上 下
98 / 101
新章

第98話 自白スキル・コンフェション

しおりを挟む
「おい、ゴブリン……おめーは俺を怒らせた!!」
「いいのか勇者。俺を倒せば女たちの居場所が分からなくなるぞ!」

 くっ、そうだった。
 住民の安全が最優先だ。
 けど、このままでは……なんてな、俺には優秀な仲間がいるんだぞ。

「カルニ! お前確か、相手を自白させるスキル持ってたろ。裏切者に使う用に!」
「ええ、ありますとも! ただし、相手が弱っていないと!」

「なら楽勝だ!! カルニ、俺があのブタゴブリンの動きを鈍らせる。その瞬間を狙って自白させてくれ」
「了解です!」


 ――と、なれば俺はレッドキングゴブリンを倒すのではなく、弱体化させる。それしか方法がない。いくぞ。


「くらいやがれ、【レベル投げ:レベルダウン】!!」
「……な、なんだと! レベルダウンだと! うああああああああああああ……」


 レッドキングゴブリンのレベルが『6200』→『1』となった。


「これで雑魚になったな!」
「馬鹿な、レベルを下げられるスキルが存在するのか!!」
「ああ、俺しか持っていない特殊スキルだけどな」

「ちくしょおおおおおおおおお!!」


 悔しがるゴブリンは、飛び跳ね襲い掛かってくる。しかし、動きが鈍い。ステータスが大幅にダウンしているからだ。スライム相当じゃねーか。


「その程度なら【レベル投げ】で十分だ、ほいよっと」


 レベルをブン投げ、爆発を起こした。
 ゴブリンはバコーンと跳ね飛び、木々に激突。ボールのように転がっていった。ざまぁねぇな!


「ぐ、ぐぉぉぉ……腕の骨が折れた……。ついでに恥骨も……」


 最後の情報はいらねぇんだよ!!
 さて、ボコボコにしてやったし、あとはカルニの出番だ。


「頼む、カルニ!」
「はいっ、お任せください。自白スキル【コンフェション】!!」


 ぶわぁっと黄色い魔法陣が広がり、ゴブリンに取り巻く。すげぇ光だ。ぷわぷわと変な音を立て命中。

 上手くいったな。


「さあ、女性達の居場所を話して貰おうか!!」
「……パルウァエにある“闇ギルド(仮)”の本拠地に監禁中だ……」

 ゴブリンは、馬鹿正直に話した。
 すげえ! カルニすげえ!!

 さすが元魔王の秘書。えげつないスキルをお持ちだ。おかげで相手の情報を引き出せたし、これでもうゴブリンに用はない。


「もう消えろ、魔物。お前は楽に殺してやる」
「――ハッ。俺は何を……しまった、自白を……! す、すまねぇ、今までの事は謝る。女は手を出してないし、ちゃんと返す! 命だけは!!」

 情けなく土下座して許しを請うゴブリン。もう遅い。絶対に許さん。勇者としても、魔物は見過ごせないし、そもそも国家転覆さえ謀ろうとした“闇ギルド”のひとり。


「そんなに命が惜しいか」
「あ、ああ……もうこの国には関わらない!」
「分かったよ、ゴブリン」

「ほ、本当か! じゃ、じゃあ……俺は逃げても……」


「逃がすか、ボケエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!」
「なッ!?」


 全力投球の構えで、俺は『レベル』を握った。これが俺の必殺のひとつ。全身全霊の大技にして奥義。



「レベル投げ:クリティカル!!!」



 [レベル投げ:クリティカル]
 [効果]
  クリティカル率100%。
  ダメージを二倍にする。
  この攻撃は“必中”である。
  属性も乗る。
  幸運値が高いほどダメージがアップする。


「――な、ばかなあああああああああ、うあああああああああああああああああああああああ、ぎゃあああああああああああああああああああ…………!!!!!」



 レベル投げが完全命中。
 レッドキングゴブリンが大爆発。ドロップアイテム共々塵も残らず消滅した。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》 楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。 理由は『最近流行ってるから』 数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。 優しくて単純な少女の異世界冒険譚。 第2部 《精霊の紋章》 ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。 それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。 第3部 《交錯する戦場》 各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。 人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。 第4部 《新たなる神話》 戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。 連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。 それは、この世界で最も新しい神話。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

金貨増殖バグが止まらないので、そのまま快適なスローライフを送ります

桜井正宗
ファンタジー
 無能の落ちこぼれと認定された『ギルド職員』兼『ぷちドラゴン』使いの『ぷちテイマー』のヘンリーは、職員をクビとなり、国さえも追放されてしまう。  突然、空から女の子が降ってくると、キャッチしきれず女の子を地面へ激突させてしまう。それが聖女との出会いだった。  銀髪の自称聖女から『ギフト』を貰い、ヘンリーは、両手に持てない程の金貨を大量に手に入れた。これで一生遊んで暮らせると思いきや、金貨はどんどん増えていく。増殖が止まらない金貨。どんどん増えていってしまった。  聖女によれば“金貨増殖バグ”だという。幸い、元ギルド職員の権限でアイテムボックス量は無駄に多く持っていたので、そこへ保管しまくった。  大金持ちになったヘンリーは、とりあえず念願だった屋敷を買い……スローライフを始めていく!?

【完】転職ばかりしていたらパーティーを追放された私〜実は88種の職業の全スキル極めて勇者以上にチートな存在になっていたけど、もうどうでもいい

冬月光輝
ファンタジー
【勇者】のパーティーの一員であったルシアは職業を極めては転職を繰り返していたが、ある日、勇者から追放(クビ)を宣告される。 何もかもに疲れたルシアは適当に隠居先でも見つけようと旅に出たが、【天界】から追放された元(もと)【守護天使】の【堕天使】ラミアを【悪魔】の手から救ったことで新たな物語が始まる。 「わたくし達、追放仲間ですね」、「一生お慕いします」とラミアからの熱烈なアプローチに折れて仕方なくルシアは共に旅をすることにした。 その後、隣国の王女エリスに力を認められ、仕えるようになり、2人は数奇な運命に巻き込まれることに……。 追放コンビは不運な運命を逆転できるのか? (完結記念に澄石アラン様からラミアのイラストを頂きましたので、表紙に使用させてもらいました)

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

異世界の片隅で引き篭りたい少女。

月芝
ファンタジー
玄関開けたら一分で異世界!  見知らぬオッサンに雑に扱われただけでも腹立たしいのに 初っ端から詰んでいる状況下に放り出されて、 さすがにこれは無理じゃないかな? という出オチ感漂う能力で過ごす新生活。 生態系の最下層から成り上がらずに、こっそりと世界の片隅で心穏やかに過ごしたい。 世界が私を見捨てるのならば、私も世界を見捨ててやろうと森の奥に引き篭った少女。 なのに世界が私を放っておいてくれない。 自分にかまうな、近寄るな、勝手に幻想を押しつけるな。 それから私を聖女と呼ぶんじゃねぇ! 己の平穏のために、ふざけた能力でわりと真面目に頑張る少女の物語。 ※本作主人公は極端に他者との関わりを避けます。あとトキメキLOVEもハーレムもありません。 ですので濃厚なヒューマンドラマとか、心の葛藤とか、胸の成長なんかは期待しないで下さい。  

処理中です...