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新章

第78話 新しい服

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 場所を移動し、屋敷のリビングでマルガとマッタリしていれば、なんと数時間が経過していた。誰にも見つからなかったのが奇跡だな。

 幸い、マルガ以外は出掛けていたようだ。……ほっ、見つからなくて本当に良かったぜ。


「ただいまです~」


 フルクとカルニが満足気に帰ってきた。
 二人して出掛けていたらしい。
 手には何かを持っていた。


「おかえり。フルク、カルニ」


 フルクトゥアト、この国の名にもなっている聖女。今日も銀髪がウットリしてしまうほどに綺麗だ。

 一方の魔族――いや、正確にはハーフか。元魔王の秘書・カルニフェクスはゴスロリというのか、なんだかそんな新コスチュームに身を包んでいた。いつの間に。


「ただいまです、アウルム様。如何いかがでしょうか、この洋服」


 ズンと目の前に現れるカルニさん。
 ボヨヨンと二つの山が揺れる。


如何いかがもなにも可愛いよ。文句のつけようがない程にな! 合格だ、ああ……百点満点だよ、カルニ」

「ありがとうざいます。ちなみに、フルクさんの新しい服も買ってきました。いつもあの礼服ですから、たまにはオシャレをして戴かねばと」


 よく分かっていらっしゃる。フルクはいつも聖女の礼服ばかり。似合わないとは言わないけど、あればかりなのもなぁ。せっかく可愛いんだから、もっと可愛い服も着て欲しいのだ。


「……ア、アウルムさん。その、着なきゃダメです?」
「ああ、着なきゃダメ。フルクもたまにはオシャレしてさ、俺に可愛いところ見せてよ」

「わ、分かりました。そう、おっしゃるのでしたら着替えますね……」


 フルクのヤツ、あんなアセアセと顔を赤くして可愛いな。新しい服を抱えながら自室へ向かったようだ。しばらく待つとしますか。

 楽しみだなぁ。


 ◆


 ――数分後――


 変わらずリビングで待っていると、赤面したフルクが現れた。おぉ……スゲェ新鮮だ。なんて可愛らしいゴスロリ・・・・……って、おぉい!?


「こ、これって、カルニの趣味じゃないか!?」
「あはは、バレましたぁ?」


「笑って誤魔化すな。ま、まあ……悪くはないんだが、フルク、とても似合っているよ。むしろ、そっちが正装なんじゃないかって思えるくらいに」


 めるとフルクは顔を更に真っ赤にしてうつむいてしまった。そんな照れるとは、普段から着慣れていないだろうし、ああもなるか。


「は、恥ずかしいです……」


 少し遠くから見守っていたマルガも「なんと可愛らしい」と何度もうなずいていた。ほう、あのマルガが認める程か。いやぁ、でもこれは名画に匹敵する。絵にしたら映えるだろうなあ。


「よし、俺も買ってきてもらったブランド物の紳士服でいく」


 さっき隙を見てささっと着替えた。
 やっと久しぶりに服装チェンジしたなな。今まで村人っぽい格好だったし、地味だった。だけど資金にも余裕が出来たし、俺も服装を新調したのだ。


「アウルムさん、なんだか雰囲気も変わってカッコいいです! それ良いですね、素敵です!」

「主様の紳士服……ええ、お似合いです。まるで貴族のようですよ。いえ、もう皇帝陛下なのですよね」

「見違えるようですよ、アウルム様。それなら、どこへ出しても恥ずかしくありませんし、堂々として宜しいでしょう」


 フルク、マルガ、カルニの順にめられた。そうめられると照れるっていうか、服をチェンジした意味もあったな。


「……さ、さて、せかっくの時間だ。第四エリアでも見に行くか! 稼ごうぜ」


「「「はぁーい」」」


 みんな素直に答える。

 そうと決まれば『EXダンジョン』へ突撃する――!!

 俺の【レベル投げ】が火を吹くぜ。
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