305 / 434
S級クラスの妖刀
しおりを挟む
浜辺に倒れているグランツは直ぐに立ち上がり、バスタードソードを構えた。回復が早いな。
「ドヴォルザーク帝国に帰れ!」
「断る。それに決めた。この島国ラルゴを更地にしてやるとな!」
コイツ、今度は魔王みたいなことを言いやがった。
もう完全に聖戦とは関係がない。
これはただの侵略でしかない。
「そうか、よく分かった。グランツ、お前はこの島国ラルゴから追放する」
「おっと、そうはいかねえ!」
グランツは気づいたのか、海の方へジャンプして宙に浮いていた。
俺は今、島国ラルゴの主としての権限を使った。
だが、グランツが『追放』されることはなかった。
通常、追放を宣言すると対象はどこかへ強制転移される。しかし、グランツは咄嗟の判断で海の方角へ飛び“重力”使って浮遊していた。
あれの意味するところは俺も察していた。
「お前……」
「そう、私は今、島国ラルゴの外にいる。どうやら、領空にはなっていなかったようだな」
……しまった。
領土と領海までは『無人島開発スキル』で設定されている。だが、領空までは手が回っていなかった。
そもそも、領空侵犯なんて滅多に起こるものでもなかった。
だから、領空に関しては手つかずのままだったのだ。
「なら、お前を叩きとし、気絶させて送り返してやる」
「この重力使いの私を叩き落とす? 不可能だ」
浮きながらも、グランツはバスタードソードでグラビティを放つ。あんな芸当も可能なのか。
確かに、重力は見えなくて厄介なスキルだ。だが、微量の魔力を感じる。俺はその僅かな歪みを頼りに回避しつつも、反撃。ヴェラチュールをブン投げた。
「おりゃっ!」
「くッ……!」
俺の反撃に焦るグランツ。
しかし、辛うじて重力スキルで俺のヴェラチュールを止めた。惜しい……!
「そう簡単には命中しないか」
「あ、当たり前だ……! だが、今のは少し焦った」
「じゃあ、もうお前に勝ち目はないな。出ていけ」
「そうはいかん。私の辞書に諦めるという言葉はないのだからな!」
そこまでしてラルゴを認めない気か。
追放しようにも浮かれていてはな……。
となると気絶させてでも追い出さないと。
ゲイルチュールを再召喚して、俺は再び構えた。グランツはバスタードソードをおさめて、今度は腰に帯刀している“刀”を抜いた。本気ってことか。
「この刀を使うことになろうとはな」
「それがどうした」
「これは我が家に代々伝わる神器にして宝刀。今まで使っていたバスタードソードとは比べ物にならない魔力を持つ」
「そうか。その前に叩き潰してやる」
「お前はなにも分かっていない、ラスティ」
「なに!?」
鞘から刀を抜くグランツ。
刃がギラギラと妖しい光を放ち、禍々しい魔力を帯び始めた。……ありゃ、妖刀かよ。
「かつての強いドヴォルザーク帝国を取り戻すために、私はお前を倒す」
「そりゃ、魔王が乗っ取っていた邪悪な帝国ってことだぞ」
「そんなことは百も承知。あの栄光こそ、現在に必要。このままでは帝国は衰退の一途を辿るだけ……ならば、聖戦でこの私が皇帝になるしかあるまい!」
「お前みたいな危険なヤツを皇帝にしてたまるか!」
止めねばならない。
ラルゴや帝国の為にも!
「もうこの私を止めることは不可能だ」
刀を構えるグランツは、魔力は爆発させた。……な、なんて力だ。
悪魔にも似た力を感じる。
いったい、何なんだアレは!
「ラスティ様、お気をつけて。あの刀は恐らく妖刀の中でもSクラスに相当する武器です」
エドゥが何かを読み取ったのか、そう教えてくれた。
Sクラスって、おいおい……そんなレアリティの武器なのかよ、アレは。
なぜそんなモノが元老院議長の息子に……。
「ドヴォルザーク帝国に帰れ!」
「断る。それに決めた。この島国ラルゴを更地にしてやるとな!」
コイツ、今度は魔王みたいなことを言いやがった。
もう完全に聖戦とは関係がない。
これはただの侵略でしかない。
「そうか、よく分かった。グランツ、お前はこの島国ラルゴから追放する」
「おっと、そうはいかねえ!」
グランツは気づいたのか、海の方へジャンプして宙に浮いていた。
俺は今、島国ラルゴの主としての権限を使った。
だが、グランツが『追放』されることはなかった。
通常、追放を宣言すると対象はどこかへ強制転移される。しかし、グランツは咄嗟の判断で海の方角へ飛び“重力”使って浮遊していた。
あれの意味するところは俺も察していた。
「お前……」
「そう、私は今、島国ラルゴの外にいる。どうやら、領空にはなっていなかったようだな」
……しまった。
領土と領海までは『無人島開発スキル』で設定されている。だが、領空までは手が回っていなかった。
そもそも、領空侵犯なんて滅多に起こるものでもなかった。
だから、領空に関しては手つかずのままだったのだ。
「なら、お前を叩きとし、気絶させて送り返してやる」
「この重力使いの私を叩き落とす? 不可能だ」
浮きながらも、グランツはバスタードソードでグラビティを放つ。あんな芸当も可能なのか。
確かに、重力は見えなくて厄介なスキルだ。だが、微量の魔力を感じる。俺はその僅かな歪みを頼りに回避しつつも、反撃。ヴェラチュールをブン投げた。
「おりゃっ!」
「くッ……!」
俺の反撃に焦るグランツ。
しかし、辛うじて重力スキルで俺のヴェラチュールを止めた。惜しい……!
「そう簡単には命中しないか」
「あ、当たり前だ……! だが、今のは少し焦った」
「じゃあ、もうお前に勝ち目はないな。出ていけ」
「そうはいかん。私の辞書に諦めるという言葉はないのだからな!」
そこまでしてラルゴを認めない気か。
追放しようにも浮かれていてはな……。
となると気絶させてでも追い出さないと。
ゲイルチュールを再召喚して、俺は再び構えた。グランツはバスタードソードをおさめて、今度は腰に帯刀している“刀”を抜いた。本気ってことか。
「この刀を使うことになろうとはな」
「それがどうした」
「これは我が家に代々伝わる神器にして宝刀。今まで使っていたバスタードソードとは比べ物にならない魔力を持つ」
「そうか。その前に叩き潰してやる」
「お前はなにも分かっていない、ラスティ」
「なに!?」
鞘から刀を抜くグランツ。
刃がギラギラと妖しい光を放ち、禍々しい魔力を帯び始めた。……ありゃ、妖刀かよ。
「かつての強いドヴォルザーク帝国を取り戻すために、私はお前を倒す」
「そりゃ、魔王が乗っ取っていた邪悪な帝国ってことだぞ」
「そんなことは百も承知。あの栄光こそ、現在に必要。このままでは帝国は衰退の一途を辿るだけ……ならば、聖戦でこの私が皇帝になるしかあるまい!」
「お前みたいな危険なヤツを皇帝にしてたまるか!」
止めねばならない。
ラルゴや帝国の為にも!
「もうこの私を止めることは不可能だ」
刀を構えるグランツは、魔力は爆発させた。……な、なんて力だ。
悪魔にも似た力を感じる。
いったい、何なんだアレは!
「ラスティ様、お気をつけて。あの刀は恐らく妖刀の中でもSクラスに相当する武器です」
エドゥが何かを読み取ったのか、そう教えてくれた。
Sクラスって、おいおい……そんなレアリティの武器なのかよ、アレは。
なぜそんなモノが元老院議長の息子に……。
0
お気に入りに追加
493
あなたにおすすめの小説
無限初回ログインボーナスを貰い続けて三年 ~辺境伯となり辺境領地生活~
桜井正宗
ファンタジー
元恋人に騙され、捨てられたケイオス帝国出身の少年・アビスは絶望していた。資産を奪われ、何もかも失ったからだ。
仕方なく、冒険者を志すが道半ばで死にかける。そこで大聖女のローザと出会う。幼少の頃、彼女から『無限初回ログインボーナス』を授かっていた事実が発覚。アビスは、三年間もの間に多くのログインボーナスを受け取っていた。今まで気づかず生活を送っていたのだ。
気づけばSSS級の武具アイテムであふれかえっていた。最強となったアビスは、アイテムの受け取りを拒絶――!?
金貨増殖バグが止まらないので、そのまま快適なスローライフを送ります
桜井正宗
ファンタジー
無能の落ちこぼれと認定された『ギルド職員』兼『ぷちドラゴン』使いの『ぷちテイマー』のヘンリーは、職員をクビとなり、国さえも追放されてしまう。
突然、空から女の子が降ってくると、キャッチしきれず女の子を地面へ激突させてしまう。それが聖女との出会いだった。
銀髪の自称聖女から『ギフト』を貰い、ヘンリーは、両手に持てない程の金貨を大量に手に入れた。これで一生遊んで暮らせると思いきや、金貨はどんどん増えていく。増殖が止まらない金貨。どんどん増えていってしまった。
聖女によれば“金貨増殖バグ”だという。幸い、元ギルド職員の権限でアイテムボックス量は無駄に多く持っていたので、そこへ保管しまくった。
大金持ちになったヘンリーは、とりあえず念願だった屋敷を買い……スローライフを始めていく!?
チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?
桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」
その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。
影響するステータスは『運』。
聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。
第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。
すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。
より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!
真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。
【簡単な流れ】
勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ
【原題】
『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』
S級パーティを追放された無能扱いの魔法戦士は気ままにギルド職員としてスローライフを送る
神谷ミコト
ファンタジー
【祝!4/6HOTランキング2位獲得】
元貴族の魔法剣士カイン=ポーンは、「誰よりも強くなる。」その決意から最上階と言われる100Fを目指していた。
ついにパーティ「イグニスの槍」は全人未達の90階に迫ろうとしていたが、
理不尽なパーティ追放を機に、思いがけずギルドの職員としての生活を送ることに。
今までのS級パーティとして牽引していた経験を活かし、ギルド業務。ダンジョン攻略。新人育成。そして、学園の臨時講師までそつなくこなす。
様々な経験を糧にカインはどう成長するのか。彼にとっての最強とはなんなのか。
カインが無自覚にモテながら冒険者ギルド職員としてスローライフを送るである。
ハーレム要素多め。
※隔日更新予定です。10話前後での完結予定で構成していましたが、多くの方に見られているため10話以降も製作中です。
よければ、良いね。評価、コメントお願いします。励みになりますorz
他メディアでも掲載中。他サイトにて開始一週間でジャンル別ランキング15位。HOTランキング4位達成。応援ありがとうございます。
たくさんの誤字脱字報告ありがとうございます。すべて適応させていただきます。
物語を楽しむ邪魔をしてしまい申し訳ないですorz
今後とも応援よろしくお願い致します。
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※毎週、月、水、金曜日更新
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
※追放要素、ざまあ要素は第二章からです。
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
サバイバル能力に全振りした男の半端仙人道
コアラ太
ファンタジー
年齢(3000歳)特技(逃げ足)趣味(採取)。半仙人やってます。
主人公は都会の生活に疲れて脱サラし、山暮らしを始めた。
こじんまりとした生活の中で、自然に触れていくと、瞑想にハマり始める。
そんなある日、森の中で見知らぬ老人から声をかけられたことがきっかけとなり、その老人に弟子入りすることになった。
修行する中で、仙人の道へ足を踏み入れるが、師匠から仙人にはなれないと言われてしまった。それでも良いやと気楽に修行を続け、正式な仙人にはなれずとも。足掛け程度は認められることになる。
それから何年も何年も何年も過ぎ、いつものように没頭していた瞑想を終えて目開けると、視界に映るのは密林。仕方なく周辺を探索していると、二足歩行の獣に捕まってしまう。言葉の通じないモフモフ達の言語から覚えなければ……。
不死になれなかった半端な仙人が起こす珍道中。
記憶力の無い男が、日記を探して旅をする。
メサメサメサ
メサ メサ
メサ メサ
メサ メサ
メサメサメサメサメサ
メ サ メ サ サ
メ サ メ サ サ サ
メ サ メ サ ササ
他サイトにも掲載しています。
外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~
そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」
「何てことなの……」
「全く期待はずれだ」
私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。
このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。
そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。
だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。
そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。
そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど?
私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。
私は最高の仲間と最強を目指すから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる