無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ

桜井正宗

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真の聖者

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 宮殿内の奥へ進む。
 中庭にはヤツの姿がなかった。
 ということは……この先か!

 更に進むと、王の間のような広い部屋があった。この中にトルクァートがいるはずだ。
 扉を開けると……そこには。

 玉座のような椅子に座るトルクァートと、その隣にウェディングドレスを着たスコルの姿があった。


「スコル……!!」


 名前を叫んでもスコルの反応がなかった。くそっ、なにかしらの魔法をかけられているようだ。


「おやおや、ラスティさんではありませんか。よく生きていましたね」
「トルクァート、てめぇ! スコルに何をしやがった!」
「ただの暗示ですよ。私と結婚するようにと」
「ふざけんな!!」
「ふざけてなどいない。聖者と聖女の結婚ですよ、なんとめでたいことか!」


 自身満々にトルクァートは手を広げて、そう声高らかに言った。なにが聖者だ……! 怒りに震えていると、仲間のエルフたちが反論してくれた。


「トルクァート!! お前は僕達を騙していたんだな!!」
「お前のせいでオークがやってきて街がメチャクチャだ!!」
「家族が殺された!! 絶対に許さん!」
「この詐欺野郎!! お前はダークエルフなんだろうが!!」
「ボロディンはお前の国ではない! 我々の国だ!」
「そうだ、そうだ!」
「今こそ取り返す時だ!」


 9人のエルフが突撃していくが、トルクァートが闇の力を使って吹き飛ばしていた。もう隠すつもりもないらしい。これでダークエルフであると確証を得た。


「みんな、大丈夫か!!」
「ラスティ様、我々は大丈夫です。どうか、スコル様を……」

 ウソだろ、あの一撃で全員が気絶してしまっていた。


「フフフ、所詮は雑魚エルフ。私の敵ではないのですよ」
「そうか、そりゃ良かったな」

 俺は一瞬でトルクァートの背後を取り、ヴェラチュールを振るう。


「……!」


 しかし、トルクァートはギリギリのところでスコルを盾にしやがった。俺は動きを止めるものの、野郎の魔法攻撃によって吹き飛ばされた。


「ぐああああああああ!!」
「油断したな、ラスティ。そう、お前の弱点は彼女です」


 だが、俺はなんとか姿勢を立て直すことに成功した。
 不意打ちではダメだ。
 スコルを盾にされる可能性もある。

 どうやって戦えばいい……!!


「トルクァート……!」
「土下座して私を認めれば許してやらんでもないのですが」
「寝言は寝てから言え」
「そうですか、残念ですよ。ラスティ、お前はここで死ぬがよい」

 闇属性魔法が飛んでくる。
 くっ、しまった。
 至近距離すぎる!!

 俺はまたどこかへ飛ばされるか、それとも大ダメージをこうむってしまうのか……。いや、だからといって諦めるつもりはない。

 そうだ、俺にはまだ切り札が――。

 魔力を全開にしようとしたが、なにかが接近してきてトルクァートの闇を押し返した。

 な、なんだこの光は!?


「……誰だ?」
「お待たせしました、ラスティ様。僕です!」
「セイン!? お前、どこにいたんだよ!?」
「すみません、ラスティ様が消えた後に、僕もあのトルクァートによってどこかへ転移させられていたのです」

「マジか!」

「そこである人と出会い、僕は力を覚醒させました」


 剣を掲げるセイン。
 それは黄金色に輝き、莫大な魔力をまとっていた。
 な、なんだこりゃ……!


「セイン、お前はいったい……」
「僕はどうやら“聖者”だったみたいです」

「へ……なんだって?」

「自部でも驚きましたよ。でも、本当の聖者は僕なんです!」


 なにぃぃぃぃぃ!?

 セインが聖者だってー!?
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