上 下
66 / 443

執事の新しい武器①

しおりを挟む
 家へ戻り、スコルを先に行かせた。

「俺は、もうちょっと島開発を進める」
「分かりました、あまり無茶はしないで下さいね」

 手を振って別れ、俺は庭の方へ向かう。
 ワークテーブルを召喚・設置。


 本日入手した『鉄鉱石×67』を『鉄』へ変換。


 鉄×55 → 鉄×122


 これでまた何か作れるな。
 ひとまず要望のあった掃除用具を作成したいなと、ふとアイテムボックスに『黄金の毛』がある事に気づいた。グリンブルスティの毛か。これを使おう。そこそこな束になっているし、十分なほうきになる。


 木材を50個ほど使用し、DIYした。
 って、箒如きでそんなに使うのかよ。


 黄金の毛×1 → 黄金の毛×0
 木材×2721 → 木材×2671


 俺は『黄金の箒ゴルトブルーム』を手に入れた。


 [黄金の箒ゴルトブルーム]
 [攻撃力:180]
 [効果]
  掃除用具。
  武器にも転用可能であり、頑丈な作りとなっている。攻撃の際は『剣』へ形状を変化させる不思議な箒。
  装備者の防御力が半減する。
  物理攻撃時、低確率で敵に【スタン】の状態異常を与える。
  クリティカル発生率 +50%。クリティカルダメージ +50%。精錬値が『+7』以上の場合、クリティカル発生率 +50%。クリティカルダメージ +50%を追加する。


 なんかトンデモナイものが出来た……! なんだこの箒、武器じゃないか。俺は、ただの箒を作り出したかと思ったら、武器を作ってしまったらしい。ああ、そうか『ワークテーブル』には武器製造項目もある。そっちへ自動的に割り当てられたらしい。


 しかし、黄金の輝く箒とな……売れば高そうだが、それより、その効果だ。装備者の防御力こそ半減してしまうが、状態異常を与えたり、クリティカル面では恐ろしい程の効果を持つ。中々の掃除用具――いや、武器が出来てしまったな。


「ラスティ様、なにやら庭がまぶし――うわッ!! なんですか、この黄金の光……金、ですかな」


 何事かと玄関から顔を覗かせるアルフレッド。俺の『黄金の箒ゴルトブルーム』の輝きを直視してまぶしそうにしていた。


「これは俺が作った『黄金の箒ゴルトブルーム』だ。武器だぞ」
「ぶ、武器なのですか。ただの箒にしか見えないのですが」
「ほれ、これはアルフレッドの武器だ。カタナは折れちまったし、宝剣のライトニングレイピアは、スライム戦の“暴発”で武器破損中だろ」

 そう、以前のバーニングスライム戦で宝剣ライトニングレイピアは【武器破損】という状態になり、修理しないと使えない状態に陥っていたのだ。

 幸い【武器破壊】されなかったところは、さすが宝剣と言ったところか。


「ありがとうございます、ラスティ様。大変嬉しゅうございます!!」
「泣くな泣くな。さあ、さっそく試してみろ」

「そうですな。この箒とやらの性能……見せていただきましょうか」

 俺は庭に即席の案山子かかしを木材で作った。へのへの文字の入ったサンドバッグだ。これを仮想敵とする。


「ほれ、やってみ」

 アルフレッドは、右手で『黄金の箒ゴルトブルーム』を握る。一見、子供が剣ごっこで遊んでいるようにしか見えないが、至って真面目だ。


「では、参ります。ラスティ様」
「おう」


 距離を取り、俺は見守る。
 そして――



「――――ていやあああああああああああああ!!!」



 ブンッと『黄金の箒ゴルトブルーム』を力強く振るうアルフレッド。その瞬間、黄金の光が光線となり大量放出されて、案山子かかしどころか庭全体を吹き飛ばした。いや、森も!


「「ああああああああああああああああああああああああ…………!!」」
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います

登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」 「え? いいんですか?」  聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。  聖女となった者が皇太子の妻となる。  そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。  皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。  私の一番嫌いなタイプだった。  ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。  そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。  やった!   これで最悪な責務から解放された!  隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。  そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです

ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」 宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。 聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。 しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。 冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。

【完結】義姉上が悪役令嬢だと!?ふざけるな!姉を貶めたお前達を絶対に許さない!!

つくも茄子
ファンタジー
義姉は王家とこの国に殺された。 冤罪に末に毒杯だ。公爵令嬢である義姉上に対してこの仕打ち。笑顔の王太子夫妻が憎い。嘘の供述をした連中を許さない。我が子可愛さに隠蔽した国王。実の娘を信じなかった義父。 全ての復讐を終えたミゲルは義姉の墓前で報告をした直後に世界が歪む。目を覚ますとそこには亡くなった義姉の姿があった。過去に巻き戻った事を知ったミゲルは今度こそ義姉を守るために行動する。 巻き戻った世界は同じようで違う。その違いは吉とでるか凶とでるか……。

二人分働いてたのに、「聖女はもう時代遅れ。これからはヒーラーの時代」と言われてクビにされました。でも、ヒーラーは防御魔法を使えませんよ?

小平ニコ
ファンタジー
「ディーナ。お前には今日で、俺たちのパーティーを抜けてもらう。異論は受け付けない」  勇者ラジアスはそう言い、私をパーティーから追放した。……異論がないわけではなかったが、もうずっと前に僧侶と戦士がパーティーを離脱し、必死になって彼らの抜けた穴を埋めていた私としては、自分から頭を下げてまでパーティーに残りたいとは思わなかった。  ほとんど喧嘩別れのような形で勇者パーティーを脱退した私は、故郷には帰らず、戦闘もこなせる武闘派聖女としての力を活かし、賞金首狩りをして生活費を稼いでいた。  そんなある日のこと。  何気なく見た新聞の一面に、驚くべき記事が載っていた。 『勇者パーティー、またも敗走! 魔王軍四天王の前に、なすすべなし!』  どうやら、私がいなくなった後の勇者パーティーは、うまく機能していないらしい。最新の回復職である『ヒーラー』を仲間に加えるって言ってたから、心配ないと思ってたのに。  ……あれ、もしかして『ヒーラー』って、完全に回復に特化した職業で、聖女みたいに、防御の結界を張ることはできないのかしら?  私がその可能性に思い至った頃。  勇者ラジアスもまた、自分の判断が間違っていたことに気がついた。  そして勇者ラジアスは、再び私の前に姿を現したのだった……

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

初めての異世界転生

藤井 サトル
ファンタジー
その日、幸村 大地(ゆきむら だいち)は女神に選ばれた。 女神とのやり取りの末、大地は女神の手によって異世界へと転生する。その身には女神にいくつもの能力を授かって。 まさにファンタジーの世界へ来た大地は聖女を始めにいろんな人に出会い、出会い金を稼いだり、稼いだ金が直ぐに消えたり、路上で寝たり、チート能力を振るったりと、たぶん楽しく世界を謳歌する。 このお話は【転生者】大地と【聖女】リリア。そこに女神成分をひとつまみが合わさった異世界騒動物語である。

無限初回ログインボーナスを貰い続けて三年 ~辺境伯となり辺境領地生活~

桜井正宗
ファンタジー
 元恋人に騙され、捨てられたケイオス帝国出身の少年・アビスは絶望していた。資産を奪われ、何もかも失ったからだ。  仕方なく、冒険者を志すが道半ばで死にかける。そこで大聖女のローザと出会う。幼少の頃、彼女から『無限初回ログインボーナス』を授かっていた事実が発覚。アビスは、三年間もの間に多くのログインボーナスを受け取っていた。今まで気づかず生活を送っていたのだ。  気づけばSSS級の武具アイテムであふれかえっていた。最強となったアビスは、アイテムの受け取りを拒絶――!?

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

処理中です...