上 下
402 / 443

街の被害甚大!! カオスコボルトを止めろ

しおりを挟む
 街中にあふれかえったモンスターの群団は、大暴れ。武器で物理攻撃あるいは魔法スキルを発動してメチャクチャにしていた。

 なんてことを!

 怒りが爆発した俺は、複数のサンダーボルトを一斉に放ちモンスターの頭上に落とした。

 凄まじい轟雷ごうらいが嵐のように吹き荒れる。確かな手応えを感じた。


「今日も一段と激しいですね、ラスティさん!」


 拍手をするスコル。そんなめられると照れるな。
 元々はハヴァマールから教わった風属性スキル。あれから更にみがきも掛かり、スキル練度れんどもかなり上昇。火力はマックスに近い状態となった。

 一般モンスターなら、まず一撃だ。

 なので雑魚ざこ蹴散けちららすことができた。


「よし、半分は消し飛ばした。あとは強いモンスターが残っているな」
「わたしも戦います」

 と、スコルは聖属性魔法スキル『ホーリークロス』を放ち、十字の光をモンスターに浴びせた。高火力のダメージを与え、一瞬で浄化じょうかする。さすが聖女の力。
 逃げ惑う人々や、転んでモンスターに襲われそうになった子供も救出。


「では、自分も」


 エドゥが動き出す。大賢者の力を久しぶりに見られるな。


「頼む」


 微笑むエドゥは右腕を伸ばして「ソウルテレキネシス!」と叫ぶ。深緑グリーンのオーラが広がると、高レベルのモンスターを一撃で粉砕ふんさいした。

 つ、強ぇ……! さすが大賢者様だぜ。

 おかげでかなりモンスターを減らせた。残るは一体。ボスモンスターだ。


「あの禍々まがまがしいコボルトはなんだ……!?」


 闇のオーラをまとう巨大なコボルト。目つきが悪魔のように赤く、不気味だ。しかも、手に持つ『鈍器』で一軒家いっけんやぎ払っていた。
 な、なんだあの武器。すげぇトゲトゲだ。

 モンスターの詳細が飛んできた。


[カオスコボルト]
[詳細]
 取り巻きを持たない単独ボス。
 巨大で危険なコボルト。鈍器は『パルチザンメイス』。この攻撃力は凄まじく、受けると大量出血する場合があり非常に危険。
 体力が危険域に達した場合、バーサーク状態となり狂暴性を底上げする。


「ハヴァマールさんからモンスター解析スキルを教わりました」


 淡々たんたん経緯いきさつを教えてくれるエドゥ。なるほどね、いつの間にか伝授でんじゅを受けていたのだな。


 しかし、カオスコボルトとはな。かなり凶悪そうな見た目をしているが、その通りだったか。今も尚、建物を破壊しまくっているし。止めないと被害が拡大するばかりだ。……クソ。

 +10覚醒ヴェラチュールに変え、俺は武器の形態と攻撃力を高めた。これでいくしかない。

 スコルの支援スキルを受けながらも、俺は更に火力を上げた。


『…………ッッ!』


 カオスコボルトは膨大ぼうだいな魔力に反応し、俺の方を振り向く。ぐ、ぐぅ……なんて殺気だ。あんなのが『呪符』から召喚されるとはな。

 ズシンズシンと重苦しい足音を響かせながら、こちらに向かってくる。

 俺は+10覚醒ヴェラチュールを投げつけた。


「いっけえええええッ! ヴェラチュール!」


 光と闇を包む槍は、カオスコボルトの腹部目掛けて飛んでいく。しかし、ヤツはパルチザンメイスで防御ガードした。

 お、おい……マジかよ!


「ラスティさんのあの武器を受け止めるだなんて……」


 ありえない光景にスコルがそう声をらす。俺もビックリした。まさか+10覚醒ヴェラチュールを受け止めるモンスターがいるとは。
 ボスモンスターとはいえ、これは驚きだ。

 しかし、俺はまだ本命のスキルを発動していない。


「大丈夫だ、スコル。この槍の真価はこれにある……! ダークエネルギー発動!」


 これで更なる火力アップ。ほとんど全てのステータスも大幅に上昇。火力だけではない、速度やクリティカルなどなど様々な補正が急上昇した。

 もはや神の雷となった+10覚醒ヴェラチュールは、カオスコボルトの鈍器を破壊。そのまま腹を貫いた。


『グアァァァァァ…………!』


 雄叫おたけびを上げ、カオスコボルトはついに撃沈。撃破した。

 これで全部倒したぞ!
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

無限初回ログインボーナスを貰い続けて三年 ~辺境伯となり辺境領地生活~

桜井正宗
ファンタジー
 元恋人に騙され、捨てられたケイオス帝国出身の少年・アビスは絶望していた。資産を奪われ、何もかも失ったからだ。  仕方なく、冒険者を志すが道半ばで死にかける。そこで大聖女のローザと出会う。幼少の頃、彼女から『無限初回ログインボーナス』を授かっていた事実が発覚。アビスは、三年間もの間に多くのログインボーナスを受け取っていた。今まで気づかず生活を送っていたのだ。  気づけばSSS級の武具アイテムであふれかえっていた。最強となったアビスは、アイテムの受け取りを拒絶――!?

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

金貨増殖バグが止まらないので、そのまま快適なスローライフを送ります

桜井正宗
ファンタジー
 無能の落ちこぼれと認定された『ギルド職員』兼『ぷちドラゴン』使いの『ぷちテイマー』のヘンリーは、職員をクビとなり、国さえも追放されてしまう。  突然、空から女の子が降ってくると、キャッチしきれず女の子を地面へ激突させてしまう。それが聖女との出会いだった。  銀髪の自称聖女から『ギフト』を貰い、ヘンリーは、両手に持てない程の金貨を大量に手に入れた。これで一生遊んで暮らせると思いきや、金貨はどんどん増えていく。増殖が止まらない金貨。どんどん増えていってしまった。  聖女によれば“金貨増殖バグ”だという。幸い、元ギルド職員の権限でアイテムボックス量は無駄に多く持っていたので、そこへ保管しまくった。  大金持ちになったヘンリーは、とりあえず念願だった屋敷を買い……スローライフを始めていく!?

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います

登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」 「え? いいんですか?」  聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。  聖女となった者が皇太子の妻となる。  そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。  皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。  私の一番嫌いなタイプだった。  ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。  そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。  やった!   これで最悪な責務から解放された!  隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。  そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

投獄された聖女は祈るのをやめ、自由を満喫している。

七辻ゆゆ
ファンタジー
「偽聖女リーリエ、おまえとの婚約を破棄する。衛兵、偽聖女を地下牢に入れよ!」  リーリエは喜んだ。 「じゆ……、じゆう……自由だわ……!」  もう教会で一日中祈り続けなくてもいいのだ。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う

たくみ
ファンタジー
 圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。  アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。  ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?                        それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。  自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。  このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。  それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。 ※小説家になろうさんで投稿始めました

宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです

ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」 宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。 聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。 しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。 冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。

処理中です...