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殺人ギルドの男?

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 海底ダンジョンを進む。
 どうやら、一層から四層まであるらしく、最下層の四層に殺人ギルドがいるらしい。それまではモンスターを倒して進んでいくしかない。

 とはいえ、前衛にルドミラ。
 強すぎて余裕だった。

 彼女の持つ黄金の槌『覚醒アマデウス』は、一発の威力が高すぎてモンスターがスライム相当になっていた。

「さすがに第一層は余裕だったな」
「ええ。毒針を持つポイズンフィッシュ、アクアスライムと中級冒険者向きのモンスターしかいませんでしたからね」

 おかげで俺たちの出番はなかった。
 その後も二層、三層もクリア。
 呆気ないほど早く四層に辿り着いた。

 ここから先は、一気に難易度が上昇するようだ。

 四層に入ると明らかに雰囲気が変わった。
 冷たく凍るような空気が頬を撫でる。
 よく見るとスコルの手が震えていた。

「寒いよな。悪い」

 気遣いながらも、俺は彼女の手を温めた。
 するとスコルは顔を真っ赤にして煙を出した。

「…………ラ、ラスティさん。わ、わたし……」

 あれ、余計に悪化したような。

「ラスティくん、わたしも温めてください!」
「ルドミラも!?」

「ちょっとまった! この私も頼むよ!」
「テオドール、お前は却下だ!!」

 なぜ男の手を温めにゃならんのだ!!
 テオドールの要求は全面的に却下した。

 その直後、神殿のような建物の中から人の気配を感じた。まさか!


「おやおや、島国の冒険者がまた性懲りもなくやってきたか!」


 槍を持つ男が現れた。
 しかも、結構若いぞ。
 軽装なアーマーを装備している男は、こちらを不敵な笑みで見つめ笑った。


「お前が殺人ギルドか!!」
「あぁ!? 殺人ギルド? んなもん知らねえよ。俺の名はヴォルフガング・ブラッドレイ……! ハーフエルフの王が統治する大国『テオフィルス』の槍使いさ!」

 足音も立てず、男は槍を投げてきた。
 い、いきなり!?

 ルドミラが覚醒アマデウスで防御するものの、槍がすり抜けてきた。


「ぐあッ!!」


 あのルドミラが跳ね飛ばされていた。……馬鹿な! ありえねえ!
 しかも槍は自在に飛翔して男の手元に戻った。なんだあれは。


「ヴォルフガング・ブラッドレイと言ったか」
「おうとも。それが俺の名だ」
「よくも俺の仲間を……これが殺人ギルドのやり方か!」
「フン、殺人ギルド、殺人ギルドってうるせねぇな」

 男はまた槍を投げてきた。
 俺はヴェラチュールを召喚して応戦。
 槍を弾き返そうとしたが、またすり抜けた。

 こ、この槍は実態がないのか!?

「くそっ!! 避けるので精一杯か!!」

 スコルを守りつつ、俺は槍の動きを見定めた。
 その近くでテオドールがポーションを取り出していた。何かする気らしい。

「ラスティ、あの槍は恐らく『念』で生成されたものだろう」
「念?」
「そうだ。そういう武器の属性だよ」

 そうか、武器の属性だったんだ。
 火、水、風、土があるように、念属性も存在する。一番厄介な属性だ。

「ようやく気付いたか。初歩的な知識だがな」

 呆れる男。
 うっさい、最近まで戦争で忙しかったんだ。久しぶりで鈍っているんだよ。……とにかく、この槍男をなんとかしないと。
 殺人を止めねば!
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