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六章(2)急展開した事件と、二人の『聖女』

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 どうやら昨日一線を越えたことで『一人解くごとに男と会った不安をベッドで解消する』になっていたみたいだ。

 ベッドの上で彼と会話して分かった。ただただ彼がしたがっているだけなのは余裕もなく繋がった際に感じていたが、昨日初めて繋がる幸福感を教えられたシルフィアも、もう一度彼とできるのならと呆気ないほど陥落した。

 騎士のせいか、クラウスは体力がすごくて衰え知らずだ。

 シルフィアとしては【白騎士】の性欲が強いことに困惑しているものの、考えると同時に彼女の胸は強くきゅんきゅんした。

(それだけ私のこと我慢してくれていたのかも……)

 むしろ、いいと思ってしまう。ついていけている自分にも驚きだ。

 たぶんクラウスが〝とても上手〟で、そのへんのことは考えて抱いてくれているだけなのかもしれないけれど。

「シルフィア、君には俺のことを考えて欲しいんだけどな」
「えっ」

 不意に後ろから両腕を引っ張られて、上体が起こされる。

 押し込まれた彼の熱が最奥まで収まり、その衝撃にシルフィアはびくびくっと震えた。

「あ、あ……これだめ、すごく深くて……」

 衣装が邪魔して見えないが、お腹が彼の形で変わっているのではないかと錯覚してそこを見下ろす。

「ああ、脱がせておけばよかったな。じっと見て、すごく興奮する」

 彼が言葉通りなのだとは、中にあるものが膨らむのを感じて分かった。

「行為に少し慣れてきたということかな。それなら俺は、飽きられないように君をもっと気持ちよくしないと」
「違うの、私は、――ああぁあ!」

 ぎりぎりまで引かれた腰を、後ろから根本までばちゅんっと強く押し込まれた。

(ああ、あ、深……いっ)

 彼のものが内臓を押し上げているのを感じる。けれど同時に、恐ろしいくらい『気持ちいい』で思考が一色に染まった。

「あ、ぁ……」
「達したね。強く押し込まれたのは、それだけよかった?」

 中で彼のものがびくんっと震えたが、射精することなく、収縮が弱まるのも待たずに彼が後ろから突き上げた。

「あんっ、あっ、クラウス……っ、私、また達したからっ」

 ずちゅっ、ぐちゅっ、と激しく彼が蜜壺を穿ってくる。

 引き下ろされていたドレスが、激しい動きでへその下までずり落ちていく。

「俺はまだ出していないよ」

 そうだけど、と思うが快感で身体ががくがく震えて答えられない。

 下から回すように押し込まれて、あまりの快感で前屈みになる。そうすると腕を引っ張って彼に一層内臓を貫かれる気がした。

「あんっ、あっ……いいっ、好き、好き……っ、もっと、してっ」

 悲鳴のように勝手に言葉がこぼれていく。

 気持ちよくて好きだ。彼と二人きりで過ごせていることが、何より嬉しい。

「ああ、シルフィア、君はこの前まで清らかだったと思えないくらい、いやらしい」
「いやらしくて、ごめんなさ、あっ、あん、でも気持ち、よくって」
「もっと欲しがってくれ。一度繋がっても、もっと、もっとと君が欲しくなってたまらないんだ、シルフィア」

 迫りくる絶頂感と、抗えない『果てたい』にシルフィアは涙を浮かべた。

「自分でも驚くほど欲情してる。俺をこんなふうに変えたのは、シルフィア、君だよ」
「わ、たし……?」
「俺はこれまで女性に不埒な気持ちを抱いたことがない。それなのに君とここに愛の結晶を作りたくて、君を全身で愛したくてたまらないでいる」

 彼が後ろからドレスの下に手を入れて、ずちゅ、ぐちゅ、と彼が出入りしているシルフィアの腹を撫でた。

 その温もりにシルフィアは「あっ……」と甘い声をもらし、幸せな気持ちになった。

 震える膝を立てて、後ろのクラウスに背をもたれかけた。手を伸ばし、汗ばんだ彼の頬に触れる。

 目を合わせるとクラウスがその手にキスをした。揺れる乳房をいやらしく包み込み、シルフィアの身体を支えてくれる。

「んっ、あ……もう、イきそうなの。好きって、言って」

 こんなことねだるなんて子供みたいだろうか。

「もちろん。好きだよシルフィア、好きだ」

 感じているシルフィアの顔の横に、彼がキスの雨を降らせる。

 両腕で抱え込み、彼の律動が速まった。

 そうすると蜜壺が嬉しそうにいやらしい収斂の感覚を短くした。

「好きっ、好きなの……っ、クラウスっ」

 シルフィフは頬から滑らせた手で彼の髪をくしゃりと握り、がくがくと震えている脚をどうにか広げてその瞬間を待つ。

「俺も好きだ、愛してる」

 前に回された彼の腕にぎゅっと力が入り、彼の強くて速い突き上げに全身が揺れる。

 脚に力が入って腰が前に出る。下半身がぶるぶると震えた。

(あっあっ、イく、気持ちいいのが奥で……あ!)

 シルフィアは後頭部を彼の肩にあて、びくびくっと全身を引きつらせた。

 クラウスが一層激しく腰を前後してぶるっと腰を震わせる。

 注ぎ終わるまで、二人はじっとしていた。至福の瞬間だ。

 共に絶頂を感じている時が、シルフィアはとくに尊さまで覚える。

「はぁ、幸せだ……」

 シルフィアが思った時、クラウスが首筋に顔を埋めてそれを口に出した。

「私もです」

 呼吸を整えながら彼女は愛おしげに彼の頭を撫でる。

 その、ほんの少し動いただけで甘やかな心地が胎内から広がってきた。

「――まだ足りないと言ったら、君は怒る?」

 中でうねりを感じ取ったのか、クラウスが優しくシルフィアを横たえた。挿れたまま彼女の足を広げ、正面に向かせて奥まで挿れ直す。

 シルフィアは、二人の間からとろりと垂れていく温かなものを感じた。

「時間が」
「もう一回だけだから」

 それ、少し前に聞いたような台詞だ。

 シルフィアは思ったものの、言葉は彼の口づけの中に消えていった。彼は甘えている感じがした。確かに弟よりも、その気があるのかもしれない。

「ふふ、なら、もう一度だけ――……」

 シルフィアは小さく笑って、キスに答えながら彼を抱き寄せた。

 好きな人に満足してもらえるのが、こんなに嬉しいことだとは知らなかった。

「可愛いよシルフィア、困るくらい、反応も全部素直で可愛い」

 クラウスはキスをしながら、残っている衣服を脱がしていく。シルフィアは動けるようにと念を押してお願いし、また、彼との濃くて熱い波へと落ちていった。

 ◇∞◇∞◇
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