4 / 15
犬役で雇用されましたが、旦那様落ち着いて欲しい
しおりを挟む
新しい人生を、自分で歩んで行こう――。
そう思っていたのに、王都に到着して早々まさかの〝犬役の仕事〟として、急きょ雇用された。
フェリシアは近くに停まっていた黒塗りの高級馬車に乗せられ、数十分足らずでこれからしばらく世話になる屋敷へと運ばれていた。
「人生っていったい……」
レディが乗っているのに、先に降りていってしまったロジャーの背中を、呆然と眺めつつ呟く。
「ほら、おいでジャスミン」
「…………」
彼は下車したかと思ったら、振り返ってきてにこやかに手を差し向けてくる。
(そうか、そももそ犬だったわね)
フェリシアがそれを思い出すまでに数秒を要した。
おずおずと馬車を降りる。すると、目の前に開けたのは、二階建ての横に長い立派な屋敷だ。
「わぁっ、すごい」
大都会のど真ん中に建てられたエルベラント伯爵邸は、そもそもロジャーが仕事用にと新しく建てたものだという。
大通りに背の高い門扉、その向こうに急に公園かと思える庭園が現れる。玄関の前にはお洒落で段差が低い白い階段があり、そこから屋根付きの呼び鈴が設けられた玄関へと続く。
「こちらは犬が高齢になっても上れるようにと設計されたものです」
ロジャーに続いて玄関までの階段を上がりながら、イヴァンがそっと教えてくれる。
「はぁ、それはすごいですね……」
お金持ちの人が考えることって、と同じく貴族籍ながらもフェリシアは暮らす身分が違い過ぎる豪邸を前に呆然とする。
イヴァンの説明によると、ロジャーはあまり人を寄せ付けない気難しい人でもあるらしい。幼い頃から剣の才能もあったため、爵位を継ぐ前は王宮の第二部隊をみていた。現在も指導教官の一人として名を連ねており、軍事に頭脳を貸してもいる。
人と関わるよりも、剣を振るっているか、自宅ではもっぱら書き物に明け暮れているそうだ。
その文才から、軍関係といった専門分野の書籍の執筆依頼も請け負っており、書斎とは別に『仕事部屋』と呼ばれている大きな部屋があるという。
その近くには使用人を置かないことが決められているのだとか。
「旦那様は気配に敏感なところもあるのです。それが、まぁ、戦いでは活かされているのでしょう」
「なるほど……」
「ほらジャスミン、お前の家だよ。早く上がっておいで」
使用人が開けた玄関から入ったロジャーが、にこにこして読んでくる。気難しい性格の持ち主とは思えないくらい温かみを感じ、フェリシアはそこにと惑いつつも屋敷へと足を踏み入れる。
屋敷内は第一印象通りやはりとても大きい。
高級絨毯が敷かれた床、美しい壁紙がされた壁に大きな風景絵画、金が施された調度品はきらきと輝く。そして天井は高い。
フェリシアは、夢を見ているのではないかと思う。
「人払いをしている間は私が急きょ掃除などを行ったりしておりますが、本日からは犬役以外は、専属メイドとしてあなたに頼む予定です」
「はい、分かりました……」
ロジャーのあとに続きながら、きょろきょろしているフェリシアにイヴァンが言った。
(問題は――その『犬役』よね)
フェリシアは、目の前を歩くロジャーの背へおずおずと視線を戻す。
すると広い部屋に入るなり、ロジャーが笑顔で両手を広げてきた。
「さあおいで! ジャスミン!」
いったい、どう反応すれば正しいのかフェリシアには分からない。
歩きながらイヴァンにざっと説明してもらっただけでは、到底足りない〝特殊な採用仕事〟だ。屋敷の案内を兼ねての細かい説明も後回しである。
室内には、テーブルに紅茶を用意し始めるメイドの姿もあったが、彼女たちはあくまで仕事に徹している。
「ははは、どうしたジャスミン。久しぶりで場所を忘れたのかな?」
「あ、あの、私は初めてで――」
「迷子になっていたからね。さ、おいで」
戸惑っていたら手を取られた。上等な三人掛けソファに導かれたフェリシアは、異性に手を取られていることにどきどきする。
(……これが人を寄せつけない人?)
そもそもどうも『気難しい』という印象を探すのが難しくもある。
それから――こんなふうに手を取っても人間だと違和感さえ抱かないなんて、そうとう〝重症〟らしい。
そう持っている間にも、ソファに腰を下ろしたロジャーの隣に座らされた。
「イヴァン、僕は休憩をする。ジャスミンが不安がるから、他の者は下げろ」
「かしこまりました、旦那様」
イヴァンがメイドたちを退出させた。
有難いことに、ティーカップは二つ用意されていた。そこに目を向け、はじめてフェリシアは気付く。
(あら?)
いつ用意したのか、フェリシアのほうには小さなメモ用紙があった。そっと手に取ってみると、女性らしい字でこんなことが書かれていた。
『お疲れ様です。ご挨拶ができなくてすみません。執事長の反応からしてもなんとなく察しました。旦那様は食べませんが、砂糖菓子もティースプーンのそばに添えています。甘いものを食べると、疲労も少しは薄れるかと』
なんていいメイドさんたち、とフェリシアは感動した。
すぐに戻ってきたイヴァンが「メモを渡して共有しました」とも告げる。
なんて仕事ができる人たちなんだろう。またしてもフェリシアは感動してしまったが、たぶん〝主人がとてもよくできる人だからだ〟と推測した。
使用人たちの統率もとれているところからしても、ロジャーは、屋敷を持った時からはすでにかなり有能な主人だったに違いない。
「ほら、ジャスミンには慣れる時間が必要なんだから、お前もじっと見ない」
ティーカッブを持ったロジャーがイヴァンに行った。
それで放っておいてくれているらしい。
(彼が飲んでいるから、私も飲んでいい、のよね……?)
作法的に言えばそうだ。フェリシアは視線をテーブルへ下ろし、緊張しつつティーカップを手に取る。
「――ん」
飲んでみると、それはミルクが混ぜられていてとても美味しかった。ほんのり蜂蜜の甘さもする。
(旅疲れが癒えるみたいだわ……)
思えば家を出てからずっと、知り合いもいない状態でただひたすらここを目指した。一人になったほうが気楽だと朗らかに独り言をしたものだが、列車内で夜が訪れた外を見て不安を覚えない日はなかった。
(こうして飲んでいても違和感を覚える気配がないわ)
フェリシアは、隣にいるロジャーをうかがう。
イヴァンが言っていた通り、彼は自分にとって都合が悪いことなんて見えないし、頭で理解しようともしていない――のかもしれない。
二十九歳だというロジャーは、落ち着いた表情をしていると怖いくらいに見目麗しいことが分かった。
整った顔立ちにサファイアのような目、上流階級ではたびたび見られる血筋の良さが一目で分かる金髪は彼の白い肌にもよく似合う。
細身だけれど、引き締まっているのはベストを来たシャツ越しにもよく分かる。
(――ど、どうしよう)
フィリアは、不意に緊張が戻ってきた。
こんなふうに異性と隣同士で座ったのは、自宅で顔合わせという形でまず二人になって挨拶をして言葉を交わしたオリバー以来だ。
「あっ」
ロジャーのサファイアの輝きを宿した目が、ふっとフェリシアの視線を捉えた。
「も、申し訳ございません」
つい、彼の美貌を意識してしまったと気付き、猛烈な乙女心の恥じらいが込み上げ慌てて目をそらした。
だが直後、フェリシアは短い悲鳴を上げそうになった。
「ああっ、よかったジャスミン!」
突然、これまでこらえていた落ち着きがまた飛んだみたいに、ロジャーにぎゅぅっと抱き締められた。
心臓が口から飛び出そうになった。
いや、その前に――。
「ティーカップ!」
「大丈夫だよ、先に取ってあるからね」
ハッと思い出してフェリシアい言ったのだが、いつの間にそんな神業を行ったのか、片腕で抱いた彼の残った手には、確かにフェリシアのティーカッブが取り上げられていた。テーブル側へと寄せられたそれを、イヴァンが何も言わずに受け取る。
(か、カップも離したのに私を犬と信じているなんてっ)
頭がこんがらがりそうだ。
けれど、ふとフェリシアは、彼の残る手も自由になったことに嫌な予感を覚えた。
「さすがに僕の隣だと安心してくれるんだな。もう落ち着いたみたいで嬉しいよジャスミンっ」
「ふぎゃっ」
ロジャーが両手でかき抱き、フェリシアの髪に鼻先を埋めた。
そう思っていたのに、王都に到着して早々まさかの〝犬役の仕事〟として、急きょ雇用された。
フェリシアは近くに停まっていた黒塗りの高級馬車に乗せられ、数十分足らずでこれからしばらく世話になる屋敷へと運ばれていた。
「人生っていったい……」
レディが乗っているのに、先に降りていってしまったロジャーの背中を、呆然と眺めつつ呟く。
「ほら、おいでジャスミン」
「…………」
彼は下車したかと思ったら、振り返ってきてにこやかに手を差し向けてくる。
(そうか、そももそ犬だったわね)
フェリシアがそれを思い出すまでに数秒を要した。
おずおずと馬車を降りる。すると、目の前に開けたのは、二階建ての横に長い立派な屋敷だ。
「わぁっ、すごい」
大都会のど真ん中に建てられたエルベラント伯爵邸は、そもそもロジャーが仕事用にと新しく建てたものだという。
大通りに背の高い門扉、その向こうに急に公園かと思える庭園が現れる。玄関の前にはお洒落で段差が低い白い階段があり、そこから屋根付きの呼び鈴が設けられた玄関へと続く。
「こちらは犬が高齢になっても上れるようにと設計されたものです」
ロジャーに続いて玄関までの階段を上がりながら、イヴァンがそっと教えてくれる。
「はぁ、それはすごいですね……」
お金持ちの人が考えることって、と同じく貴族籍ながらもフェリシアは暮らす身分が違い過ぎる豪邸を前に呆然とする。
イヴァンの説明によると、ロジャーはあまり人を寄せ付けない気難しい人でもあるらしい。幼い頃から剣の才能もあったため、爵位を継ぐ前は王宮の第二部隊をみていた。現在も指導教官の一人として名を連ねており、軍事に頭脳を貸してもいる。
人と関わるよりも、剣を振るっているか、自宅ではもっぱら書き物に明け暮れているそうだ。
その文才から、軍関係といった専門分野の書籍の執筆依頼も請け負っており、書斎とは別に『仕事部屋』と呼ばれている大きな部屋があるという。
その近くには使用人を置かないことが決められているのだとか。
「旦那様は気配に敏感なところもあるのです。それが、まぁ、戦いでは活かされているのでしょう」
「なるほど……」
「ほらジャスミン、お前の家だよ。早く上がっておいで」
使用人が開けた玄関から入ったロジャーが、にこにこして読んでくる。気難しい性格の持ち主とは思えないくらい温かみを感じ、フェリシアはそこにと惑いつつも屋敷へと足を踏み入れる。
屋敷内は第一印象通りやはりとても大きい。
高級絨毯が敷かれた床、美しい壁紙がされた壁に大きな風景絵画、金が施された調度品はきらきと輝く。そして天井は高い。
フェリシアは、夢を見ているのではないかと思う。
「人払いをしている間は私が急きょ掃除などを行ったりしておりますが、本日からは犬役以外は、専属メイドとしてあなたに頼む予定です」
「はい、分かりました……」
ロジャーのあとに続きながら、きょろきょろしているフェリシアにイヴァンが言った。
(問題は――その『犬役』よね)
フェリシアは、目の前を歩くロジャーの背へおずおずと視線を戻す。
すると広い部屋に入るなり、ロジャーが笑顔で両手を広げてきた。
「さあおいで! ジャスミン!」
いったい、どう反応すれば正しいのかフェリシアには分からない。
歩きながらイヴァンにざっと説明してもらっただけでは、到底足りない〝特殊な採用仕事〟だ。屋敷の案内を兼ねての細かい説明も後回しである。
室内には、テーブルに紅茶を用意し始めるメイドの姿もあったが、彼女たちはあくまで仕事に徹している。
「ははは、どうしたジャスミン。久しぶりで場所を忘れたのかな?」
「あ、あの、私は初めてで――」
「迷子になっていたからね。さ、おいで」
戸惑っていたら手を取られた。上等な三人掛けソファに導かれたフェリシアは、異性に手を取られていることにどきどきする。
(……これが人を寄せつけない人?)
そもそもどうも『気難しい』という印象を探すのが難しくもある。
それから――こんなふうに手を取っても人間だと違和感さえ抱かないなんて、そうとう〝重症〟らしい。
そう持っている間にも、ソファに腰を下ろしたロジャーの隣に座らされた。
「イヴァン、僕は休憩をする。ジャスミンが不安がるから、他の者は下げろ」
「かしこまりました、旦那様」
イヴァンがメイドたちを退出させた。
有難いことに、ティーカップは二つ用意されていた。そこに目を向け、はじめてフェリシアは気付く。
(あら?)
いつ用意したのか、フェリシアのほうには小さなメモ用紙があった。そっと手に取ってみると、女性らしい字でこんなことが書かれていた。
『お疲れ様です。ご挨拶ができなくてすみません。執事長の反応からしてもなんとなく察しました。旦那様は食べませんが、砂糖菓子もティースプーンのそばに添えています。甘いものを食べると、疲労も少しは薄れるかと』
なんていいメイドさんたち、とフェリシアは感動した。
すぐに戻ってきたイヴァンが「メモを渡して共有しました」とも告げる。
なんて仕事ができる人たちなんだろう。またしてもフェリシアは感動してしまったが、たぶん〝主人がとてもよくできる人だからだ〟と推測した。
使用人たちの統率もとれているところからしても、ロジャーは、屋敷を持った時からはすでにかなり有能な主人だったに違いない。
「ほら、ジャスミンには慣れる時間が必要なんだから、お前もじっと見ない」
ティーカッブを持ったロジャーがイヴァンに行った。
それで放っておいてくれているらしい。
(彼が飲んでいるから、私も飲んでいい、のよね……?)
作法的に言えばそうだ。フェリシアは視線をテーブルへ下ろし、緊張しつつティーカップを手に取る。
「――ん」
飲んでみると、それはミルクが混ぜられていてとても美味しかった。ほんのり蜂蜜の甘さもする。
(旅疲れが癒えるみたいだわ……)
思えば家を出てからずっと、知り合いもいない状態でただひたすらここを目指した。一人になったほうが気楽だと朗らかに独り言をしたものだが、列車内で夜が訪れた外を見て不安を覚えない日はなかった。
(こうして飲んでいても違和感を覚える気配がないわ)
フェリシアは、隣にいるロジャーをうかがう。
イヴァンが言っていた通り、彼は自分にとって都合が悪いことなんて見えないし、頭で理解しようともしていない――のかもしれない。
二十九歳だというロジャーは、落ち着いた表情をしていると怖いくらいに見目麗しいことが分かった。
整った顔立ちにサファイアのような目、上流階級ではたびたび見られる血筋の良さが一目で分かる金髪は彼の白い肌にもよく似合う。
細身だけれど、引き締まっているのはベストを来たシャツ越しにもよく分かる。
(――ど、どうしよう)
フィリアは、不意に緊張が戻ってきた。
こんなふうに異性と隣同士で座ったのは、自宅で顔合わせという形でまず二人になって挨拶をして言葉を交わしたオリバー以来だ。
「あっ」
ロジャーのサファイアの輝きを宿した目が、ふっとフェリシアの視線を捉えた。
「も、申し訳ございません」
つい、彼の美貌を意識してしまったと気付き、猛烈な乙女心の恥じらいが込み上げ慌てて目をそらした。
だが直後、フェリシアは短い悲鳴を上げそうになった。
「ああっ、よかったジャスミン!」
突然、これまでこらえていた落ち着きがまた飛んだみたいに、ロジャーにぎゅぅっと抱き締められた。
心臓が口から飛び出そうになった。
いや、その前に――。
「ティーカップ!」
「大丈夫だよ、先に取ってあるからね」
ハッと思い出してフェリシアい言ったのだが、いつの間にそんな神業を行ったのか、片腕で抱いた彼の残った手には、確かにフェリシアのティーカッブが取り上げられていた。テーブル側へと寄せられたそれを、イヴァンが何も言わずに受け取る。
(か、カップも離したのに私を犬と信じているなんてっ)
頭がこんがらがりそうだ。
けれど、ふとフェリシアは、彼の残る手も自由になったことに嫌な予感を覚えた。
「さすがに僕の隣だと安心してくれるんだな。もう落ち着いたみたいで嬉しいよジャスミンっ」
「ふぎゃっ」
ロジャーが両手でかき抱き、フェリシアの髪に鼻先を埋めた。
581
お気に入りに追加
1,086
あなたにおすすめの小説
真夜中の仕出し屋さん~料理上手な狛犬様と暮らすことになりました~
椿蛍
キャラ文芸
「結婚するか、化け物屋敷を管理するか」
仕事を辞めた私に、父は二つの選択肢を迫った。
料亭『吉浪』に働いて六年。
挫折し、料理を作れなくなってしまった――
結婚を断り、私が選んだのは、化け物屋敷と父が呼ぶ、亡くなった祖父の家へ行くことだった。
祖父が亡くなって、店は閉まっているはずだったけれど、なぜか店は開いていて――
初出:2024.5.10~
※他サイト様に投稿したものを大幅改稿しております。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
「侯爵家の落ちこぼれ」の私に選択肢などないと思うのですが ー旦那様、私は人質のはずですー
月橋りら
恋愛
侯爵令嬢として生を受けたにも関わらず、由緒ある家柄にそぐわず「無属性」で生まれてきた「私」、アナスタシア。一方、妹は美しく、属性も「風lを持って生まれた。
「落ちこぼれ」と虐げられてきたアナスタシアは、唯一出してもらえた社交パーティーで婚約破棄を告げられる。
そしてさらに、隣国に「人質」に出されることに決まってしまいーー。
*この小説は、カクヨム様でも連載する予定です。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
【電子書籍発売に伴い作品引き上げ】私が妻でなくてもいいのでは?
キムラましゅろう
恋愛
夫には妻が二人いると言われている。
戸籍上の妻と仕事上の妻。
私は彼の姓を名乗り共に暮らす戸籍上の妻だけど、夫の側には常に仕事上の妻と呼ばれる女性副官がいた。
見合い結婚の私とは違い、副官である彼女は付き合いも長く多忙な夫と多くの時間を共有している。その胸に特別な恋情を抱いて。
一方私は新婚であるにも関わらず多忙な夫を支えながら節々で感じる女性副官のマウントと戦っていた。
だけどある時ふと思ってしまったのだ。
妻と揶揄される有能な女性が側にいるのなら、私が妻でなくてもいいのではないかと。
完全ご都合主義、ノーリアリティなお話です。
誤字脱字が罠のように点在します(断言)が、決して嫌がらせではございません(泣)
モヤモヤ案件ものですが、作者は元サヤ(大きな概念で)ハピエン作家です。
アンチ元サヤの方はそっ閉じをオススメいたします。
あとは自己責任でどうぞ♡
小説家になろうさんにも時差投稿します。

会うたびに、貴方が嫌いになる
黒猫子猫(猫子猫)
恋愛
長身の王女レオーネは、侯爵家令息のアリエスに会うたびに惹かれた。だが、守り役に徹している彼が応えてくれたことはない。彼女が聖獣の力を持つために発情期を迎えた時も、身体を差し出して鎮めてくれこそしたが、その後も変わらず塩対応だ。悩むレオーネは、彼が自分とは正反対の可愛らしい令嬢と親しくしているのを目撃してしまう。優しく笑いかけ、「小さい方が良い」と褒めているのも聞いた。失恋という現実を受け入れるしかなかったレオーネは、二人の妨げになるまいと決意した。
アリエスは嫌そうに自分を遠ざけ始めたレオーネに、動揺を隠せなくなった。彼女が演技などではなく、本気でそう思っていると分かったからだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる