4 / 6
ビアンカの秘密
しおりを挟む
「おい」
「ひっ!」
突然聞こえてきた声に驚いて、ビアンカはちいさな叫び声を上げた。目の前にやってきて自分の顔を覗き込んでいるのは先程自分を目撃した青年ではないか。
慌てて逃げようとするも、もうここは家の中のため、あっと言う間に壁際に追い詰められてしまう。ビアンカは男の手に腕を掴まれ、身動きが取れなくなってしまった。
「お前の名前は?」
「ビ……ビアンカ」
家名は、と聞かれビアンカはぐっと言葉を飲み込んだ。名前を教えることはできない。家名を言えば、実家に連れ戻されてしまう。そうなれば、ビアンカの身は間違いなく破滅だ。
「あ、あなたこそ……だ、誰ですか!」
「アルバートだ。アルバート・ウォルデン。まさかこの辺りに住んでいて知らないわけないよな?」
アルバートははだけた襟元からウォルデン家の家紋のついたペンダントを引っ張り出す。意匠の細かさやずっしりとした金の重みは、それがまがい物ではない事を示している。
「りょ……領主さまでしたか。すみません、わたしはこの通り流れ者で」
ビアンカはアルバートの腕の中でくるりと体を回転させ、目を背けた。
人狼よけのゼーラ草の匂いをものともせず追跡されたのは誤算だったけれど、きっと彼はこの辺を見回りに来ていて、私があまりにも不審だから追いかけてきたのだわ──とビアンカは思った。
不思議な事に、今まで感じてきた男性への恐怖と言うものを、ビアンカは目の前の青年──アルバートには感じていなかった。
「そうか。生活は大変そうだが……薬草の知識があるならもっとちゃんとした所に紹介をしてやるぞ」
「いえ……私、あのとおりの性質を持っておりますので、普通の生活は送れないかと……」
やっぱり、彼は領主をしての使命感に駆られているのだわ。
そう頭では理解しているものの、捕まれた手首ごしに伝わる熱や、服の上からでも分かるほどの引き締まった肉体に、一旦は収まったはずのビアンカの中の衝動が目を覚まし、暴れ始める。
ビアンカは平静を装うために、アルバートから視線を逸らした。しかし、彼はずっと自分を見つめている。
──はやく、帰ってほしい。
ビアンカはかつてない程の焦りを感じていた。このままでは、自分は今まで守ってきたものを失ってしまうかもしれないのだ。
「そうか。……人の少ない所の方がいいんだな」
「はい。あの……ところで……体を、離していただけませんか」
素っ気なく聞こえたビアンカの言葉に、アルバートは唇をとがらせた。自分は番が見つかった喜びに打ち震えているというのに、相手の態度はつれない。そのくせ──そのくせとんでもなくいやらしい匂いを放っている。
──一刻も早く、この女を自分の番にしたい。
「それはできない」
「え……」
「お前は俺の番だ。城に連れ帰る」
「何言って……んっ!」
ビアンカの抗議の声は、強引に重ねられた口づけによって遮られる。アルバートの舌先が歯列をむりやりこじ開け、ビアンカのそれを絡めとり、優しく撫で、時には強く刺激する。
「ふぅ……ん……んん……っ」
息継ぎを挟んで何度も何度も繰り返される、それこそ獣のような口づけにビアンカの決意はゆらぎ、このまま与えられるであろう快楽に身を任せたくなってしまう。
「いい匂いだ」
「ひゃん!」
アルバートはビアンカの白い首筋に顔を埋めた。
「ひやっ!ダメですっ!」
アルバートはローブに手を差し入れ、ビアンカの胸の膨らみを揉みしだく。すでにビアンカ自身によってはだけていた服は、いとも簡単にアルバートの手を受け入れ、指の形に合わせて柔肉がたわんだ。
「……でかいな」
「ああっ……だめぇ……」
乱暴ではあるものの、痛くない程度の愛撫にビアンカの喉から甘い声がにじみ出る。
「何がダメなんだ?」
アルバートが指先でつついた胸の先端はすでに固く勃起している。
「……んんっ……だって……んんんっ……」
ビアンカは身体を震わせながら悶えた。胸を刺激されただけで、足がガクガクとする。ぷっくりと色づいた乳輪をちゅっと吸われ、もう片方を指で飴玉のように転がされると体に白い稲妻が落ちたような鋭い刺激が襲ってくる。
「ああっ……ひゃうっ……」
「気持ちよくなってきただろ?」
「やあっ……それは、違うの……っ、あっ、やあっ……」
「自分じゃイケないんだろ?」
ビアンカの目からは羞恥の涙がにじんだ。アルバートの囁きにビアンカは顔を真っ赤にして、無言でこくりと肯定する。
「素直なのはいいことだ」
アルバートはビアンカの太股に手を滑らせる。むわりと雌の匂いを漂わせる隙間の奥にはすでにぐっしょりと濡れている秘裂があり、指で軽く撫でるだけでビアンカの体が震えた。
「んっ……」
「ほら、どんどん濡れてくるぞ」
アルバートが手を動かすたびに、ビアンカの蜜壺からは愛液があふれ出てくる。
「ひゃん、ああっ!!」
ぷちゅりと肉芽をいじられて、ビアンカの体が鋭く跳ね、体が崩れおちる。
「はあっ……あ、あっ、はあーっ……」
ビアンカは大きな瞳に涙をため、獣のように荒い呼吸を繰り返している。まだ絶頂の余韻が残る体を床に押し倒し、アルバートはビアンカの肩口に噛みつき、すでにはだけていた彼女の服に手をかける。
「もう……我慢、できないっ……」
「あっ、だめっつ、もう、もう、イった、イったからあっ」
ビアンカの力のこもっていない懇願は、興奮状態のアルバートにさらなる喜びを与えただけだった。太股に手をかけ、大きく足を開かせる。
その瞬間、目に入った「もの」にアルバートの瞳は驚愕の色に変わった。
ビアンカの下腹部、ちょうど子宮のあたりに赤紫の紋章が刻まれているのだ。
「……なんだ、これは?」
魔術に詳しくないアルバートにもその異様さを──明確な悪意を肌で感じる事ができるほどだ。
「淫、紋……」
アルバートの疑問に答えるかたちで、熱に浮かされたような表情のビアンカが苦しげに呟いた。
「ひっ!」
突然聞こえてきた声に驚いて、ビアンカはちいさな叫び声を上げた。目の前にやってきて自分の顔を覗き込んでいるのは先程自分を目撃した青年ではないか。
慌てて逃げようとするも、もうここは家の中のため、あっと言う間に壁際に追い詰められてしまう。ビアンカは男の手に腕を掴まれ、身動きが取れなくなってしまった。
「お前の名前は?」
「ビ……ビアンカ」
家名は、と聞かれビアンカはぐっと言葉を飲み込んだ。名前を教えることはできない。家名を言えば、実家に連れ戻されてしまう。そうなれば、ビアンカの身は間違いなく破滅だ。
「あ、あなたこそ……だ、誰ですか!」
「アルバートだ。アルバート・ウォルデン。まさかこの辺りに住んでいて知らないわけないよな?」
アルバートははだけた襟元からウォルデン家の家紋のついたペンダントを引っ張り出す。意匠の細かさやずっしりとした金の重みは、それがまがい物ではない事を示している。
「りょ……領主さまでしたか。すみません、わたしはこの通り流れ者で」
ビアンカはアルバートの腕の中でくるりと体を回転させ、目を背けた。
人狼よけのゼーラ草の匂いをものともせず追跡されたのは誤算だったけれど、きっと彼はこの辺を見回りに来ていて、私があまりにも不審だから追いかけてきたのだわ──とビアンカは思った。
不思議な事に、今まで感じてきた男性への恐怖と言うものを、ビアンカは目の前の青年──アルバートには感じていなかった。
「そうか。生活は大変そうだが……薬草の知識があるならもっとちゃんとした所に紹介をしてやるぞ」
「いえ……私、あのとおりの性質を持っておりますので、普通の生活は送れないかと……」
やっぱり、彼は領主をしての使命感に駆られているのだわ。
そう頭では理解しているものの、捕まれた手首ごしに伝わる熱や、服の上からでも分かるほどの引き締まった肉体に、一旦は収まったはずのビアンカの中の衝動が目を覚まし、暴れ始める。
ビアンカは平静を装うために、アルバートから視線を逸らした。しかし、彼はずっと自分を見つめている。
──はやく、帰ってほしい。
ビアンカはかつてない程の焦りを感じていた。このままでは、自分は今まで守ってきたものを失ってしまうかもしれないのだ。
「そうか。……人の少ない所の方がいいんだな」
「はい。あの……ところで……体を、離していただけませんか」
素っ気なく聞こえたビアンカの言葉に、アルバートは唇をとがらせた。自分は番が見つかった喜びに打ち震えているというのに、相手の態度はつれない。そのくせ──そのくせとんでもなくいやらしい匂いを放っている。
──一刻も早く、この女を自分の番にしたい。
「それはできない」
「え……」
「お前は俺の番だ。城に連れ帰る」
「何言って……んっ!」
ビアンカの抗議の声は、強引に重ねられた口づけによって遮られる。アルバートの舌先が歯列をむりやりこじ開け、ビアンカのそれを絡めとり、優しく撫で、時には強く刺激する。
「ふぅ……ん……んん……っ」
息継ぎを挟んで何度も何度も繰り返される、それこそ獣のような口づけにビアンカの決意はゆらぎ、このまま与えられるであろう快楽に身を任せたくなってしまう。
「いい匂いだ」
「ひゃん!」
アルバートはビアンカの白い首筋に顔を埋めた。
「ひやっ!ダメですっ!」
アルバートはローブに手を差し入れ、ビアンカの胸の膨らみを揉みしだく。すでにビアンカ自身によってはだけていた服は、いとも簡単にアルバートの手を受け入れ、指の形に合わせて柔肉がたわんだ。
「……でかいな」
「ああっ……だめぇ……」
乱暴ではあるものの、痛くない程度の愛撫にビアンカの喉から甘い声がにじみ出る。
「何がダメなんだ?」
アルバートが指先でつついた胸の先端はすでに固く勃起している。
「……んんっ……だって……んんんっ……」
ビアンカは身体を震わせながら悶えた。胸を刺激されただけで、足がガクガクとする。ぷっくりと色づいた乳輪をちゅっと吸われ、もう片方を指で飴玉のように転がされると体に白い稲妻が落ちたような鋭い刺激が襲ってくる。
「ああっ……ひゃうっ……」
「気持ちよくなってきただろ?」
「やあっ……それは、違うの……っ、あっ、やあっ……」
「自分じゃイケないんだろ?」
ビアンカの目からは羞恥の涙がにじんだ。アルバートの囁きにビアンカは顔を真っ赤にして、無言でこくりと肯定する。
「素直なのはいいことだ」
アルバートはビアンカの太股に手を滑らせる。むわりと雌の匂いを漂わせる隙間の奥にはすでにぐっしょりと濡れている秘裂があり、指で軽く撫でるだけでビアンカの体が震えた。
「んっ……」
「ほら、どんどん濡れてくるぞ」
アルバートが手を動かすたびに、ビアンカの蜜壺からは愛液があふれ出てくる。
「ひゃん、ああっ!!」
ぷちゅりと肉芽をいじられて、ビアンカの体が鋭く跳ね、体が崩れおちる。
「はあっ……あ、あっ、はあーっ……」
ビアンカは大きな瞳に涙をため、獣のように荒い呼吸を繰り返している。まだ絶頂の余韻が残る体を床に押し倒し、アルバートはビアンカの肩口に噛みつき、すでにはだけていた彼女の服に手をかける。
「もう……我慢、できないっ……」
「あっ、だめっつ、もう、もう、イった、イったからあっ」
ビアンカの力のこもっていない懇願は、興奮状態のアルバートにさらなる喜びを与えただけだった。太股に手をかけ、大きく足を開かせる。
その瞬間、目に入った「もの」にアルバートの瞳は驚愕の色に変わった。
ビアンカの下腹部、ちょうど子宮のあたりに赤紫の紋章が刻まれているのだ。
「……なんだ、これは?」
魔術に詳しくないアルバートにもその異様さを──明確な悪意を肌で感じる事ができるほどだ。
「淫、紋……」
アルバートの疑問に答えるかたちで、熱に浮かされたような表情のビアンカが苦しげに呟いた。
11
お気に入りに追加
86
あなたにおすすめの小説
妊活と稽古台
ニッチ
大衆娯楽
○らすじ:半年と少し前、68歳の老害であるワシの元に、息子夫婦が同居してきた。ダメ息子など今更どうでもええ。が――その嫁については想うところがいくつもあった。33歳の若すぎず、熟れすぎず、あんな愚息のためにも妊活するという健気さ。息子に代わってワシが、イロイロと稽古をつけてやろう……ヒヒヒッ。
兄を溺愛する母に捨てられたので私は家族を捨てる事にします!
ユウ
恋愛
幼い頃から兄を溺愛する母。
自由奔放で独身貴族を貫いていた兄がようやく結婚を決めた。
しかし、兄の結婚で全てが崩壊する事になった。
「今すぐこの邸から出て行ってくれる?遺産相続も放棄して」
「は?」
母の我儘に振り回され同居し世話をして来たのに理不尽な理由で邸から追い出されることになったマリーは自分勝手な母に愛想が尽きた。
「もう縁を切ろう」
「マリー」
家族は夫だけだと思い領地を離れることにしたそんな中。
義母から同居を願い出られることになり、マリー達は義母の元に身を寄せることになった。
対するマリーの母は念願の新生活と思いきや、思ったように進まず新たな嫁はびっくり箱のような人物で生活にも支障が起きた事でマリーを呼び戻そうとするも。
「無理ですわ。王都から領地まで遠すぎます」
都合の良い時だけ利用する母に愛情はない。
「お兄様にお任せします」
実母よりも大事にしてくれる義母と夫を優先しすることにしたのだった。
どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-
すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン]
何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?…
たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。
※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける
縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は……
ゆっくりしていってね!!!
※ 現在書き直し慣行中!!!
救国の大聖女は生まれ変わって【薬剤師】になりました ~聖女の力には限界があるけど、万能薬ならもっとたくさんの人を救えますよね?~
日之影ソラ
恋愛
千年前、大聖女として多くの人々を救った一人の女性がいた。国を蝕む病と一人で戦った彼女は、僅かニ十歳でその生涯を終えてしまう。その原因は、聖女の力を使い過ぎたこと。聖女の力には、使うことで自身の命を削るというリスクがあった。それを知ってからも、彼女は聖女としての使命を果たすべく、人々のために祈り続けた。そして、命が終わる瞬間、彼女は後悔した。もっと多くの人を救えたはずなのに……と。
そんな彼女は、ユリアとして千年後の世界で新たな生を受ける。今度こそ、より多くの人を救いたい。その一心で、彼女は薬剤師になった。万能薬を作ることで、かつて救えなかった人たちの笑顔を守ろうとした。
優しい王子に、元気で真面目な後輩。宮廷での環境にも恵まれ、一歩ずつ万能薬という目標に進んでいく。
しかし、新たな聖女が誕生してしまったことで、彼女の人生は大きく変化する。
結婚に失敗しました
杉本凪咲
恋愛
伯爵家のエドガーとの結婚は失敗だった。
優しかった彼は結婚した途端に豹変して、私に暴力を振るうようになった。
唯一の心の拠り所であったピアノも捨てられて、私は絶望の底に叩き落とされる。
しかし公爵家のレオンが私を訪ねてきたことで、状況は一変する。
【完結】地味令嬢の願いが叶う刻
白雨 音
恋愛
男爵令嬢クラリスは、地味で平凡な娘だ。
幼い頃より、両親から溺愛される、美しい姉ディオールと後継ぎである弟フィリップを羨ましく思っていた。
家族から愛されたい、認められたいと努めるも、都合良く使われるだけで、
いつしか、「家を出て愛する人と家庭を持ちたい」と願うようになっていた。
ある夜、伯爵家のパーティに出席する事が認められたが、意地悪な姉に笑い者にされてしまう。
庭でパーティが終わるのを待つクラリスに、思い掛けず、素敵な出会いがあった。
レオナール=ヴェルレーヌ伯爵子息___一目で恋に落ちるも、分不相応と諦めるしか無かった。
だが、一月後、驚く事に彼の方からクラリスに縁談の打診が来た。
喜ぶクラリスだったが、姉は「自分の方が相応しい」と言い出して…
異世界恋愛:短編(全16話) ※魔法要素無し。
《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆
【完結】愛されなかった私が幸せになるまで 〜旦那様には大切な幼馴染がいる〜
高瀬船
恋愛
2年前に婚約し、婚姻式を終えた夜。
フィファナはドキドキと逸る鼓動を落ち着かせるため、夫婦の寝室で夫を待っていた。
湯上りで温まった体が夜の冷たい空気に冷えて来た頃やってきた夫、ヨードはベッドにぽつりと所在なさげに座り、待っていたフィファナを嫌悪感の籠った瞳で一瞥し呆れたように「まだ起きていたのか」と吐き捨てた。
夫婦になるつもりはないと冷たく告げて寝室を去っていくヨードの後ろ姿を見ながら、フィファナは悲しげに唇を噛み締めたのだった。
【R18】ひとりえっちの現場をヤンデレに取り押さえられました。
おうぎまちこ(あきたこまち)
恋愛
タイトル通り。
孤児出身の助手エミリアが自慰行為をしていたら、上司で魔術師長のファウストに現場を見つかってしまい――?
R18に※、全15話完結の短編。
ムーンライトノベルズの短編完結作品。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる