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第381話 ヘンタイ聖女でごめんなさい

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 メサイアの『覚醒オルクス』はトンデモない効果を発揮した。その効果、攻撃力三十倍アップ。その補助効果を受け、俺の力は膨大なモノとなった。


「うおおおおおおおッ!!」


 箒頭のオベリスクに対し、聖槍・ロンゴミニアドを振う。すると、ヤツは俺の槍をモロに食らい、さすがの三十倍威力には耐えられず、体を高速回転させ地面へ激突した。



「ぐおおおおおおおおおお!!」



「よしっ! さすがメサイアのオルクスだ。こいつぁスゲェや!」



 背後では、メサイア、フォル、リースも激戦を繰り広げていた。飛び交う奥義スキル、エルフの大魔法。その威力はやはり三十倍・・・だ。



「覇王天翔拳ッ!!」



 フォルの必殺が入ってラーの鳩尾みぞおちに入って仕留めた。更に、リースが杖を振ってトドメの大魔法を落とした。



「プロミネンス!!」



 これにより、『ラー』も『オシリス』も沈黙した。終わったな。これで天帝の大神官とやらは倒れ、動けなくなった。


「ふぅ、みんなお疲れ」

「やったわね、サトル。さすがよ」
「なぁに、メサイアの補助スキルのおかげさ。まさか三十倍とは思わなかったけどな」


 えへへ~と珍しくメサイアは頬を赤くして照れていた。こうして、素直にモジモジされると可愛いぞ。それから、フォルとリースも抱きついて来て、喜びを分かち合った。


「兄様ぁん♡」
「サトルさん、あたしもー♡」


「おうおう、二人とも。そうわざとらしく当てれると、俺興奮しちゃうぞ」


 俺は二人を抱き寄せて天国を味わった。
 ……あぁ、この為に生きている。

 ムチムチの激カワ聖女とエルフとこうして密着できる……なんて最高な贅沢だ。このぬくもりを俺は手放したくないッ。


「それで、この三人組はどうする?」


 フォルとリースとイチャイチャしていると、メサイアは地面に落ちている大神官を面倒くさそうに眺めていた。

 う~ん、そうだな。気絶しているとはいえ、起きればまた襲ってくるだろうし、この先にあるエロスだって狙われる。


「適当なダンジョンの奥地に強制テレポートさせよう。それで直ぐには出てこれんだろう」

「なるほどね、じゃあ、リースの出番だわ」


 メサイアは、リースの肩に手を置く。
 指名された本人は俺から離れ、杖を出す。


「テ、テレポートですかぁ。構いませんけれど、何処へ?」
「海底洞窟ダンジョン『バテンカイトス』でいいんじゃない」


 メサイアに従うリースは、大神官三人を飛ばした。仕事早ッ! もう三人の姿は消えてしまい、恐らくダンジョンの奥地へ飛ばされた。


 ……まあいいか!


 ◆


 思い出深い草原フィールドを抜けた。
 それからもひたすら歩き続け……ついに【死の要塞国・デイ】の姿が見えて来た。あの薄っすら見える巨大塔こそ……天帝がいると思われる要塞だ。


 俺は、かつて、ネメシアと共にこの地を訪れていた。


 天を突く大いなる壁グレートウォール
 崖下から生える巨大壁。


 これが要塞を呼ばれる所以ゆえんだろう。


「ついに見えて来たわね」


 俺の隣を歩くメサイアがつぶやく。
 まだ距離はあるが、塔がバカデカイ故に近くにあるような錯覚を起こす。そうだな、やっと見えてきた。


「……あのぅ、兄様」


 なんだかモジモジと顔を赤くして俺のすそを引っ張るフォル。なんだ、そんな股間を押さえて……って、まさか。


「おいおい、我慢しているのか?」
「はぃ。ずっと我慢していて……だって、今まで休憩もナシですよ!? れちゃいます……」

「……らすフォルもちょっと見てみたいな」

「え!? か、構いませんけれど、姉様とリースの前ですから、出来れば二人きりの時を希望します」

「冗談に決まってるだろうが!? さっさとその辺でしてこい!」


「付き合って下さい、兄様」


「は!?」


 メサイアとリースもさすがに驚く。
 ていうか、引いてるぞ。俺に対して。


「だって、一人ぼっちは怖いです。こんな塔を目の前に」
「だからってなぁ。俺じゃなくていいだろう、メサイアかリース、どっちでもいい、フォルを頼む」


「ごめん、私もちょっとお花を摘みに……」
「お前もか、メサイア! てか、久々にそのセリフ聞いたわ! あれは確か、炭鉱ダンジョンの時か……懐かしいなオイ。って、もう行っちゃったし」


 メサイアは森の方へ向かった。
 ついでにリースを連れて。


 あ、取り残された。


「あ、兄様。いいではありませんか」
「よくねーよ。……と、言いたいところだが、まさか聖女が連れションとはな……なんだこれは!! 仕方ねえ!!」


 大きな岩陰に向かおうとした――のだが、フォルは立ち止った。


「あの、兄様……」
「なんだ、まだ何か要求してくるのか」

「……はい、あの……もう限界です」


「!? マジか! てか、顔赤すぎだろ……どんだけ我慢していたんだ、フォルよ」


「……し、仕方ないでしょう。その……あの、ヘンタイでごめんなさい、兄様。本当にごめんなさい、もう膀胱ぼうこうが限界です……我慢できません……」


 驚くべき事に、フォルは俺の目の前で立ったまま決壊させていた。その白い太腿ふともも、ニーハイに伝っていく聖水。体をびくびくと震わせ、地面を濡らしていた。


 あー…我慢できなかったか。
 決して故意ではなく、本当に我慢できなかったようだ。これは仕方ない。……けど、なんだろう。フォルのヤツ、すげぇ幸せそうな顔しやがって。


 このヘンタイ聖女めッ!
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