280 / 449
第280話 女神の涙 - スターダスト・ついに全てそろう!? -
しおりを挟む
ハーデンベルギア。
王に認められし『聖戦士』だ。
俺の従妹でもある。どうしてか同じ世界にいる。なんでだっけな……細かいことはさておき、あのネメシアと同じ、片目隠し。思えば、ベルを真似たんだろうな。
銀髪……きめ細かな白い肌。
あれ、ちょっと痩せたかな、輪郭スッキリしてないか?
体格も心なしか以前よりも、細りとしているように見受けられた。恐らく、ずっと眠っているせいだろう、やつれたんだな。
こんなところで、どうして――。
「にしても、ビキニアーマーのまま眠りこけているとはな。起きないのか」
「起きないよ」
ハティが即答した。
「なぜだ」
「お姉ちゃんと一緒。魂を生贄にされちゃったから……」
「ど、どうしてそれを」
少女は答えない。
口を閉ざし、沈黙した――かと思えば、俺を真っすぐ見た。
色の濃い赤い瞳が、俺を捉えて離さない。
「……お姉ちゃん、あれ」
ベルを指さすハティ。……ん、手元?
「ま、まて……ベルのやつ、なにか持ってる、のか」
俺は眠っているベルに恐る恐る近づき、そっと手を重ねた。……冷たい。まるで死体のようだ。でも、ハティのあの感じからすると死んではいない。もしもこれが死体だったのなら、こんな風に放置しておくはずがないからだ。
――そして、手をどけると――
「こ……これは……【スターダスト】か!?」
それは、赤い涙のような星屑だった。
うわぁ、ちょっと不気味。でも美しいとも思えた。そうか……これが『女神の涙』ということか。なぜ赤なんだかな。……血涙ってことか?
「これでぜんぶ」
「え……」
「あとは『聖女コンテスト』のだね。あれは配送が遅れているみたい」
「なぜ分かる! キミはいったい何者なんだ……ハティ」
「そのうち分かるよ。今はまだ――」
「ハティ! ちょ、うああああああああああ!!!」
いきなり『ホワイト』から追い出された。
そんな強制的にっ!
……くっそ、まだ話したい事色々あったのにな。
★
ぶわっと『ホワイト』から排出され、俺は王の間に戻った。
「……ふぅ。って、おい、ネメシア!」
「ご、ごめーん。だって、ヘデラってば女王様をくしゃみで吹き飛ばそうとするんだもん。緊急事態よ、仕方ないでしょ」
「そりゃそうだけどー…」
「ん、ヘデラ。どうしたの?」
「いや……あとで話す」
「??」
「それより、女王様。相談がある」
「なんじゃ、ヘデレよ」
「ヘデラな」
「うむ、言うてみ」
「約束通り【スターダスト】が揃った。つっても、一個は『聖女コンテスト』の優勝賞品で、未配送なんだ。でも、一応こちらに二つある。だから、一度、女王様のも預かりたい。揃い次第、願いを叶える。そして、女王様の【呪い】も解く」
「――――そうか、ついに」
女王は米粒ながらも、感慨深そうに腕を組んだ。
小さいから分かりづらいけどなっ!
それから、女王は言葉を続けた。
「いいじゃろう。お主にはいろいろと借りがあるでの。この【レメディオス】を幾度となく救ってもらった。その礼もせねばならんかった。なれば【スターダスト】を持ってゆくが良い」
「マジ! いいんだな!?」
「――ああ、パエリア」
女王がパンッと手を叩くと、アマゾネスが現れた。
「こちらでございます」
た、谷間から!? そんなところに隠していたのかよ。おいおい……それ中々に不用心じゃないか。セキュリティ的にどうなんだそれ……盲点だったけど!
「この赤いの……【スターダスト】で間違いない。ホンモノだ」
「へぇ、これが【スターダスト】なんだ」
横からネメシアが観察していた。
……む?
「ネメシア、お前は初見か?」
「え、スターダストを? …………あ」
なんだそのウッカリみたいな反応。
やっぱり、知っていたんだな――ベルのこと。
「……ネメシアさ~ん、ちょっとこっち来い」
「ヘ、ヘデラ……さっきの優しさは何処へいったの~! 引っ張らないで~!」
「大切な話がある! 聞かせてもらうぞ!」
「ひぃぃぃぃ~~~…!」
俺は、ネメシアを隅に引きずった。
さ~て、聞かせてもらおうか!!
王に認められし『聖戦士』だ。
俺の従妹でもある。どうしてか同じ世界にいる。なんでだっけな……細かいことはさておき、あのネメシアと同じ、片目隠し。思えば、ベルを真似たんだろうな。
銀髪……きめ細かな白い肌。
あれ、ちょっと痩せたかな、輪郭スッキリしてないか?
体格も心なしか以前よりも、細りとしているように見受けられた。恐らく、ずっと眠っているせいだろう、やつれたんだな。
こんなところで、どうして――。
「にしても、ビキニアーマーのまま眠りこけているとはな。起きないのか」
「起きないよ」
ハティが即答した。
「なぜだ」
「お姉ちゃんと一緒。魂を生贄にされちゃったから……」
「ど、どうしてそれを」
少女は答えない。
口を閉ざし、沈黙した――かと思えば、俺を真っすぐ見た。
色の濃い赤い瞳が、俺を捉えて離さない。
「……お姉ちゃん、あれ」
ベルを指さすハティ。……ん、手元?
「ま、まて……ベルのやつ、なにか持ってる、のか」
俺は眠っているベルに恐る恐る近づき、そっと手を重ねた。……冷たい。まるで死体のようだ。でも、ハティのあの感じからすると死んではいない。もしもこれが死体だったのなら、こんな風に放置しておくはずがないからだ。
――そして、手をどけると――
「こ……これは……【スターダスト】か!?」
それは、赤い涙のような星屑だった。
うわぁ、ちょっと不気味。でも美しいとも思えた。そうか……これが『女神の涙』ということか。なぜ赤なんだかな。……血涙ってことか?
「これでぜんぶ」
「え……」
「あとは『聖女コンテスト』のだね。あれは配送が遅れているみたい」
「なぜ分かる! キミはいったい何者なんだ……ハティ」
「そのうち分かるよ。今はまだ――」
「ハティ! ちょ、うああああああああああ!!!」
いきなり『ホワイト』から追い出された。
そんな強制的にっ!
……くっそ、まだ話したい事色々あったのにな。
★
ぶわっと『ホワイト』から排出され、俺は王の間に戻った。
「……ふぅ。って、おい、ネメシア!」
「ご、ごめーん。だって、ヘデラってば女王様をくしゃみで吹き飛ばそうとするんだもん。緊急事態よ、仕方ないでしょ」
「そりゃそうだけどー…」
「ん、ヘデラ。どうしたの?」
「いや……あとで話す」
「??」
「それより、女王様。相談がある」
「なんじゃ、ヘデレよ」
「ヘデラな」
「うむ、言うてみ」
「約束通り【スターダスト】が揃った。つっても、一個は『聖女コンテスト』の優勝賞品で、未配送なんだ。でも、一応こちらに二つある。だから、一度、女王様のも預かりたい。揃い次第、願いを叶える。そして、女王様の【呪い】も解く」
「――――そうか、ついに」
女王は米粒ながらも、感慨深そうに腕を組んだ。
小さいから分かりづらいけどなっ!
それから、女王は言葉を続けた。
「いいじゃろう。お主にはいろいろと借りがあるでの。この【レメディオス】を幾度となく救ってもらった。その礼もせねばならんかった。なれば【スターダスト】を持ってゆくが良い」
「マジ! いいんだな!?」
「――ああ、パエリア」
女王がパンッと手を叩くと、アマゾネスが現れた。
「こちらでございます」
た、谷間から!? そんなところに隠していたのかよ。おいおい……それ中々に不用心じゃないか。セキュリティ的にどうなんだそれ……盲点だったけど!
「この赤いの……【スターダスト】で間違いない。ホンモノだ」
「へぇ、これが【スターダスト】なんだ」
横からネメシアが観察していた。
……む?
「ネメシア、お前は初見か?」
「え、スターダストを? …………あ」
なんだそのウッカリみたいな反応。
やっぱり、知っていたんだな――ベルのこと。
「……ネメシアさ~ん、ちょっとこっち来い」
「ヘ、ヘデラ……さっきの優しさは何処へいったの~! 引っ張らないで~!」
「大切な話がある! 聞かせてもらうぞ!」
「ひぃぃぃぃ~~~…!」
俺は、ネメシアを隅に引きずった。
さ~て、聞かせてもらおうか!!
0
お気に入りに追加
1,261
あなたにおすすめの小説
無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ
桜井正宗
ファンタジー
帝国の第三皇子・ラスティは“無能”を宣告されドヴォルザーク帝国を追放される。しかし皇子が消えた途端、帝国がなぜか不思議な力によって破滅の道へ進む。周辺国や全世界を巻き込み次々と崩壊していく。
ラスティは“謎の声”により無人島へ飛ばされ定住。これまた不思議な能力【無人島開発】で無人島のレベルをアップ。世界最強の国に変えていく。その噂が広がると世界の国々から同盟要請や援助が殺到するも、もう遅かった。ラスティは、信頼できる仲間を手に入れていたのだ。彼らと共にスローライフを送るのであった。
チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?
桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」
その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。
影響するステータスは『運』。
聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。
第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。
すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。
より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!
真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。
【簡単な流れ】
勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ
【原題】
『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。
【完結】おじいちゃんは元勇者
三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話…
親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。
エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…
一日一善!無職の俺が、おばあちゃん助けて異世界無双!
GARUD
ファンタジー
俺の名前は [久世 雷斗(くぜ らいと)]
歳は18才、高校をギリギリ卒業したため、就職活動を在学中にできず、今は無職──俗に言うニートってやつだ。
今日も俺は就職活動で面接へと向かう。
途中、杖を付いた足の悪いおばあちゃんを見かけ、一緒に横断歩道を渡る。
そして面接に遅れ不採用。
俺は小さい頃から親に
「困った人を見たら自分から手伝ってあげるのよ、そうして毎日善い事を続けていれば、いずれ自分にも善い事が返ってくるものなのよ。」
と言われて育って来た。
翌日、街をぶらついていると、目の前には昨日横断歩道を渡れずに立ち竦んでいたおばあちゃんが居た。
「坊や…おばあちゃんの所に来んかえ?」
おばあちゃんは杖を地面に強く突き、突如おばあちゃんと俺を中心に光円が広がり俺達を包み込む。
俺は余りにも光量に眼を閉じた。
次に眼を開けたら目の前には女神さまが!
一日一善をやってきた俺はついに女神さまからご褒美を授かる!
そのご褒美とは──なんと異世界へと行き好きなことを好きなだけしていい!という夢のような話!
さらに女神さまから授かったご褒美は死なない体に最高の身体能力!魔法の数々や祝福装備に毎月送金される軍資金!さらにさらにそれらを収納できる四次元収納魔法!女神さまとのホットラインのおまけ付き!
最強チートがここに極まった!
全てを持っているこの俺が、異世界の悪人どもを相手に時代劇も真っ青の勧善懲悪!
無双ハーレムやったるで!
『一日一善!無職の俺が、おばあちゃん助けて異世界無双!』のヒロインであるアンナ視点の物語
『私の旦那様は地上最強でした!』
こちらもラブコメ成分大盛で連載しています!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる