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トラップ生成『改良型トラバサミ』

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 息吹ブレスか――。

 瞬間移動とドラゴンブレスのほぼ無詠唱を実現するスキル。なかなかに厄介だ。

 だが、足止めする方法はあるはずだ。
 幸いにもあのドラゴンの『息吹ブレス』は“飛翔”ではなく、歩行による移動のようだ。

 そう、あのドラゴンは飛んでい・・・・ないのだ・・・・

「よし、俺がトラップを仕掛ける。移動できないよう捕獲するぜ」
「なるほど、頭良いのだ、兄上!」

 ハヴァマールが褒めて、俺の頭を撫でてきた。
 まあ、それしかないと思う。

 今はやれることを全力でやるだけだ。

 無人島開発スキルで『鉄』の材料を使い狩猟トラップ『改良型トラバサミ』を生成。

 本来はイノシシ系モンスターやシカ系モンスター用なのだが、今回のトラップは“改良型”なのでドラゴンもいける。


[改良型トラバサミ]
[詳細]
 小型・中型動物系モンスターを捕まえるトラップを改良したもの。ドラゴンなど大型モンスターにも対応できる。
 ボスモンスターや特殊モンスターには通用しない。


 これをバラまくしかない!!


「みんな、今からトラバサミを地面に撒く! その場から動かないでくれ!」


 みんな「了解」とうなずく。
 よし、このタイミングで俺は改良型トラバサミを100個ほど地面へバラ撒いた。
 もちろん、メテオドラゴン討伐後に全て回収する。

 直後、メテオドラゴンが俺の背後に移動してきやがった。


 ――だが!


『ギャアアァァアァ……!』


 俺の背後には、数十個のトラバサミが散布されていた。
 メテオドラゴンはトラップを踏んで足を取られた。これでもう瞬間移動はできない。

 攻撃をするなら今だ。


「サンダーボルト!!」


 +10覚醒ヴェラチュールによる大魔法攻撃。
 風属性の轟雷がメテオドラゴンの体を引き裂く。よし、ダメージは入っている……!

 ここから剣である『シグチュール』に変更。

 聖属性攻撃の『シュネーヴァイス』を放ち、一刀両断にした。


『――ギャアアアアアアアアアアアアアアア!!!』


 メテオドラゴンは真っ二つになり、灰燼となって消え去った。


「おぉ! ラスティさん! やりましたね!」


 スコルが喜んで飛びついてくる。
 更にハヴァマールも泣きながら抱きついてきた。


「兄上、兄上! やったのだな!!」
「お、おう。ハヴァマール、鼻水が!」
「だって心配したのだあああ……!」


 こんな泣く姿は初めて見たぞ。
 そして、ストレルカも安心したのか歩み寄ってくるなり、俺の手を握った。


「よかったです、ラスティ様」
「君のおかげだよ、ストレルカ」
「いえ、わたくしは何も」
「そんなことはない。アクアナイトの力がなければ無理だった」
「そう言っていただけて嬉しいです。……うぅ。もう、我慢できません。ラスティ様……好きですっ!!」

 結局、ストレルカも抱きついてきた。

 こ、これは参ったなぁ……。嬉しすぎて困った。


 これでドラゴン討伐は終わった。
 ほどなくて他の冒険者が続々と駆け付けてきた。
 おっと、もう数百人とやってきた。

 この荒野は、文字通り荒れる。

 俺たちは早々に退散しないと、巻き込まれる。

 シャイネンドラゴンに乗り、帰宅だ。
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