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「〇〇将軍では?」
「その人は違います……」
流石に知らない人に冤罪を被せるわけにはいかないと、フェリセットは否定を繰り返した。重ね重ね、心当たりがぽんぽんと出てくるのが驚きであると、冷や汗が流れた。
「なら誰よ!? 私のフェリセットを捨てたのはどこの誰なのよ!?」
「と……とにかく。そのことは、忘れたいんですっ」
ジューンはなおも引き下がらず、追求を続けようとした。このすぐかーっとなるところ、まさしくあたしのママに違いないや──とフェリセットは妙な気持ちになった。
「もう、終わった事なので。あたしは身辺を整理して、故郷であるオークの森に帰りたいんです。お恥ずかしい話なんですが、路銀を貸していただけませんか」
フェリセットの頼み事に公爵夫妻は困惑した顔をする。
「そんな……フェリセット、やっと再会できたのに……」
「元々、解放されたら戻るつもりだったので」
「フェリセット、君さえ良ければずっとここにいていいのだよ」
「あ、いえいえそこまではご迷惑をかけられません」
全く追っ手が来ない、つまりルイはもうフェリセットを必要としていない。そうなれば特にグランスフィアに滞在する理由はない。
「遠慮することはない。ジューンの娘は私の娘だ。フェリセット、君をグロッシー公爵家の養女として迎え入れよう。ずっとここで暮らすといい」
フェリセットがいえいえ、そこまでして頂かなくても結構です──と後ずさりしながら口にするより早く、ジューンが感激した様子でグロッシー公爵に抱きついた。
「あなた……!!」
「ジューン。君は苦労した分、これから沢山幸せになるべきだ」
「あなた……!!」
フェリセットはすっかり出来上がっている公爵夫妻を尻目に今日何度目かのため息をついた。
──とても、お断りしますと言える状況ではなかった。
「その人は違います……」
流石に知らない人に冤罪を被せるわけにはいかないと、フェリセットは否定を繰り返した。重ね重ね、心当たりがぽんぽんと出てくるのが驚きであると、冷や汗が流れた。
「なら誰よ!? 私のフェリセットを捨てたのはどこの誰なのよ!?」
「と……とにかく。そのことは、忘れたいんですっ」
ジューンはなおも引き下がらず、追求を続けようとした。このすぐかーっとなるところ、まさしくあたしのママに違いないや──とフェリセットは妙な気持ちになった。
「もう、終わった事なので。あたしは身辺を整理して、故郷であるオークの森に帰りたいんです。お恥ずかしい話なんですが、路銀を貸していただけませんか」
フェリセットの頼み事に公爵夫妻は困惑した顔をする。
「そんな……フェリセット、やっと再会できたのに……」
「元々、解放されたら戻るつもりだったので」
「フェリセット、君さえ良ければずっとここにいていいのだよ」
「あ、いえいえそこまではご迷惑をかけられません」
全く追っ手が来ない、つまりルイはもうフェリセットを必要としていない。そうなれば特にグランスフィアに滞在する理由はない。
「遠慮することはない。ジューンの娘は私の娘だ。フェリセット、君をグロッシー公爵家の養女として迎え入れよう。ずっとここで暮らすといい」
フェリセットがいえいえ、そこまでして頂かなくても結構です──と後ずさりしながら口にするより早く、ジューンが感激した様子でグロッシー公爵に抱きついた。
「あなた……!!」
「ジューン。君は苦労した分、これから沢山幸せになるべきだ」
「あなた……!!」
フェリセットはすっかり出来上がっている公爵夫妻を尻目に今日何度目かのため息をついた。
──とても、お断りしますと言える状況ではなかった。
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