒険者が多いからな。商人が道端でレアアイテムとかを売買するんだ」
「さすがお詳しいですねっ」
「元ギルド職員だからな」

 ぐるぐる店を回っていくが、洋服は中々決まらなかった。

「ヨーク、かなり回ったけど決まらないじゃないか。もう修道服でいいんじゃない? それ、一応レア装備だろ」
「ま、まあ……そうですけど。ちなみに、S級のセイントローブですよ」

 そうだったのか。道理で豪華な装飾がなされていると思った。防御力も高そうだし、なんだか神聖な効果もありそうだった。ちょっと詳細を見てみてみたいところだが、ヨークが拒否した。なんでだよっ。


「見せてくれないのか」
「ヘンリーさんのえっち!」
「えっちって、別に触ってないだろう」
「女の子は秘密が多い方が魅力的って言いますからねっ」


 誰からの受け売りなんだかな。ともかく、ヨークの着るS級セイントローブは逆鱗に触れるようなものだから、止めておこう。

 そんな中、教会というか大聖堂の前に通り掛かった。この中立地帯スコットの『セント・ポール大聖堂』とかいうところだ。

 大きくて信者も多く行き交っていた。
 シスターもあっちこっちにいる。特に彼女らは、異質であるかのようにヨークをジロジロ見ていた。しかも、ヨークの服装をけなしていた。

「なにあれ、だっさ~」「えっ、あれってヨーク共和国じゃない?」「ああ、あの異端の」「異教徒よ」「うわ、悪魔の子!?」「きもぉ~」「見ない方がいいわ」

 うわ、差別的だな。
 その中から気の強そうな若いシスターがヨークの元へ寄っていく。

「そこの貴女、セント・ポール大聖堂の前で何をしているの」

 急にビンタが飛んできて、俺は彼女の腕を掴んで止めた。

「やめろ。ヨークに罪はない」
「チッ、あんた何よ」
「この子の連れさ。というか、仲間だ。いきなり暴力はいけないよ」

「黙りなさい! このセイントローブは、ヨーク共和国の異教徒。邪教とも呼ばれているヨーク大聖堂の者ではありませんか!」

 ヨーク大聖堂?
 なんでもかんでも“ヨーク”だな。やっぱり、ヨークは共和国と何か繋がりがあるのか。しかし、共和国は極東にある為、そう簡単に行ける距離ではない。だから、ギルド職員である僕でも情報をそれほど持ち合わせていなかった。

 また、秘密の多い国とも知られ閉鎖的だった。その為、元からそれほど情報が多いわけでもなかった。

 だからって、ヨークを差別していい理由にはならない。僕はこの子を守る。

「ヘンリーさん、わたくし……黙っていてごめんなさい。でも……でもぉ」
「泣くな、ヨーク。僕は君を信じているし、守り続ける」

 ……あれ、なんだろう。
 涙を指ですくったら、すっごく体力が回復した。もしかして、ヨークの涙には魔力が宿っているのか?

「泣いても無駄よ、この魔女!」
「やめろ、ヨークは魔女ではない。聖女だ」
「聖女? ふざけないで!」

 またヨークを狙ってきたので、僕は『金貨増殖バグ』を利用して、偽物・・の金貨を性悪シスターの脳天へ雨のように降らせた。


「ほれっ」
「――があっ!?」


 重さに耐えきれず地面に埋もれるシスター。周囲の信者が何事かと振り向き、金貨の山に気づく。


「おいおい、金貨だぞ!!」「なんだこの数!!」「すげえええええ」「あの聖女様が起こした奇跡だって!?」「おおおおおおおお」「金持ちだあ!!」「拾え拾え!!」


 わぁぁと金貨の山に殺到する信者たち。偽物・・なんですけどね。

 おかげで性悪シスターは、信者に踏まれまくっていた。


「いたっ、いたい、やめ、やめて!! 私を踏まないで!! あっ、ああ、ああああああああああああああああああ~~~~~~!!!」


 誰もシスターに気づかず、ぐしゃぐしゃ踏まれていた。自業自得だな。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

二人分働いてたのに、「聖女はもう時代遅れ。これからはヒーラーの時代」と言われてクビにされました。でも、ヒーラーは防御魔法を使えませんよ?

小平ニコ
ファンタジー
「ディーナ。お前には今日で、俺たちのパーティーを抜けてもらう。異論は受け付けない」  勇者ラジアスはそう言い、私をパーティーから追放した。……異論がないわけではなかったが、もうずっと前に僧侶と戦士がパーティーを離脱し、必死になって彼らの抜けた穴を埋めていた私としては、自分から頭を下げてまでパーティーに残りたいとは思わなかった。  ほとんど喧嘩別れのような形で勇者パーティーを脱退した私は、故郷には帰らず、戦闘もこなせる武闘派聖女としての力を活かし、賞金首狩りをして生活費を稼いでいた。  そんなある日のこと。  何気なく見た新聞の一面に、驚くべき記事が載っていた。 『勇者パーティー、またも敗走! 魔王軍四天王の前に、なすすべなし!』  どうやら、私がいなくなった後の勇者パーティーは、うまく機能していないらしい。最新の回復職である『ヒーラー』を仲間に加えるって言ってたから、心配ないと思ってたのに。  ……あれ、もしかして『ヒーラー』って、完全に回復に特化した職業で、聖女みたいに、防御の結界を張ることはできないのかしら?  私がその可能性に思い至った頃。  勇者ラジアスもまた、自分の判断が間違っていたことに気がついた。  そして勇者ラジアスは、再び私の前に姿を現したのだった……

クラスメイトのなかで僕だけ異世界転移に耐えられずアンデッドになってしまったようです。

大前野 誠也
ファンタジー
ー  子供頃から体の弱かった主人公は、ある日突然クラスメイトたちと異世界に召喚されてしまう。  しかし主人公はその召喚の衝撃に耐えきれず絶命してしまった。  異世界人は世界を渡る時にスキルという力を授かるのだが、主人公のクラスメイトである灰田亜紀のスキルは死者をアンデッドに変えてしまうスキルだった。  そのスキルの力で主人公はアンデッドとして蘇ったのだが、灰田亜紀ともども追放されてしまう。  追放された森で2人がであったのは――

「お前のような役立たずは不要だ」と追放された三男の前世は世界最強の賢者でした~今世ではダラダラ生きたいのでスローライフを送ります~

平山和人
ファンタジー
主人公のアベルは転生者だ。一度目の人生は剣聖、二度目は賢者として活躍していた。 三度目の人生はのんびり過ごしたいため、アベルは今までの人生で得たスキルを封印し、貴族として生きることにした。 そして、15歳の誕生日でスキル鑑定によって何のスキルも持ってないためアベルは追放されることになった。 アベルは追放された土地でスローライフを楽しもうとするが、そこは凶悪な魔物が跋扈する魔境であった。 襲い掛かってくる魔物を討伐したことでアベルの実力が明らかになると、領民たちはアベルを救世主と崇め、貴族たちはアベルを取り戻そうと追いかけてくる。 果たしてアベルは夢であるスローライフを送ることが出来るのだろうか。

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」 「何てことなの……」 「全く期待はずれだ」 私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。 だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。 そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。 そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど? 私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。 私は最高の仲間と最強を目指すから。

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

無職が最強の万能職でした!?〜俺のスローライフはどこ行った!?〜

あーもんど
ファンタジー
不幸体質持ちの若林音羽はある日の帰り道、自他共に認める陽キャのクラスメイト 朝日翔陽の異世界召喚に巻き込まれた。目を開ければ、そこは歩道ではなく建物の中。それもかなり豪華な内装をした空間だ。音羽がこの場で真っ先に抱いた感想は『テンプレだな』と言う、この一言だけ。異世界ファンタジーものの小説を読み漁っていた音羽にとって、異世界召喚先が煌びやかな王宮内────もっと言うと謁見の間であることはテンプレの一つだった。 その後、王様の命令ですぐにステータスを確認した音羽と朝日。勇者はもちろん朝日だ。何故なら、あの魔法陣は朝日を呼ぶために作られたものだから。言うならば音羽はおまけだ。音羽は朝日が勇者であることに大して驚きもせず、自分のステータスを確認する。『もしかしたら、想像を絶するようなステータスが現れるかもしれない』と淡い期待を胸に抱きながら····。そんな音羽の淡い期待を打ち砕くのにそう時間は掛からなかった。表示されたステータスに示された職業はまさかの“無職”。これでは勇者のサポーター要員にもなれない。装備品やら王家の家紋が入ったブローチやらを渡されて見事王城から厄介払いされた音羽は絶望に打ちひしがれていた。だって、無職ではチートスキルでもない限り異世界生活を謳歌することは出来ないのだから····。無職は『何も出来ない』『何にもなれない』雑魚職業だと決めつけていた音羽だったが、あることをきっかけに無職が最強の万能職だと判明して!? チートスキルと最強の万能職を用いて、音羽は今日も今日とて異世界無双! ※カクヨム、小説家になろう様でも掲載中

兎人ちゃんと異世界スローライフを送りたいだけなんだが

アイリスラーメン
ファンタジー
黒髪黒瞳の青年は人間不信が原因で仕事を退職。ヒキニート生活が半年以上続いたある日のこと、自宅で寝ていたはずの青年が目を覚ますと、異世界の森に転移していた。 右も左もわからない青年を助けたのは、垂れたウサ耳が愛くるしい白銀色の髪をした兎人族の美少女。 青年と兎人族の美少女は、すぐに意気投合し共同生活を始めることとなる。その後、青年の突飛な発想から無人販売所を経営することに。 そんな二人に夢ができる。それは『三食昼寝付きのスローライフ』を送ることだ。 青年と兎人ちゃんたちは苦難を乗り越えて、夢の『三食昼寝付きのスローライフ』を実現するために日々奮闘するのである。 三百六十五日目に大戦争が待ち受けていることも知らずに。 【登場人物紹介】 マサキ:本作の主人公。人間不信な性格。 ネージュ:白銀の髪と垂れたウサ耳が特徴的な兎人族の美少女。恥ずかしがり屋。 クレール:薄桃色の髪と左右非対称なウサ耳が特徴的な兎人族の美少女。人見知り。 ダール:オレンジ色の髪と短いウサ耳が特徴的な兎人族の美少女。お腹が空くと動けない。 デール:双子の兎人族の幼女。ダールの妹。しっかり者。 ドール:双子の兎人族の幼女。ダールの妹。しっかり者。 ルナ:イングリッシュロップイヤー。大きなウサ耳で空を飛ぶ。実は幻獣と呼ばれる存在。 ビエルネス:子ウサギサイズの妖精族の美少女。マサキのことが大好きな変態妖精。 ブランシュ:外伝主人公。白髪が特徴的な兎人族の女性。世界を守るために戦う。 【お知らせ】 ◆2021/12/09:第10回ネット小説大賞の読者ピックアップに掲載。 ◆2022/05/12:第10回ネット小説大賞の一次選考通過。 ◆2022/08/02:ガトラジで作品が紹介されました。 ◆2022/08/10:第2回一二三書房WEB小説大賞の一次選考通過。 ◆2023/04/15:ノベルアッププラス総合ランキング年間1位獲得。 ◆2023/11/23:アルファポリスHOTランキング5位獲得。 ◆自費出版しました。メルカリとヤフオクで販売してます。 ※アイリスラーメンの作品です。小説の内容、テキスト、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

処理中です...