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モンスター召喚と奇襲

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 民が複数人倒れている。一人や二人ではない――十人以上が犠牲ぎせいになっていた。
 これは襲われた……?


「こ、こんなことって……。亡くなっている方がほとんどです」


 スコルがその状況を見て青ざめる。
 ハヴァマールとストレルカも信じられないと立ち尽くす。
 いったい、どうしてこんなことに。

「ラスティ様、モンスターの気配を感じます」

 何かを感じ取ったのかストレルカが周囲を見渡していた。確かに、この妙な感じはモンスターかもしれない。
 しかも一体や二体ではなさそうだぞ。

「……三十はいるかと」
「!?」

 俺の背中でぐったりしているエドゥがそうつぶやいた。


「なんだって!?」
「恐らく、なにかしらのモンスター召喚アイテムを使い、港を襲わせたのかと」
「マジか、エドゥ」
「それらしいアイテムが散乱していますからね」

 地面に視線を落とすと、そこには『お札』が落ちていた。なんだこれ。

「このアイテムは?」
「それは『召喚しょうかん呪符じゅふ』ですね」

「召喚呪符?」

「そのお札を使うとモンスターを一体だけ召喚できるんです」


 アイテムの詳細が飛んできた。


[召喚呪符]
[効果]
 これを使用するとモンスターを一体召喚する。稀にボスモンスターが召喚される場合がある。


「これを使ったというのか。危険すぎるじゃないか!」

 俺がそう憤慨ふんがいすると、ハヴァマールが尻尾しっぽをピンと張らせていた。なにか感じ取ったのか。

「兄上、これはもしやクラウスとかいうヤツの仕業しわざでは?」
「まさか……!」
「その男の目的が支配なら、やりかねんのだ」

 ……ハヴァマールの言う通りだ。クラウスならやりかねん。ディミトリーと共謀きょうぼうして、この島国ラルゴをめちゃくちゃにしようとしているんだ。
 その第一弾がこれってわけか。


「た、大変です!」


 突然叫ぶスコルはあせっていた。街の方を指さしていた。俺はそちらに視線を向けた。煙が立ち込め、只ならぬ雰囲気となっていた。

 お、おい……まさか。


「街が襲われている!?」
「ラスティさん、もしかしてモンスターが!」

「あ、ああ……まずいな。ストレルカとハヴァマールは港を頼む! 人を呼んできてくれ」

 俺はそう指示を出した。二人とも素直にうなずいてしたがってくれた。
 ストレルカは一応、治癒スキルが使えるので重傷者を優先に治療してもらうことに。ハヴァマールも軽症者を回復ポーションで対応すると向かっていく。

 エドゥを背負ったまま、スコルと共に街へ!


 ◆


 街中に入った途端、二十~三十体のモンスターの群れが建物や人々を襲っていた。……な、なんてこと!

 エドゥをおろし、俺は直ぐにゲイルチュールを召喚した。


「スコル、エドゥ、一緒に討伐を頼む!」


 二人に要請をするとスコルは「分かりました!」と少し声を震わせ、エドゥは冷静に「……了解」と答えた。


 このままでは島国ラルゴが大変なことになってしまう!
 ていうか、すでに被害が出ている。

 オークやゴブリン、コボルトやゴーレム……ドラゴンまでいやがる。様々なモンスターが暴れ放題だ。無茶苦茶むちゃくちゃだ。

 建物はまだ直せばいい。
 けど、人はそうはいかない。俺の大切な民をこれ以上傷つけさせはしない。

 クラウスとディミトリーの暴力にはくっしないぞ……!

 魔力を込め、俺はモンスターの群れに突撃していく。全部ぶっ倒す!
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