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状態異常を回復するネーブルポーション
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グルーミーは恐ろしいボスモンスターだ。だが、あまりに呆気なさすぎるとも感じた。もしかして、今俺たちが対峙しているアレはニセモノではないだろうか。
いや、それどころか……今この場所も。
「ルドミラ、俺たちは罠にハマっているかもしれない!」
「えっ、罠ですか!?」
「よく考えてみろ、ここは“幻影ダンジョン”だぞ」
「……そ、そんなまさか」
気づいたときには遅かった。
猛接近してくるグルーミーの姿が変わり始めていた。……ここで変身? いや、違う。これは『幻覚』だ。
俺たちは既に幻覚を受けていたんだ。
「あれは、グルーミーなんかじゃない! 別のモンスターだ」
「な、なんですって!?」
俺はヴェラチュールでグルーミーらしきモンスターの攻撃を受け流した。
そうか、この“重さ”も幻覚でそう思えていただけだ。
なんとか状態異常を回復しないと!
次なる攻撃に備えようとしたが、俺は頭がクラクラした。ルドミラやみんなも立ちくらみを覚えているようで、足が止まっていた。まずい、ここにきて強烈な幻覚作用が……!
「……ラスティさん、どこに? いえ、あなたは敵ですね……」
「スコル! 幻覚にやられたか」
まずい、俺たちは知らず知らずのうちに幻覚をまともに受けてしまっていたらしい。このままでは仲間同士で殺し合いなんてことも……それだけはさせない。
幻影ダンジョンへ向かう前、島国ラルゴでテオドールから受け取った『ネーブルポーション』を取り出した。これは状態異常を回復するアイテムだ。ここで役に立つとはな。
[ネーブルポーション]
[効果]
S級以上の錬金術師にしか製造できない。
微量の体力回復効果がある。
あらゆる状態異常を回復する。
(一部特殊な状態異常は除く)
これをまずは自分が飲んだ。
それから、みんなにも手渡し飲んで貰った。
「みんな、幻覚は回復したか?」
「……兄上、余たちは幻覚を見ていたのか……」
「そうだ。あのグルーミーってモンスターは存在しない! 幻だ!」
そう、あれは幻覚が見せていたもの。
実際は違う。
「あれ、なんか部屋がおかしくないですか!?」
足元がグラついて驚くスコル。
その通り、ここは部屋ではなかった。
俺たちは誰かの掌の上で踊らされていたんだよ。
注意深く周囲を見渡すと、深淵の中に『掌』があった。
「なッ! ラスティくん、この手はいったい……。私たちはなぜ、ここに」
「最初から俺たちはこの手の上にいたんだよ」
「そんな……馬鹿な」
俺だって信じられないさ。
でも、これが本当の場所だ。
ハヴァマールやストレルカも驚いていた。
「どうなっているのだ!?」
「うそ……あんな広い遺跡の部屋だったのに……信じられませんわ」
これが幻影ダンジョンの本当のトラップというわけか。
この場所を抜け出さないと!
早々に立ち去ろうとしたが、突然、声が響いた。
『幻覚に気づくとは少しはやるようだな』
「……だ、誰だ?」
『我が名は“イリュージョン”……かつて魔王の幹部であり、今はこのダンジョンの主。そういえば分かるかな、ルドミラ』
「……イリュージョン? そんなまさか!」
名前を聞いてルドミラは血相を変えた。どうやら、知っているようだな。ていうか、魔王の幹部……? あの親父の……ドヴォルザークのってことか。
『覚えているようだな。そうだ、百年以上前に私は、勇者だったお前に敗れた。だが、あの時の一瞬で幻影を使った。辛うじて生きていたんだよ』
「そうでしたか。では、ここへ私たちを誘きだしたのも……」
『そうさ。ルドミラ、お前に復讐する為だ』
イリュージョンとかいうヤツは、いきなり握りしめてきた。
「まずい、みんな飛び移れ!! スコルは抱える!」
俺は、握り潰される前に地面のある場所へ飛び移った。みんなもジャンプして飛んできた。……ふぅ、危なかった。危うくペシャンコになるところだったぞ。
そんな状況にルドミラが怒りを露わにしていた。
「イリュージョン、魔王はとっくに滅びた。今更、復讐だなんて愚かな真似は止めなさい!」
『そんなことは知っている。だが、魔王様を蘇らせる方法がある……!』
「なんですって!?」
『まさかルドミラ、お前を誘き出すだけだと思ったか? 違う、間違っているぞ。私の本当の目的は魔王様の復活だ。そこの女エルフが所持する『世界聖書』さえあれば可能なのだよ!!』
なるほど、ルドミラへの復讐はついで。本当の狙いはスコルと世界聖書ってわけか! となれば俺は全力でスコルを守る。
魔王なんて復活させてなるものか!!
いや、それどころか……今この場所も。
「ルドミラ、俺たちは罠にハマっているかもしれない!」
「えっ、罠ですか!?」
「よく考えてみろ、ここは“幻影ダンジョン”だぞ」
「……そ、そんなまさか」
気づいたときには遅かった。
猛接近してくるグルーミーの姿が変わり始めていた。……ここで変身? いや、違う。これは『幻覚』だ。
俺たちは既に幻覚を受けていたんだ。
「あれは、グルーミーなんかじゃない! 別のモンスターだ」
「な、なんですって!?」
俺はヴェラチュールでグルーミーらしきモンスターの攻撃を受け流した。
そうか、この“重さ”も幻覚でそう思えていただけだ。
なんとか状態異常を回復しないと!
次なる攻撃に備えようとしたが、俺は頭がクラクラした。ルドミラやみんなも立ちくらみを覚えているようで、足が止まっていた。まずい、ここにきて強烈な幻覚作用が……!
「……ラスティさん、どこに? いえ、あなたは敵ですね……」
「スコル! 幻覚にやられたか」
まずい、俺たちは知らず知らずのうちに幻覚をまともに受けてしまっていたらしい。このままでは仲間同士で殺し合いなんてことも……それだけはさせない。
幻影ダンジョンへ向かう前、島国ラルゴでテオドールから受け取った『ネーブルポーション』を取り出した。これは状態異常を回復するアイテムだ。ここで役に立つとはな。
[ネーブルポーション]
[効果]
S級以上の錬金術師にしか製造できない。
微量の体力回復効果がある。
あらゆる状態異常を回復する。
(一部特殊な状態異常は除く)
これをまずは自分が飲んだ。
それから、みんなにも手渡し飲んで貰った。
「みんな、幻覚は回復したか?」
「……兄上、余たちは幻覚を見ていたのか……」
「そうだ。あのグルーミーってモンスターは存在しない! 幻だ!」
そう、あれは幻覚が見せていたもの。
実際は違う。
「あれ、なんか部屋がおかしくないですか!?」
足元がグラついて驚くスコル。
その通り、ここは部屋ではなかった。
俺たちは誰かの掌の上で踊らされていたんだよ。
注意深く周囲を見渡すと、深淵の中に『掌』があった。
「なッ! ラスティくん、この手はいったい……。私たちはなぜ、ここに」
「最初から俺たちはこの手の上にいたんだよ」
「そんな……馬鹿な」
俺だって信じられないさ。
でも、これが本当の場所だ。
ハヴァマールやストレルカも驚いていた。
「どうなっているのだ!?」
「うそ……あんな広い遺跡の部屋だったのに……信じられませんわ」
これが幻影ダンジョンの本当のトラップというわけか。
この場所を抜け出さないと!
早々に立ち去ろうとしたが、突然、声が響いた。
『幻覚に気づくとは少しはやるようだな』
「……だ、誰だ?」
『我が名は“イリュージョン”……かつて魔王の幹部であり、今はこのダンジョンの主。そういえば分かるかな、ルドミラ』
「……イリュージョン? そんなまさか!」
名前を聞いてルドミラは血相を変えた。どうやら、知っているようだな。ていうか、魔王の幹部……? あの親父の……ドヴォルザークのってことか。
『覚えているようだな。そうだ、百年以上前に私は、勇者だったお前に敗れた。だが、あの時の一瞬で幻影を使った。辛うじて生きていたんだよ』
「そうでしたか。では、ここへ私たちを誘きだしたのも……」
『そうさ。ルドミラ、お前に復讐する為だ』
イリュージョンとかいうヤツは、いきなり握りしめてきた。
「まずい、みんな飛び移れ!! スコルは抱える!」
俺は、握り潰される前に地面のある場所へ飛び移った。みんなもジャンプして飛んできた。……ふぅ、危なかった。危うくペシャンコになるところだったぞ。
そんな状況にルドミラが怒りを露わにしていた。
「イリュージョン、魔王はとっくに滅びた。今更、復讐だなんて愚かな真似は止めなさい!」
『そんなことは知っている。だが、魔王様を蘇らせる方法がある……!』
「なんですって!?」
『まさかルドミラ、お前を誘き出すだけだと思ったか? 違う、間違っているぞ。私の本当の目的は魔王様の復活だ。そこの女エルフが所持する『世界聖書』さえあれば可能なのだよ!!』
なるほど、ルドミラへの復讐はついで。本当の狙いはスコルと世界聖書ってわけか! となれば俺は全力でスコルを守る。
魔王なんて復活させてなるものか!!
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