341 / 459
第341話 貴族に囚われている娘を奪還せよ!!
しおりを挟む
目を覚ますと息苦しくて死にそうだった。
「~~~~~~!?」
目玉をグリグリ動かし、状況を把握する。薄暗いが、なるほど。これは俺の長年の経験で分かった。というか、聖女特有の匂いで分かった。
俺の顔面は、どうやらフォルのむっちむっちのフトモモの上にいるらしい。逆膝枕されていた。更に言えば、修道服のスカート部分で顔面を覆われている、というか突っ込んでいる状況なので、息苦しいという状況だった。
何故こうなった……思い出せん。
「あ~にぃ~さぁ~まぁ~ん♡」
「~~~~~~!!」
いやだから声が出せねえって!
ジタバタ暴れると、悟ったフォルは離れてくれた。
「……お、お前な……」
「兄様っ♡」
抱きついてくる聖女・フォルトゥナ。
長い銀髪が揺れる。
ついでに青と桃の瞳も。
「どうした、今日は甘えん坊だな」
彼女の小さな頭を撫でながら構ってやった。銀髪がフワフワのモコモコだ。気持ちよさそうに目を細め、しかもゴロゴロとしやがって、お前は猫か。
「だって今日は、姉様もリースも出かけているんですよ。二人きり! 二人きりです! ですからですよ~。やりたい放題ってワケなのですっ」
「お前の言い方だと何だかイヤらしく感じるな」
「というわけですから、貴族に囚われているという娘さんを助けに行きましょう」
「はい?」
俺は首を傾げた。
フォルが何を言っているのか理解できなかったからだ。貴族に囚われている娘さん?
「なんのクエストだよ」
「ええ、実は『緊急クエスト』なのです」
★★★ ★★★ ★★★ ★★★
【緊急クエスト】
【詳細】
アドミラル家の当主
『ラグラス・アドミラル』から
少女セルリアを取り戻せ!
通常報酬:エロス通行証
特別報酬:1,000,000セル
★★★ ★★★ ★★★ ★★★
「うぉ、なんか出て来たな。緊急クエストか……む、特別報酬付きじゃないか、これ」
「そうなのですよ。しかもこれって通常報酬では『エロス通行証』が手に入るのです」
「マジかよ……。なんかエロそうな国だな」
なんとなくそう思った。
勝手なイメージだけどな!
「わたくし自身、一度も行ったことがないので分かりませんけれど、世界ギルドの方からの噂によれば、多分、そのような国ではありませんね。真面目《まじめ》な国だとは思いますよ」
「なんだ、ロマンがないなー」
「もぉ、兄様。そういうのをお求めになるのでしたら、わたくしが兄様を骨抜きにして差し上げますよぉ~♡」
修道服のスリット部分をヒラヒラとさせるフォル。悪魔の誘惑……いや、ヘンタイ聖女の誘惑だな。
「おい、ヘンタイ。とりあえず、その緊急クエストとやらを受けるぞ」
「本当ですか? いつもの兄様なら超絶面倒臭いの一言ですのに……どういう風の吹き回しなのです?」
子供の様な目で見られ、俺はちょっと照れた。
「金だよ。……最近いろいろ使いすぎちゃってさ、丁度お金が欲しかったんだ」
「そうでしたか。因みに、このクエストは世界ギルドから発行されているものですから、少なからず『スターゲイザー』に繋がるものとなっております。つまり、ラグラス・アドミラルが何かしらの情報を持っている疑いがあるのです」
「なるほどな。敵であるスターゲイザーの情報ともなれば、そりゃ宝石以上の価値がある。しかも、クエストを達成すれば報酬も貰えるのか。最高だな」
うんうんとフォルはご機嫌に頷き、腕に絡みついて来た。いろいろ感触がっ。
「さあ、善は急げですよ、兄様」
そんな極上の上目遣いで見られると、こそばゆい。だが、これはこれで悪くない。ていうか、このまま時が止まってしまえばいい。
「そうだな、たまにはフォルと二人きりで冒険も悪くない。寧ろ天国だ」
「嬉しいです……♡ ですから、わたくし、あわよくば兄様と…………」
語尾が弱々しくて聞き取り辛かったけど、その意図は理解できた。
「……ば、ばかっ。朝っぱらから何を言っているんだよ、お前は……そんなモンとっくだろ」
「えへへ♡」
更に上機嫌になったフォルを連れ、俺は外へ出た。さあ、行こうか【レメディオス】の何処かへ! ……って、何処へ行けば良いんだ?!
「~~~~~~!?」
目玉をグリグリ動かし、状況を把握する。薄暗いが、なるほど。これは俺の長年の経験で分かった。というか、聖女特有の匂いで分かった。
俺の顔面は、どうやらフォルのむっちむっちのフトモモの上にいるらしい。逆膝枕されていた。更に言えば、修道服のスカート部分で顔面を覆われている、というか突っ込んでいる状況なので、息苦しいという状況だった。
何故こうなった……思い出せん。
「あ~にぃ~さぁ~まぁ~ん♡」
「~~~~~~!!」
いやだから声が出せねえって!
ジタバタ暴れると、悟ったフォルは離れてくれた。
「……お、お前な……」
「兄様っ♡」
抱きついてくる聖女・フォルトゥナ。
長い銀髪が揺れる。
ついでに青と桃の瞳も。
「どうした、今日は甘えん坊だな」
彼女の小さな頭を撫でながら構ってやった。銀髪がフワフワのモコモコだ。気持ちよさそうに目を細め、しかもゴロゴロとしやがって、お前は猫か。
「だって今日は、姉様もリースも出かけているんですよ。二人きり! 二人きりです! ですからですよ~。やりたい放題ってワケなのですっ」
「お前の言い方だと何だかイヤらしく感じるな」
「というわけですから、貴族に囚われているという娘さんを助けに行きましょう」
「はい?」
俺は首を傾げた。
フォルが何を言っているのか理解できなかったからだ。貴族に囚われている娘さん?
「なんのクエストだよ」
「ええ、実は『緊急クエスト』なのです」
★★★ ★★★ ★★★ ★★★
【緊急クエスト】
【詳細】
アドミラル家の当主
『ラグラス・アドミラル』から
少女セルリアを取り戻せ!
通常報酬:エロス通行証
特別報酬:1,000,000セル
★★★ ★★★ ★★★ ★★★
「うぉ、なんか出て来たな。緊急クエストか……む、特別報酬付きじゃないか、これ」
「そうなのですよ。しかもこれって通常報酬では『エロス通行証』が手に入るのです」
「マジかよ……。なんかエロそうな国だな」
なんとなくそう思った。
勝手なイメージだけどな!
「わたくし自身、一度も行ったことがないので分かりませんけれど、世界ギルドの方からの噂によれば、多分、そのような国ではありませんね。真面目《まじめ》な国だとは思いますよ」
「なんだ、ロマンがないなー」
「もぉ、兄様。そういうのをお求めになるのでしたら、わたくしが兄様を骨抜きにして差し上げますよぉ~♡」
修道服のスリット部分をヒラヒラとさせるフォル。悪魔の誘惑……いや、ヘンタイ聖女の誘惑だな。
「おい、ヘンタイ。とりあえず、その緊急クエストとやらを受けるぞ」
「本当ですか? いつもの兄様なら超絶面倒臭いの一言ですのに……どういう風の吹き回しなのです?」
子供の様な目で見られ、俺はちょっと照れた。
「金だよ。……最近いろいろ使いすぎちゃってさ、丁度お金が欲しかったんだ」
「そうでしたか。因みに、このクエストは世界ギルドから発行されているものですから、少なからず『スターゲイザー』に繋がるものとなっております。つまり、ラグラス・アドミラルが何かしらの情報を持っている疑いがあるのです」
「なるほどな。敵であるスターゲイザーの情報ともなれば、そりゃ宝石以上の価値がある。しかも、クエストを達成すれば報酬も貰えるのか。最高だな」
うんうんとフォルはご機嫌に頷き、腕に絡みついて来た。いろいろ感触がっ。
「さあ、善は急げですよ、兄様」
そんな極上の上目遣いで見られると、こそばゆい。だが、これはこれで悪くない。ていうか、このまま時が止まってしまえばいい。
「そうだな、たまにはフォルと二人きりで冒険も悪くない。寧ろ天国だ」
「嬉しいです……♡ ですから、わたくし、あわよくば兄様と…………」
語尾が弱々しくて聞き取り辛かったけど、その意図は理解できた。
「……ば、ばかっ。朝っぱらから何を言っているんだよ、お前は……そんなモンとっくだろ」
「えへへ♡」
更に上機嫌になったフォルを連れ、俺は外へ出た。さあ、行こうか【レメディオス】の何処かへ! ……って、何処へ行けば良いんだ?!
0
お気に入りに追加
1,261
あなたにおすすめの小説
無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ
桜井正宗
ファンタジー
帝国の第三皇子・ラスティは“無能”を宣告されドヴォルザーク帝国を追放される。しかし皇子が消えた途端、帝国がなぜか不思議な力によって破滅の道へ進む。周辺国や全世界を巻き込み次々と崩壊していく。
ラスティは“謎の声”により無人島へ飛ばされ定住。これまた不思議な能力【無人島開発】で無人島のレベルをアップ。世界最強の国に変えていく。その噂が広がると世界の国々から同盟要請や援助が殺到するも、もう遅かった。ラスティは、信頼できる仲間を手に入れていたのだ。彼らと共にスローライフを送るのであった。
喰らう度強くなるボクと姉属性の女神様と異世界と。〜食べた者のスキルを奪うボクが異世界で自由気ままに冒険する!!〜
田所浩一郎
ファンタジー
中学でいじめられていた少年冥矢は女神のミスによりできた空間の歪みに巻き込まれ命を落としてしまう。
謝罪代わりに与えられたスキル、《喰らう者》は食べた存在のスキルを使い更にレベルアップすることのできるチートスキルだった!
異世界に転生させてもらうはずだったがなんと女神様もついてくる事態に!?
地球にはない自然や生き物に魔物。それにまだ見ぬ珍味達。
冥矢は心を踊らせ好奇心を満たす冒険へと出るのだった。これからずっと側に居ることを約束した女神様と共に……
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
月が導く異世界道中extra
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
こちらは月が導く異世界道中番外編になります。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
スマートシステムで異世界革命
小川悟
ファンタジー
/// 毎日19時に投稿する予定です。 ///
★☆★ システム開発の天才!異世界転移して魔法陣構築で生産チート! ★☆★
新道亘《シンドウアタル》は、自分でも気が付かないうちにボッチ人生を歩み始めていた。
それならボッチ卒業の為に、現実世界のしがらみを全て捨て、新たな人生を歩もうとしたら、異世界女神と事故で現実世界のすべてを捨て、やり直すことになってしまった。
異世界に行くために、新たなスキルを神々と作ったら、とんでもなく生産チートなスキルが出来上がる。
スマフォのような便利なスキルで異世界に生産革命を起こします!
序章(全5話)異世界転移までの神々とのお話しです
第1章(全12話+1話)転生した場所での検証と訓練
第2章(全13話+1話)滞在先の街と出会い
第3章(全44話+4話)遺産活用と結婚
第4章(全17話)ダンジョン探索
第5章(執筆中)公的ギルド?
※第3章以降は少し内容が過激になってきます。
上記はあくまで予定です。
カクヨムでも投稿しています。
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる